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2023/7/12 6:30

妻が家族を養ったら夫はどう思う? 英の調査で男の本音が明らかに

日本では、結婚している世帯の多くは共働きです。昨今ではワークライフバランスが奨励され、家事や育児を積極的にするパパが増えていますが、もし夫(男性)が働かなくなったらと考えてみてください。「妻(女性)が働き、夫が家庭」になった場合、この夫婦はどれくらい幸せになるのでしょうか? 英・バース大学で社会政策を教えるヘレン・コワレウスカ准教授が調べました。

↑本来なら俺が…

 

同准教授は、欧州9か国で生産年齢層の4万2000人を対象にアンケート調査を行い、自分の生活満足度を0〜10の10段階で評価してもらいました(0が最低、10が最高)。すると、多くの参加者が5〜8と回答したとのこと。

 

しかし、よく見てみると男女差が明らかになりました。まず男性の場合、妻だけが働いていると、失業中の夫の生活満足度は5.86でした。逆に自分だけが働いていると、夫の満足度は7.16に上がったのです。

 

一方、女性の場合、夫だけが働いてると、失業中の妻の生活満足度は6.33。逆に、自分だけが働いていると妻の満足度は7.10になりました。

 

これは「妻が働き、失業中の夫は家庭」という夫婦関係においては、男性のほうが精神的に参ってしまうことを示しています。この傾向はドイツで顕著だったようですが、英国やアイルランド、スペイン、フィンランドを含めて欧州全体で見られたとのこと。失業中の男性には、仕事に出かける妻を見送ることなどは耐えきれないため、「妻も働かなければ良い」とさえ思ってしまうそうです(実際、夫婦ともに失業している場合のほうが、男性の生活満足度は高くなるとのこと)。妻だけが働いている場合、仕事のない夫の満足度は最低になってしまうようです。

 

多くの国で、家族を養うことは、男性意識の中心を占めており、男性らしさや理想的なパパ像と密接につながっているとコワレウスカ准教授は述べています。失業している場合、男性にとっては世間の目もつらく、孤独感に苛まれ、メンタルヘルスに不調をきたします。そんな夫をそばで見ている妻にとっても、これはこたえます。

 

世界各国で中間層が没落している中、このようなジェンダー規範は、失業を乗り越えようとする夫婦の妨げになるとコワレウスカ准教授は論じています。「家族を養うこと」と「男性らしさ」の関係を断ち切ることは容易ではありませんが、この問題に挑み続けることが依然として不可欠であると同教授は強く主張しています。いつか男性は「家族を養う」という役割から解放されるのでしょうか?

 

【出典】
Helen Kowalewska. Couples in which the woman is the only earner report lower life satisfaction – new research. The Conversation. July 4 2023