長いこと自粛モードが続き、「もう旅に出たくて仕方がない」と思う人が世界中にたくさんいます。新型コロナウイルスによって、さまざまな価値観が変わりつつあるなか、どんな旅のスタイルが生み出されているのでしょうか?
旅行予約サイトのエクスペディアが、12か国の1万2000人の旅行者(今後18か月以内に国内外で旅行を検討している成人)を対象に調査を行い、2022年の旅行スタイルの動向を発表しました。このレポートからアメリカ人の「旅のカタチ」を5つに分けて紹介しましょう。
1: 国内旅行が主流
新型コロナウイルスの規制や入国制限などを考えると、国内旅行を楽しむというのが第一の選択肢になりそうです。これはアメリカの旅行者の間でも同様の傾向が見られ、アメリカの回答者の59%が「2022年の旅行は、国内旅行のみを計画している」と回答。しかし、国内だけでなく海外に行きたいと考える人も少ないわけではなく、37%は「国内旅行と海外旅行の両方を計画している」と答えています。
ちなみに、筆者が暮らすハワイはアメリカ人の間で人気の旅行先。2021年夏には、コロナ禍を忘れるほど、アメリカ本土から多くの観光客がハワイを訪れ、すでに街には賑わいが戻ってきています。
2: 柔軟さが鍵
新型コロナウイルスの影響で、各種の規制が突然厳しくなったり新しいルールができたりすることが考えられます。そのため綿密な旅行プランを立てても、計画通りに行かないことだってあり得るでしょう。今回のエクスペディアの調査でも、26%の人が「柔軟に流れに身を任せる」と回答しています。旅のプランが変わっても、それを受け入れてその中で旅行を楽しむ柔軟性が必要かもしれません。
3: より贅沢に
パンデミックが始まってからおよそ2年。自由に旅することも、離れて暮らす家族や友だちともなかなか会えず、十分な余暇を楽しめなかったと感じる人も多いでしょう。そのため、自分へのご褒美にお金をかけたいこととして旅行が筆頭にあがっている模様。旅行でお金をかける方法として、「贅沢な体験をする(15%)」「客室やフライトをアップグレードする(16%)」「憧れの土地を訪れる(32%)」などが挙がっています。そして、旅にお金をかけたいと考える人は、特に18~34歳に多くみられる傾向があります。
4: 未知の体験に没入
その一方、2022年は、未知の分野の体験を求める旅のスタイルも人気が出そうです。「食べたことのない料理にトライする(40%)」「郷土料理を試す(31%)」「人里離れた旅先を探す(23%)」というように、普段の生活では体験できないことを求める人が増えている模様。旅は、定番の観光地をまわるのではなく、自分が日々暮らしている世界や文化とまったく異なる空間に「没入する」スタイルに変わってきているのかもしれません。
5: スマホからマインドフルな旅へ
美しい景色を写真にとってSNSにアップしたり、現地からリアルな感想を家族や友人に届けたり。スマホを大いに活用するのが、これまでの旅のスタイルでした。でも多くの人は「何もせずにリラックスしたい」と考えているようで、回答者の24%が「デバイスを使う時間を減らして、マインドフルな時間を過ごしたい」と答えています。日常生活にスマホが欠かせないからこそ、旅行中はあえてスマホから離れる時間を作ることが大切になっていくのかもしれません。
エクスペディアでは今回の調査結果をまとめて、「後悔しない旅」を計画していると分析。これを「Greatest of All Trips(GOAT)=人生最高の旅」と名付けています。決まりきった観光地をめぐるスタンダードな旅から、より個々の好みに沿った旅にシフトしているのは、アメリカだけでなく日本でも共通する傾向と見られています。私たちも「2022年に旅に出るなら、どこに行ってどんなことをしたいか?」を、そろそろ検討してもいいかもしれませんね。