住宅価格と住宅ローン金利の急速な上昇や慢性的な住宅不足により、最近の英国人は狭い空間での暮らしを強いられています。そこで注目を集めているのが、小さなスペースでも豊かな暮らしを実現できる日本の家具。なかでも丸めて収納可能な寝具の「FUTON(布団)」が大人気です。
英国のファミリー向け住宅は3〜4寝室がある家が人気で、ゲストルームを作れることが理想的とされます。しかし、最近は住宅価格やローン金利が高騰し、大きな家どころか住宅購入自体が難しくなっています。
それでも住宅を探す人は増え続けているため、一軒家を分割譲渡した物件やシェアハウスが増え、省スペースのタワーマンションの建設も加速。暮らしのスペースはどんどん狭くなっていると言えるでしょう。
狭い空間を最大限に生かす
そのような状況で注目されているのが、日本でよく見られる場所を取らない省スペース家具です。
1980年に英国で設立されたFuton Companyは、40年以上にわたって国内に高品質の布団や家具を提供。小さな場所を生かした日本の家具デザインに影響を受け、省スペースでの暮らし方を提案する店舗「FUTON」を展開し、革新的な商品を幅広く取り扱っています。
例えば「BED IN A BAG」は、丸めて収納ができる布団。日本では布団を畳んで収納するのは当たり前ですが、ベッド文化が定着している英国ではとても画期的なアイデアなのです。
また、畳や木で作られた和スタイルのパーテーションを利用し、部屋を仕切ってさまざまな用途に使うことを提案しています。
さらに、玄関周りの家具が充実しているのも大きなポイント。英国は土足文化のため、基本的に玄関に靴箱などの収納がありません。同社ではチェストや棚を置くことで、玄関の小さなスペースでも最大限に生かすように推奨しています。
FUTONの店舗を訪れていた現地の客は、「畳める布団はゲスト用にも使えるかもしれない」「タタミや木のぬくもりのおかげで小さなスペースでもリラックスできそう」など、商品に共感していました。英国の住宅難は今後も続く見通しのため、狭い空間を利用できる日本の家具や布団はより注目されていきそうです。