世界に展開する高級ホテルブランドのヒルトン。そこで出される料理に、まさか残り物が使われているなんて、誰も想像しないでしょう。でも現在、英国の4つの主要なヒルトンホテルが、廃棄を出さないメニューという新しい試みにチャレンジしているのです。
例えば、野菜の皮、魚の内臓、熟れすぎた果物、ビュッフェの残りもの。これらは従来では廃棄されてきました。しかし、国連環境計画(UNEP)の報告書によると、世界では毎年10億トンもの食べ物が廃棄され、そのうちの約4分の1は、食品サービス産業で生まれているとのこと。
ヒルトングループでは、そんな食料廃棄の実態に目を向け、廃棄物をできるだけ出さない試みを行うことにしたのです。そこで、英国にある4つのフラッグシップホテルで期間限定で導入されたのが、「ゼロウェイスト(廃棄ゼロ)」メニュー。
ソースに仕立てたり、発酵させたり。ヒルトンが「nose-to-nail(鼻から爪まで)」や「root-to-shoot(根っこから芽まで)」と表現する、一流ホテルのテクニックを駆使して、これまでは廃棄していたものを上手に活用して、美しい料理に仕上げています。知らなければ、廃棄されるものを使っているなんて誰も思わず、おいしく食べ進めそうです。
この料理は、各ホテルによってメニューが若干異なりますが、5〜7品とドリンク付きで1人40ポンド(約7800円※)。英国の高級ホテルで提供される料理としては、比較的低価格に抑えられているのは、廃棄される食べ物を材料に活用していることのほか、この料理を多くの人に味わってもらいたいという狙いがあるのかもしれません。
今後は同様の取り組みを行うホテルを拡大していきたいというヒルトングループ。人口増加にともない、食料不足が懸念されている将来は、こんな廃棄ゼロの料理を作るレストランが増えていくかもしれません。
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【主な参考記事】
Business Traveller. Hilton trials zero waste menus at four UK hotels. April 24 2024