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2020/11/9 6:00

「色の見方」が変わる! 反射率が95.5%の「白のなかの白」が誕生

もっとも基本的な色ともいえる白と黒。しかし私たちが普段目にしている白と黒は、本当の白色と黒色とは違って見えているのかもしれません。近年、研究が行われている「白色のなかの白色」と「黒色のなかの黒色」の世界をのぞいてみましょう。

 

日光を反射し建物の気温を低く保つ白色塗料

地中海沿岸の街は、外壁を真っ白に塗った白い家が並んでいることで有名です。白色の塗料が使われる理由に、強い日差しから建物を守り涼しく過ごせることがあると言われています。黒のクルマと白のクルマのどちらが熱くなりやすいかは多くの方が経験してわかっていることでしょう。これらと同じように、屋根や外壁を白色にして暑さ対策を行う動きが世界で進んでいます。

 

そんな動きを受けて、アメリカのパデュー大学の研究チームが先日発表したのが、外気より最大で7.8℃も低く保てる白色塗料です。研究チームでは100種類以上の原料の組み合わせから10種類の原料に絞り込み、それらを組み合わせた50種類で検証を実施。その結果、岩や貝殻などによく見られる炭酸カルシウムが、紫外線をほとんど吸収せず光を散乱させることが可能という結論に行きつき、95.5%の反射率の白色塗料を開発したのです。

 

現在マーケットにある、遮熱効果付きの塗料は日光の反射率80~90%で、市販の白色の塗料と比較すると、この研究チームが開発した塗料は直射日光の下でも低温を維持して、紫外線を反射することができました。フィールドテストでは正午の時点で表面の温度を1.7℃低く保つことができたそうです。

↑どっちが本当に白い?

 

おまけに、この塗料で反射した紫外線は、光の速さで地球外の宇宙まで到達するとのこと。つまり反射した光によって地球のなかに熱がこもることはなく、この塗料を建物の屋根や道路、クルマなどに使えば、地球温暖化の防止にも役立つと期待できるそうです。塗料のコストも市販品より安価に抑えられることも魅力的でしょう。

 

黒のなかの黒もある

一方、「史上最も黒い黒」と世界中で話題となったのが、2019年にマサチューセッツ工科大学が発表した黒色の塗料です。この研究チームは黒色塗料の開発を行っていたわけではなく、炭素同士が円筒状に並んだ「カーボンナノチューブ」の実験を行っていました。その際、99.995%の光を吸収する、カーボンナノチューブでできた黒色の塗料を偶然発見。これまであったどの黒色塗料より10倍黒く、まさにブラックホールのような黒色ができあがったのです。

 

それまで世界で最も黒い物質と言われていたのが、同じくカーボンナノチューブでできた「ペンタブラック」。BMWがペンタブラックを塗った「世界一黒い車」を発表するなど、ペンタブラックは一時期、世界で大きな話題を呼んだのですが、ペンタブラックの光の吸収率は99.96%。マサチューセッツ工科大学が発見した黒色は、それよりもさらに黒い塗料なのです。

 

2019年9月には、16.78カラットで時価200万ドル(約2億1000万円)のイエローダイヤモンドに、この黒い塗料を塗ってしまうという大胆な試みが、ニューヨークの「リデンプション・オブ・ヴァニティ展」で披露されました。わずかな光でも反射して煌びやかに輝くダイヤモンドが、この黒色塗料で漆黒の闇に変わる様子は、本当にブラックホールに吸い込まれたようです。

↑どんな輝きも通さない

 

光の反射率と吸収率を考えると、圧倒的な存在感を感じさせる超白色と超黒色。これらを超える白色と黒色は生まれるのでしょうか?

 

 

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