「美人は得する」などと昔から言われていますが、本当にそうなのでしょうか? この問題を調べるため、ブラジルのパラナ・カトリカ大学の研究チームが実際に調査を行い、その結果を論文で発表しました。
研究チームは342名の被験者で、ある実験を行いました。この実験で行われたのは、心理学や行動経済学などの研究の現場でよく使われる「信頼ゲーム」です。相手への信頼度を調べるこのゲームでは、1人の信託者(trustor)が少額のお金を別のプレーヤー(被信託者 trustee)に渡すかどうかを自分で決めます。別のプレーヤーに渡ったお金は3倍の金額になり、そのプレーヤーはそのうちいくらの金額を最初の信託者に戻すか決めて返金。信託者に対して信頼があるほど返金する金額も高くなり、信頼度が低ければ返金額は少なくなり、プレーヤーはお金を自分で保持しておこうとします。
今回の実験では38名の女性が信託者となり、別のプレーヤーの役を304名の男女が担当しました。ゲーム中、信託者の女性は化粧した場合と、プロのメイクアップアーティストによる化粧を行った場合で実施し、プレーヤーはその顔写真を見てゲームを行いました。その結果、信託者が化粧をした場合のほうが返金された金額が多くなり、この傾向は特に男性のプレーヤーで高く見られることがわかりました。また、元の顔が魅力的な女性よりもそれほど魅力的ではない女性のほうが、この傾向が顕著だったことも判明しています。
今回の実験で明らかになったのは、女性は化粧をしないよりも、していたほうが信頼されやすいということ。見た目が魅力的な女性は収入も多いとも言われますが、この実験はそれを裏付けているのかもしれません。
ただ今回の実験で行われた化粧は、顔の欠点をカバーする目的で行ったもの。もし女性の魅力をさらに引き出すような化粧を行っていたら、同じような結果が得られたかどうかは不明とのこと。また女性ではなく男性で髭をつけたり髪色をかえたりして同じ実験を行ってみても、その結果は不透明と研究チームは述べています。
女性は顔の欠点を隠して少しでもキレイに見せたいと、化粧したりスマホで画像フィルターを駆使したりするもの。その努力は決して無駄にはならないし、女性にとって大きなメリットをもたらしてくれるものなのかもしれません。