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2016/8/5 21:08

「プロ仕様のかき氷器」の謳い文句は本当か? その名も「本格かき氷器」の実力を徹底検証!!

この数年は、かき氷人気がかなり白熱しており、人気のかき氷店は数時間の行列も当たり前。そんなかき氷人気を受けてか、最近は家庭用のかき氷器の発売も目立ちます。しかし、こうした家庭用かき氷器では、専門店レベルの味を再現するのはなかなか難しいようです。そんななか、貝印から「プロ仕様」を謳った「Kai House 本格かき氷器 DL7521」(実売価格1万6200円 ※以下、本格かき氷器)が発売されました。

 

↑Kai House 本格かき氷器 DL7521と、府増する専用製氷機
↑Kai House 本格かき氷器 DL7521と、付属する専用製氷器

 

氷受け板に氷を乗せてハンドルを回すだけ

本機は、業務用ハイエンド機を目指したプロ仕様の製品ですが、使い方はいたって簡単です。付属する専用の製氷器で氷を作り、その氷を「氷受け板」に乗せて大ハンドルを回すだけ。ハンドルと連動して氷が回転することで、氷受け板の刃が氷を薄く削るという、単純な構造です。

↑本体サイズは底面が直径約22cm、高さが最小時で約44cmと家庭用かき氷器としては大きめ。高さはほぼ一升瓶と同じくらい。重量は約1.6kgと大きさのわりに軽い
↑本体サイズは底面が直径約22cm、高さが最小時で約44cmと家庭用かき氷器としては大きめ。高さはほぼ一升瓶と同じくらいです。重量は約1.6kgと大きさのわりに軽め

 

↑刃のついた氷受け板に氷ののせてハンドルを回すだけで、かき氷が作れます
↑刃のついた氷受け板に氷ののせてハンドルを回すだけで、かき氷が作れます

 

2重カップで透明な氷を作ったら20時間かかった

とはいえ、本格かき氷器にはおいしい氷を削るための、さまざまな工夫とこだわりがあります。その一つが「氷」です。かき氷専門店の多くは、透明で硬い「純氷」を使用しています。これは、-10℃以上の低すぎない温度で、ゆっくりと水を凍らせることで作られる氷です。しかし、一般的な家庭の冷凍庫の温度は-18℃~-25℃と非常に低温。このため、水が一気に凍り、気泡を含んだ柔らかく不透明な氷になってしまいます。

 

そこで、本格かき氷器では、熱が伝わりにくい2重カップの製氷器を採用。ゆっくりと水を凍らせることで、透明で硬さのある氷が作れるようにしました。また、より透明な氷を作るには、ミネラルウォーターを5分ほど沸騰させ、常温に戻した水を使うと良いそうです。

↑2重構造になっている製氷器。熱伝導性を低めることでゆっくりと水を凍らせることができる。容量は約650mlで、直径11cmの小ぶりな器なら5~6杯分のかき氷が作れた
↑2重構造になっている製氷器。熱伝導性を低くすることでゆっくりと水を凍らせることができます。容量は約650mlで、直径11cmの小ぶりな器なら5~6杯分のかき氷が作れました

 

↑製氷器内側のカップは柔らかい素材。カチコチに凍った氷もギュッと握って出すことができる
↑製氷器内側のカップは柔らかい素材。カチコチに凍った氷もギュッと握って出すことができます

今回のレビューでは、「内カップだけで水道水を氷にしたもの」、「2重カップで水道水を氷にしたもの」、「2重カップで、沸騰させたミネラルウォーターを氷にしたもの」の3種類の氷を作りましたが、たしかに「2重カップで沸騰させたミネラルウォーターを氷にしたもの」は透明な部分がかなり多いことがわかります。

↑左から「内カップだけで水道水を氷にしたもの」、「2重カップで水道水を氷にしたもの」、「2重カップで、沸騰させたミネラルウォーターを氷にしたもの」。手間をかけたほうが、硬くて透明な氷が作れます
↑左から「内カップだけで水道水を氷にしたもの」、「2重カップで水道水を氷にしたもの」、「2重カップで、沸騰させたミネラルウォーターを氷にしたもの」。手間をかけたほうが、硬くて透明な氷が作れます

