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2022/4/22 6:00

遊んじゃうもんね。コロナ禍で進化した「遊び」

ドイツでは休暇に友達や家族が集まると、ボードゲームを楽しむのが一般的です。多くの家庭には何種類ものボードゲームが置いてあり、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した2020年以降はボードゲームの売り上げが増加。1人や少人数でも遊べるゲームやパンデミックに関連したゲームが人気を集めるようになりました。

 

コロナ禍で変化したドイツのボードゲームや遊びについて現地からレポートします。

↑ボードゲームはコロナ禍でさらに人気に

 

増え過ぎたスクリーンタイム

パンデミックによりドイツで実施された厳しいロックダウンは、子どもたちのデジタル依存をさらに深刻化させました。ボードゲームの人気が高まっている背景には、「子どもにデジタル離れをさせたい」という親の思いがあるようです。

 

ドイツのハンブルク・エッペンドルフ大学病院・青年中毒問題センターの研究によれば、子どもたちのスマートフォンやタブレットを使うゲームや動画鑑賞の時間が急速に増加したそう。2019年には平日で平均79分だった時間が、コロナ禍以降には139分にまで増えました。学校や託児所の閉鎖で自宅勤務せざるを得ない状況となった親も、どう対処してよいかわからず、デジタル機器に頼ってしまった傾向があることも判明しています。

 

しかし、学校の授業や習い事もオンライン化されステイホームが続くと、多くの親が子どもに「デジタル離れ」させることを真剣に考えるようになりました。子どもたちがテレビゲームや動画視聴に費やす時間を減らすために、ボードゲームが発展を遂げることになったのです。

 

ボードゲームは、参加者が多ければ多いほど刺激が増えて楽しくなります。ただし、コロナ禍では大勢で遊ぶことが難しくなったため、2020年以降は1~4人用という単独や少人数で遊べるゲームの人気が上昇しました。

 

例えば、2021年にドイツの「Spiel des Jahres」というゲーム大賞に輝いた、探偵ものボードゲーム『Micro Macro』は1人でも楽しめるだけでなく、3~4人で一緒に推理をしながら遊ぶこともできます。ポップで可愛いイラストからは想像できないような凶悪犯罪が起きる街で、カードに書かれた問題を推理し事件を解決するというこのゲームは、対戦型とは違って、個人でも集団でも楽しめるという点が現代にぴったりです。

↑個人でも集団でも楽しめる推理系ボードゲーム『Micro Macro』

 

その一方、2020年に発売された『Corona – mit Eifer ins Geschäft(「コロナ – 熱意をもって店舗へ」という意味)』というボードゲームも注目を集めました。「外へ買い物に行く」という当たり前の日常生活が困難になったパンデミックの時期を再現したこのゲームは、トイレットペーパーや消毒液など、コロナ禍での必需品を誰が集められるかを競います。対象年齢は7歳からで、遊び方はとても簡単。買い物をするためには「コロナウイルス」という障害を乗り越えなくてはならず、「マスク」や「タクシー」のカードを引いた人はしばらくの間感染から保護されます。

 

このゲームは、ドイツのヴィースバーデン市に住む20歳と14歳の姉妹が開発。最初のロックダウン(都市封鎖)で、トイレットペーパーやマスク、消毒液、小麦粉などがスーパーから消えました。それらを手に入れるために、ソーシャルディスタンスを保ち、マスクや手袋をはめ、必死になって商品を探し回る消費者の姿からアイデアを得たといいます。

 

ロックダウンによって学校や友人との交流が絶たれ、残ったものは時間だけ。しかし、そこでこの2人はその時間を使ってボードゲームを開発しようと思いついたそうです。このゲームは飛ぶように売れ、発売後には、まるで当時のトイレットペーパーのパニック買いと同じくらいの速さで完売になった、と姉妹の父親はインタビューで冗談交じりに話しています。

 

やめろと言われても……

↑コロナボールしようよ!

 

ボードゲームの世界だけでなく、子どもたちは近年「コロナ遊び」を自分たちで生み出し、日常的に楽しんでいます。ドイツの小学生の中では「コロナボール」と呼ばれる遊びが見られるようになりました。

 

ルールは各グループでそれぞれ異なりますが、タネを明かせば、以前から行われていたボール遊びです。日本のドッジボールのように、ボールを投げ合い、ぶつけられた人がコロナに感染。感染しても、誰かにボールを当てれば感染から回復できるというルールです。

 

それ以外にも、罰ゲームを達成することで、ボールを当てられた人(コロナ感染者)は回復し再度ゲームに参加できるルールもあります。「罰ゲームをこなす」というルールは、コロナ禍での「感染後の隔離」と似ている部分もあり、現実の世界でもゲームの世界でも、感染してしまった人は決められた規定を守らなければならないのです。

 

パンデミックが始まった当初、子どもたちが「コロナ遊び」をすることについては、感染防止や道徳的な観点から大人の間で議論されたこともありました。しかし、子どもたちは遊びの天才。コロナボールのように、子どもたちは昔からあった遊びをアレンジしながら、「どうしたらコロナ感染を防げるのか?」「どのようにすれば回復するのか?」というルールやストーリーを自然とゲームに取り入れて、新しい遊び方を生み出しています。大人は反対するのではなく、そっと見守るべきでしょう。

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