現在、世界各国で「空飛ぶタクシー」の開発が進められていますが、無人航空機分野をリードする企業のひとつが中国のEHangです。同社は2人乗り無人航空機を自社で開発しており、最近、韓国でテストフライトを行いました。2人乗り無人航空機の本格利用はどんどん実現性を高めています。
最高時速130キロで無人飛行
EHangはは旅客輸送つまり空飛ぶタクシーのほか、観光、災害時の救急医療など、さまざまな分野で無人航空機の利用を目指しています。
韓国でテストフライトを行った無人航空機「EHang216」は、ヘリコプターと似たような外観ですが、高さは1.77mで横幅は5.61mと、一般的なヘリコプターよりも小さいサイズ。機体の周囲を囲むように8本のアームが伸び、そこに全部で16のプロペラがついており、電気の力で飛行します。最高速度は時速130キロで、最大積載量200キロの場合の航続距離は35キロ、21分間の飛行が可能。
4Gや5Gを利用してコマンド&コントロールセンターにリアルタイムでフライトデータが送信され、緊急時には警告を出したり遠隔操作して安全な場所へ着陸したりできるそう。おまけに高速充電で、2時間以内にフル充電をすることができます。大人数や大きな荷物を遠くまで輸送することはできないものの、短距離での利用に最適な設計となっています。
このテストフライトでは、旅客輸送、観光、救急医療の3つの用途を想定して、それぞれのシナリオに合った3つの場所で行われました。旅客輸送を想定したテストではソウル最大の川、漢江の中にある人工島「汝矣島(ヨイド)」を飛び立ち、人口が密集する都心部の上空を飛行。観光向けでは済州島を舞台に海岸線を飛び、救急医療の利用を想定したテストでは大邱市で救急医療セットとAEDなどの医療機器を輸送しました。これらすべてのテストフライトが成功に終わっています。
韓国の国土交通省が2023年〜2025年の商業利用開始を目指して進めているプロジェクトの一環として行われた今回のテストフライト。その成功は本格利用への大きな一歩となったことでしょう。