 

 

ちなみに、説明書には、透明な氷ができるまでの時間は「約8~12時間」とありましたが、我が家では20時間近くかかりました。かき氷パーティーなど、大量に氷を使う場合は、数日前から氷を作り置きしておく必要がありそうです。

 

ギア内蔵でどんなに力を入れても均一に削れる

もちろん、本格かき氷器は美しい氷が作れるだけではありません。本体には「ウォームギア」を内蔵。想定以上の力でハンドルを回すと、このギアが余分な力を本体側面の小ハンドルに逃がします。このため、強い力でハンドルを回しても「一部の氷が分厚く削れる」といった失敗がなく、すべての氷を薄く均一に削れるのです。

↑本体ハンドル下に内蔵されている、歯車の形をしたウォームギア。強すぎる力がかかると、横の小ハンドルに力を分散させます
↑本体ハンドル下に内蔵されている、歯車の形をしたウォームギア。強すぎる力がかかると、横の小ハンドルに力を分散させます

 

↑軽い力で氷がサクサクと削れます。本体サイズが大きいため、ハンドルを一周させるだけで、一気にたくさんの氷が削れるのもうれしいポイント
↑軽い力で氷がサクサクと削れます。本体サイズが大きいため、ハンドルを一周させるだけで、一気にたくさんの氷が削れるのもうれしいポイント

 

口に含むとスーッと溶けるお店の味が再現できた

このため、本製品で削った氷は、専門店で提供されるかき氷のように、細かな繊維が連なった薄い板状。スプーンですくうとふわふわとした感触であるほか、口に含むと舌の上でムラなくスーッと消える、これぞ「お店の味」です。ちなみに、不透明な氷も削ってみたところ、なんとこちらは「粉状」に削れてしまいました。しかも、粉状の氷は氷同士がくっついて、一部溶けにくい部分が口に残る残念な食感。透明な氷は見た目だけでなく、食感も格段に良いので、手間と時間がかかっても透明な氷にこだわることをオススメします。

↑こちらは透明な氷を使って「繊維状」に削れた氷。空気を含んでふんわりと盛られている上、口に含むとスッと溶ける
↑こちらは透明な氷を使って「繊維状」に削れた氷。空気を含んでふんわりと盛られている上、口に含むとスッと溶けます

 

↑不透明な氷を使用すると「粉状」に削れた。こちらもまずくはないのだが、溶け方にムラがあり、食感は一段劣る
↑不透明な氷を使用すると「粉状」に削れました。こちらもまずくはないのだが、溶け方にムラがあり、食感は一段劣っています

 

甘いスイーツからサラダまで様々なレシピが楽しめる

家庭でかき氷が作れる魅力のひとつは、なんといっても自分好みのバリエーションが楽しめるところでしょう。本格かき氷器には専用のレシピブックも付属しており、なんとシロップの作り方まで載っています。そのほか、今人気の「台湾風マンゴーかき氷」のような、味付き氷を削って作るかき氷のレシピも掲載。

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↑こちらはレシピブックに掲載されていた「抹茶白玉金時」と「台湾風マンゴー」。レシピ掲載のシロップは甘さ控えめで大人の味。自作シロップならば、自分で甘さや抹茶の量などを調整できるのも嬉しい
↑こちらはレシピブックに掲載されていた「抹茶白玉金時」(上写真)と「台湾風マンゴー」(下写真)。レシピ掲載のシロップは甘さ控えめで大人の味。もちろん、自分で甘さや抹茶の量などを調整してもOKです

 

↑「アボカドヨーグルトのシュリンプカクテル」といった変わったレシピも掲載されている。凍らせたアボカドを入れたヨーグルトマヨネーズを凍らせて削り、エビやレモンをのせたもの。パーティーの前菜としても喜ばれそう
↑「アボカドヨーグルトのシュリンプカクテル」といった変わったレシピも掲載されています。こちらは、凍らせたアボカドを入れたヨーグルトマヨネーズを凍らせて削り、エビやレモンをのせたもの。パーティの前菜としても喜ばれそう

