世界では極小ロボットの研究が行われています。アメリカでは南カリフォルニア大学がカブトムシのようなロボットを開発しており、最近それを公開しました。バッテリーを使わずに最大2時間も動くということですが、一体どんな仕組みなのでしょうか?
南カリフォルニア大学の研究チームが開発したロボット「RoBeetle」は、体長が15mm、重さはわずか88mg。本物の昆虫のようなロボットの開発を目指して、6年以上の期間をかけて研究されました。このロボットは4本の脚と角のような部分がついており、カブトムシを思い起こさせる出で立ちが印象的ですが、これだけ小さなサイズなら、人の手では扱えないようなアクセスの悪い場所や危険な場所で利用ができるでしょう。
この極小ロボットが注目されるのは、バッテリーやモーターを使わずに利用できる点にあります。ロボットを動かすためには、一般的にはバッテリーなどを用いて動力を供給する必要がありますが、極小サイズのロボットの場合はバッテリーも小型化しなければならず、それにともない駆動時間にも限りができてしまいます。
そこでこの研究チームは、ニッケルとチタンを使った形状記憶合金を材料にして人工筋肉を開発しました。この金属は熱を加えると、一般的な金属とは異なり長さが縮む性質があります。合金のコーティングには白金が使われており、燃料となるメタノールの蒸気がその白金と反応して燃焼すると、筋肉が縮むように合金が縮みます。これが収縮性の人工筋肉の仕組みであり、RoBeetleがバッテリーなしで約2時間動くことができる理由です。
ちなみに、2020年6月にハーバード大学が発表したゴキブリ型小型ロボット「HAMR-JR」は体長2.25cm、重さは0.3g。こちらはワイヤーで動力を供給するため、ロボットの本体にワイヤーがつながれています。ロボットの大きさも電力供給の面でも、南カリフォルニア大学が開発したRoBeetleに軍配が上がりそうですね。
ロボットの小型化にとって課題だったバッテリーの問題を人工筋肉で解決したRoBeetle。これを応用すれば小型ロボットの開発がさらに前進し、医療シーンなどさまざまな場面でのロボット開発が期待できることでしょう。