雑貨・日用品
2025/2/13 19:00

コットンやシルクが人気! 天然素材インナーの魅力とおすすめ商品を下着のプロが解説

ショーウインドウに春物が並び始め、春のファッショントレンドが気になり始める今日この頃。とはいえ一歩外に出れば寒風が吹き、まだまだ防寒着が手放せないのも現実です。そんな寒さ対策や、寒暖差が大きい春先の体温調整に欠かせないのが「インナー(肌着)」です。

 

お店に行けば、たくさんのインナーが並んでいますが、いざ購入するとなると何を買えばいいのか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか? そんなとき、選択肢のひとつとしておすすめしたいのが天然素材インナーです。25年以上にわたって国内外の下着市場を取材してきた、ランジェリーライターの川原好恵さんに、その魅力とおすすめ商品を教えていただきました。

 

そもそも天然素材ってなに?

そもそも天然素材とはどういったものを指すのでしょうか。素材の基本について、川原さんにおうかがいしました。

 

「素材・繊維は、大きく天然繊維と化学繊維の2種類に分けられます。天然繊維は、有史以前から地球上に存在していたもの化学繊維は人間が作り出した繊維のことです。天然繊維は、さらに植物繊維動物繊維に分けられ、植物繊維は綿(コットン)や麻、動物繊維はウール・獣毛や絹(シルク)と分類されます」(ランジェリーライター・川原好恵さん、以下同)

 

なぜいま、天然素材が人気なの?

化学繊維が持つ優れた機能性は防寒対策の強い味方ではありますが、近年は、肌にやさしく心地よい天然繊維・天然素材、なかでもコットンやシルクの人気が高まっているそうです。なぜ、いま注目されているのでしょうか。

 

「天然素材のインナーはずっと昔からあるアイテムですが、いまあらためて注目されている理由の一つは、どうやらコロナ禍にあるようです。
様々な制限を強いられ、お家時間が長くなり、自分と向き合う時間が長くなったあの時期。『自分が本当に心地いいと感じるものを身につけたい』『やさしい肌触りに癒されたい』と思う方が増え、天然素材インナーの人気が上昇しました
さらに百貨店などでも、『多少価格が高くても、いいものを選びたい』という声が多く聞かれるようになり、上質なコットンや高級素材として知られるシルクのインナーが注目されるようになりました」

 

最もメジャーな天然素材、コットンの魅力

天然素材のなかでも、注目が高まっているコットンとシルク。ここからはそれぞれの素材の魅力と、それらを使って作られたおすすめの商品を、川原さんにご紹介いただきます。

 

まずは、天然素材のなかで誰もが着た経験があり、最も身近に感じるであろう素材、「コットン」の魅力からみていきましょう。

 

・吸水性が高いのに保温性もあり、タフさが自慢!
「人は5000年以上前からコットンを身にまとっていたそうです。その理由は、吸水性が高いのに保温性もあり、洗濯を繰り返しても丈夫で耐えられるなど、長所が多いから。まさにインナーにふさわしい素材と言えます。糸の細さや長さ、編み方、加工によってその風合いは異なるので、購入する際は実際に触って選ぶのがベストです」

 

デリケートな肌の人は縫い代にも注意して
「コットンは繊維の先に丸みがあって柔らかく、肌触りがやさしいのも特徴。そのため、デリケートな肌の方が選ぶことも多いと思います。ただ、気を付けたいのが縫い代です。いくらコットンでも、厚手の生地だと縫い代がゴワゴワして気になることがあるので、肌あたりしにくいように縫い代が始末されているものや、薄手のもの、脇に縫い目がないタイプを選ぶのがおすすめです」

 

ランジェリーライターが実際に着てよかった!
コットンインナー2選

川原さんが実際に着用したコットンインナーのなかで、特におすすめの2商品をご紹介します。

ガーゼ編みならではのふんわり感にほっこり癒される

ハクロ「コットン・ガーゼ 10分袖 クルーネック
3960円(税込)

 

「基礎化粧品を選ぶようにインナーを選ぶ」をコンセプトとする「ハクロ」。繊細な肌質の人向けに開発されたのが、このコットン・ガーゼシリーズです。

 

「二重ガーゼ編みのふんわりとした肌触りで、ほんのり暖かくて軽く“ほっこり”とした気分にさせてくれるインナーです。ボディ部分が筒状になっているので脇に縫い目がなく、裾もフリル状のメロウ仕上げにするなど、デリケートな肌に負担にならないようさまざまな工夫が施されています。夏以外の3シーズン愛用できる便利な一着です」

 

肌にやさしい“無染色”のオーガニックコットン

プリスティン「チューブテレコクルーネック/オーガニックコットン
9900円(税込)

