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2021/3/18 6:00

豚も「テレビゲーム」で遊べることが判明!! 一体どうやって??

チンパンジーは高度な頭脳を持ち、テレビゲームで遊ぶことができるのは広く知られています。しかし、それができるのはチンパンジーだけではありませんでした。最近アメリカで発表された研究によると、豚もテレビゲームを楽しむことができるそうです。いったい豚はどんなゲームをどうやってプレーするのか? 明らかにされた豚の可能性を見てみましょう。

↑こんなの朝飯前だぶー

 

パデュー大学の研究チームは、4頭の豚を使ってテレビゲームを覚えさせる実験を行いました。4頭のうち2頭は生後3か月のヨークシャー種、もう2頭は2歳のミニブタ。ヨークシャー種の豚には「ハムレット」と「オムレツ」、ミニブタには「アイボリー」と「エボニー」という名前が付けられています。

 

豚が挑んだテレビゲームは、ジョイスティックを動かして、カーソルを画面上の3つの壁(太くて青い線)まで移動させるというもの。豚が鼻でレバーを前後左右に傾けることができるように、ジョイスティックはコンピューターのモニターの前に設置されました。ゲームの開始時点で壁は3つあり、どれか1つにカーソルを当てれば餌をもらえるという仕組み。壁が3つのときは偶然当たる可能性が高いものの、壁の数が減るにつれて難易度は上がります。なお、実験を行う前に、同大の動物福祉学の研究者たちが、ジョイスティックの模造品やボイスコマンドなどを使って、豚が行動を学習するまで訓練させました。

 

本番の実験では、どんな結果が得られたのでしょうか? まず、ミニブタの2頭は3つの壁があるときに成功率が84%という成績を出しました。しかし壁が1つになったとき、アイボリーは76%の成功率だったのに対してエボニーは34%と低く、2頭の間で大きな差が見られました。一方、ヨークシャー種の2頭は壁が3つのときより、1〜2つのときに良い成績を残したそうです。

 

結果として、4頭すべてがジョイスティックを動かして、画面上のカーソルを移動させるゲームを行えました。これは、ジョイスティックの動きと画面のカーソルが連携していることを豚が理解していたということ。従来の研究では、産業動物にジョイスティックを動かすような運動能力があることは考えられなかったそうです。

 

親指を持っている動物は、物を握ることができるため、武器を持ったり道具を使えたりします。この親指は、人間の進化や動物の知能などを考えるうえで重要なものと見られていますが、豚のように親指を持たない動物がテレビゲームをできたという今回の発見は大変驚くべきものでしょう。

 

この結果を発表した研究者は「豚や産業動物について私たちは過小評価している」と述べ、今後の高度な学習や認知能力の研究に期待を寄せています。

 

【出典】Croney, C. C., & Boysen, S. T. (2021). Acquisition of a Joystick-Operated Video Task by Pigs (Sus scrofa). Frontiers in Psychology. 12:631755. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.631755