IHクッキングヒーターといえば、高い火力や細かな制御、そして「火を使わない」という安心感などから人気です。しかも最近は各社が「料理を失敗しにくい」さまざまな機能を搭載しています。しかし、料理を失敗しにくいのはなぜなのか、よくわからない人も多いはず。そこで今回は2月1日発売の三菱電機のIHクッキングヒーター「びっくリングIH PT316H」(以下、PT316H)シリーズの体験会に参加し、その理由を探ってきました。
直径30cmの大きな鍋も使えるのが特徴
PT316Hは「びっくリングIH」の名前の通り、大きなIHの直径が特徴です。一般的なIHは直径26cmほどの鍋しか使用できませんが、PT316Hなら直径30cmの鍋も使えます。そして、本製品最大の特徴ともいえるのが、このIHのコイルが「5つのパーツ」に分かれていることです。この5つに分かれたIHは「びっくリングコイルP」と呼ばれています。
しかも、この製品のスゴイところは、「IPM駆動回路」と呼ばれる制御基盤を使うことで、5パーツのコイルをそれぞれ独自に制御できること。30cmの大型IHということで「IHの範囲が広い分、小さな鍋を使った場合でも電気代が高いのでは?」と心配になるかもしれませんが、小さい鍋を使った場合は、鍋が触れている範囲のIHパーツしか加熱しないそうです。
5つに分かれたコイルが対流をコントロール
PT316Hで特に注目したい機能は「対流煮込み加熱<プラス>」です。温めた液体は鍋の中でグルグルと動き回る「対流」を起こします。この対流を細かく制御するのが「新対流煮込み加熱」機能。たとえば、鍋の中心だけを加熱すると、鍋内の液体は「中心から外側に向かって対流」し、鍋の外側だけを加熱すると「鍋の外側から内に向かって対流」します。5パーツに分かれた「びっくリングコイルP」なら、この「内対流」「外対流」はもちろん、内対流に関しては「タテに対流」「ヨコに対流」といった細かな制御までできます。
つまり、この機能により、本機は「鍋の中の動きをコントロール」できるということ。煮込み料理のときには、自動的に鍋のなかをかき混ぜる動きをしてくれるのです。
焦げ付きをを抑え吹きこぼれを防ぐ機能も
また、カレーといえばルーを入れたあとは粘り気が出てきて、鍋底に焦げ付きやすくなります。このため、カレーはルーを入れたあとはつきっきりでかき混ぜなければいけません。ところが、びっくリングコイルPは「常に鍋内をかき混ぜる」動作をするため、この焦げ付きも抑制できるのです。
会場ではびっくリングコイルPと、普通のIHで同時に同じ火力でカレーを調理。その鍋底の焦げ付きを比較するというデモンストレーションも行われました。結果は一目瞭然。普通のIHは、鍋をひっくり返しても野菜が全面に張り付いて取れませんでした。一方、びっくリングコイルPは一部の玉ねぎがくっついているだけ。今回の実験で、まったく焦げ付かないわけではないですが、焦げ付きの範囲がかなり狭いのはわかります。カレーの場合は、かき混ぜる頻度を大きく減らすことはできそうです。カレーを次の日に温め直すのにも便利ですね。
もう一つ、個人的にかなり便利だと感じたのは「ゆでもの加熱」。これは沸騰をキープしつつ、吹きこぼれを抑える機能です。パスタやそばなどをゆでる際に、突然お湯があふれてコンロ一面が大惨事……という失敗をしたことがある人は多いと思いますが、この機能があればこの失敗も防げそうです。
グリルには加熱ムラの少ないコンベクション方式を採用
体験会では、トッピングのカツをグリルで温める調理もありました。実は、多くのメーカーのグリルはヒーターやIHで直接食材を加熱します。ですが、PT316Hのグリルは庫内を熱風で包んで加熱するコンベクション方式。つまりオーブンと同じ方式です。このため、食材の一部だけ焦げるといったことなく、加熱ムラの少ない加熱が可能です。この体験会では、すべての調理後に試食もできましたが、温めたカツもサクサクに仕上がっていました。本機は、勝手に料理をかきまぜながら、吹きこぼれと焦げ付きを抑え、グリルもおいしいと、最先端のIHヒーターらしい高い実力を見せてくれました。いまいちIHは使い勝手が悪いと思っている人にとっても、本機の付加機能は大きな魅力ではないでしょうか。