 

肌にも心にもやさしいデザインが特徴のオーガニックコットンブランド「プリスティン」。そのなかでも人気のインナーが本品です。

 

「コットンが持つ油分をそのまま活かせるように、オーガニックコットンが無染色のまま使われていて、縫製の担当者からも『ずっと触れているから手がツルツルになる』と言われるそうです。伸縮性のあるほどよい厚さの生地で、脇に縫い目がなく、体にフィット。シンプルなデザインですが、裾口と袖口に薄手の生地があしらわれているので、チラ見せして着るのもおすすめです」

 

最高級の天然素材、シルクの魅力

続いて、天然素材のなかでも最高級の素材と言われる「シルク」の魅力をご紹介します。

 

・吸湿性・発散性・保温性に優れ、実は“コスパ良し”の素材
「シルクは、優雅な光沢感が魅力でオートクチュールのドレスや高価な着物にも使われる美しい素材ですが、実は機能性にも優れた才色兼備な素材なのです。
綿の1.3〜1.5倍の吸湿性があり、発散性と保温性にも優れているので、冬は暖かく夏は涼しい。そのため“天然のエアコン”と言われることもあります。シルクのインナーはどうしても価格が上がってしまいますが、高機能で一年中着られるので、結果的にコスパがいい優秀素材とも言えます」

 

・主成分はタンパク質、その美肌効果に期待
「最近、シルクが別の機能でも注目を集めています。それが美容効果です。シルクは約18種類のアミノ酸が結合した繊維で、主成分は人の皮膚と同じタンパク質。肌への親和性に優れていることから、美肌効果が期待できるというわけです。
髪にもいいということで、シルクのナイトキャップや枕カバーも大人気。もちろん、直接肌に触れるインナーはその効果を存分に享受できるアイテム。加えて、シルクという高級素材を下着でまとうという贅沢は、心を豊かにしてくれそうです」

 

ランジェリーライターが実際に着てよかった!
シルクインナー2選

川原さんが実際に着用したことのあるシルクインナーのなかから、特におすすめの商品を2点教えていただきました。

シルク100%ならではの上品な光沢感と繊細な発色

アロマティック「シルクアコーディオン ボトルネックロングスリーブ
2万900円(税込)

 

上質を知る大人の女性のためのインナーを展開する「アロマティック」。ご紹介するのは、イタリアの最高級シルクメーカーONGETTAの生地が使われたインナーです。

 

「上品な光沢感と繊細な発色は、高級シルクだからこそ表現できるもの。脇に縫い目がなく滑りがいいので、重ね着してもとてもスムーズ。首まで包めて暖かいうえ、剥ぎ目がないのでゴロついた感じがしないのもポイントです。もちろん見せて着ても映える美しさです」

 

シルクニットで“黒”を実現させた貴重な一枚

ヌゥ ライフインシルク「インナーニット
1万6500円(税込)

 

ブランド名に、「裸(Nu・ヌゥ)よりも心地良い日常着であってほしい」という想いが込められた「ヌゥ ライフインシルク」。袖をシェイプさせることでダブつきを軽減し、着心地のよさを高めています。

 

「少し厚めのリブ生地のインナーは、100%シルク糸を使っていながらもカジュアルな雰囲気で着られるのが魅力です。ブラックのシルクニット生地は光沢感が失われやすいため、作られることはほとんどないのだそう。そんななか、ブランドディレクターが無理を言って実現させた貴重な一枚が、本品なのです」

 

コットン・シルクインナーの
お手入れポイント

最後にお手入れのポイントをうかがうと、川原さんは、「インナーにかぎらず衣類を洗濯する際は、必ず洗濯表示を確認し、商品タグに付いている取り扱いの注意事項にも目を通すことが大切です」と熱弁します。

 

「たとえば、洗濯に強いタフな素材であるコットンも『洗濯ネット使用」』『タンブラー乾燥は避ける』などと明記されている場合があります。もちろんシルクも同様。シルクインナーは、高級素材であっても自宅で洗えるものがほとんど。ただし、日に当たると変色しやすいため陰干しが基本です」

下着は人の目に触れるものではありませんが、直接肌に触れるぶん、着ていて心地よければ一日を快適に気分よく過ごせるものです。自分の体と心が安らぐのはどんな肌触りかを知るためにも、実際に売り場で商品に触れ、じっくり時間をかけてお気に入りの一枚と出会ってくださいね。

 

Profile

ランジェリーライター / 川原好恵

文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ウェブサイトなどで執筆・編集を行なう。モットーは「ラグジュアリーからプチプラまで」。国内外の展示会・店舗を幅広く取材する。
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