 

味が薄まらないめんつゆ氷を試してみて

貝印が推奨するレシピではないものの、レシピに掲載されていないかき氷が作れるのも、自宅用かき氷器だからこその楽しみです。我が家では、「めんつゆ」を凍らせて、夏の暑い日はそうめんにかけて食べていました。これなら、つゆが薄まる心配もなく、そうめんを冷たいまま食べることができます。また、残った「めんつゆ氷」は、ビニール袋に入れて冷凍庫に保存することができるため、好きな量だけ使えるのが便利です。

↑そうめんの上に、大根おろしのように乗っているのが「めんつゆ氷」。麺を冷えたまま提供できるほか、溶けてもつゆが薄まらないメリットがあります。そうめんのほか、うどんや蕎麦などでも大活躍
↑そうめんの上に、大根おろしのように乗っているのが「めんつゆ氷」。麺の冷たさをキープできるほか、普通の氷と違って溶けてもつゆが薄まらないメリットがあります。そうめんのほか、うどんや蕎麦などでも大活躍

 

凍ったイチゴもスパっと切れる!

また、筆者がこの夏個人的にハマっているのが、牛乳で薄めたコンデンスミルクに、イチゴをゴロゴロと入れて凍らせたものを、かき氷器で削る「そのままイチゴミルク」。ふつうの家庭用かき氷器だと、イチゴ部分がボロボロとフレーク状に削れるのですが、なんと本製品ではイチゴの断面が輪切りになるように美しく削れます。貝印はさまざまなキッチンウェアを発売していますが、もともとは刃物メーカー。このイチゴの断面をみると、「さすがは刃物メーカー」と納得できる切れ味のよさです。

↑ミルク部分はフレーク状に崩れているが、注目してほしいのはイチゴの断面。カチコチに固まったイチゴが、すっぱりと輪切りに切れている。これは、刃の切れ味のよさがあってこそ
↑ミルク部分はフレーク状に崩れていますが、注目してほしいのはイチゴの断面。カチコチに固まったイチゴが、すっぱりとキレイな輪切りになっています。これは、刃の切れ味のよさがあってこそ

 

唯一、メンテナンスしづらいのが惜しい

本機で唯一、気になるのは本体が分解できないこと。味付きの氷を削ると、氷が触れる部分がベタベタになるのですが、本体が分解できないので、水でジャバジャバと洗うことができません。そのうえ、本体内が濡れるとサビなどの危険があるため、本体は流水でのお手入れが不可。このため、お手入れ方法は、洗剤を含ませた布で汚れを拭き、さらに乾いた布で水分を拭くしかないのです。これだと氷を固定するスパイクや、刃を固定するビス回りなど、凹凸が多い部分は汚れが残りそうに感じました。

↑氷を固定するスパイク部分と、刃を氷受け板に固定するビス回りなどに汚れが溜まりがち。このあたりの清掃性が高くなるとうれしいです
↑氷を固定するスパイク部分と、刃を氷受け板に固定するビス回りなどに汚れが溜まりがち。このあたりの清掃性が高くなるとうれしいです

 

手間はかかるが「プロ仕様」を謳うだけの実力だった

メンテ性が惜しいところではありますが、1万6200円という価格は、性能を考えれば手ごろといえるでしょう。電動式ではなくシンプルな構造のため、壊れにくそうなのも魅力的。コンセントも不要なので、場所を問わず使用できるのもうれしいです。

 

また、筆者はいままでさまざまな家庭用かき氷器を使ってきましたが、ここまで「専門店の味」に近いものは初めて。水を沸かして氷を作り、さらにシロップも自家製となると、手間と時間はそれなりにかかりますが、それに見合ったクオリティのかき氷が食べられました。ご家庭だけではなく、小規模カフェなどの業務用でも活躍しそうですね。個人的には、「プロ仕様」の「本格かき氷器」の名に違わぬ実力だと感じました!