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2020/10/26 18:30

「水中ロボット」が進歩したきっかけは「イカ」!?

近年、水中で自由に動くさまざまなロボットが開発されています。海の生態系を調査したり、海中のプラスチックを収集したり。そんな水中ロボットが水のなかで前進するためのヒントとしているのが、水のなかの生き物です。このたびアメリカで開発された時速800mの速さで泳げる水中ロボットは、イカの動きに着想を得ています。

 

空も飛べるイカのジェット推進力

↑イカ型水中ロボット

 

イカは胴体のように見える外套膜に水を吸い込み、墨を吐き出すときに使う漏斗と呼ばれる器官からその水を勢いよく吐き出して泳ぎます。この「ジェット推進力」のおかげで、イカは水中で生活する無脊椎動物のなかで最も速く泳ぐことができるのだとか。2013年に北海道大学の研究によって、イカは水面から飛び出た後もこのジェット推進を使いつつ、腕やヒレを広げて揚力を発生させて加速し、短時間、飛行さえすることも明らかになっています。

 

そんなイカの優れたジェット推進力に目を付けたのが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チーム。水中ロボットを作るためにはロボットの材質が重要になります。硬い物質でできていると、ロボットが水中を探索するとき、ほかの魚やサンゴを傷つけてしまう可能性があり、そうであるからと言って、柔らかい材質でできたロボットは動きが遅いのが難点です。そこで研究チームは、弾力のある身体なのに水のなかを速く泳げるイカに着目。イカのようなジェット推進を真似しながら、大部分が柔らかなアクリルポリマーでできたロボットを開発したのです。

 

できあがったロボットの見た目はイカというより、むしろ提灯。円形プレートにつながった複数の骨格部分がスプリングのように伸縮し、水を取り込んで吐き出しながら前に進んでいきます。その速さは秒速18~32cmで、時速にすると約800m。下の動画を見る限り、この新作ロボットはゆっくり泳いでいるように見えますが、従来の柔らかいタイプの水中ロボットより速く進めるほうなのだとか。また、もうひとつの円形プレートには防水カメラや各種センサーを搭載することが可能。電源も搭載しているため、外部のコンセントにつなげる必要もありません。

 

 

見た目と違って、このロボットが水中を泳ぐ様子はイカとそっくり。イカの動きにヒントを得たこの新しいロボットがどれくらい海の生態系保全に貢献するのか? 注目です。