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2017/3/24 14:10

マーベル新作「アイアン・フィスト」が見られるのはNetflixだけ! 米国本社で感じた制作への熱い思い

インターネット動画配信サービスのNetflixが、マーベルとタッグを組んで製作したシリーズドラマ「アイアン・フィスト」が3月17日に世界同時公開となりました。「アイアン・フィスト」はNetflixのマーベル作品として初めて撮影段階からHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)の高画質映像により製作された作品です。本作品が誕生した舞台裏を、アメリカのNetflix本社を訪ねて取材しました。

↑Netflixとマーベルがタッグを組んで製作した4作目「アイアン・フィスト」が3月17日に世界で同時にストリーミング配信を開始
↑Netflixとマーベルがタッグを組んで製作した4作目「アイアン・フィスト」が3月17日に世界で同時にストリーミング配信を開始

 

↑日本版も無事配信がスタートした。カウントダウンイベントには配信直後からのアクセス数を表示するモニターも設置された
↑日本版も無事配信がスタートしました

 

Netflixの本社はカリフォルニア州のロスガトスという、アメリカのなかでも比較的裕福な街であり、緑に恵まれた静かなところにあります。広々とした敷地に並ぶ7つのビルディングに1800人の従業員が働くオフィスには社長をはじめ経営陣によるメイン機能のほか、テクノロジーの拠点が集まっています。とても自由な雰囲気が漂うNetflix本社の様子は、去年ゲットナビ編集部が取材した本社潜入レポートもチェックしてみてください。

↑米カリフォルニア州の雄大な自然の中に溶け込むNetflixの本社ビル
↑米カリフォルニア州の雄大な自然の中に溶け込むNetflixの本社ビル

 

↑広々としたレセプションにNetflixのテクノロジーが受賞したアカデミー賞/エミー賞のトロフィーが並ぶ
↑広々としたレセプションにはNetflixのテクノロジーが受賞したアカデミー賞/エミー賞のトロフィーが並んでいました

 

期待の新作「アイアン・フィスト」

Netflixによるオンラインコンテンツ配信は現在、全世界190か国以上に9300万人の会員を抱えているといわれています。視聴されているコンテンツのボリュームも毎日1億2500万時間以上とけた違い。マーベル作品は「デアデビル」「ジェシカ・ジョーンズ」「ルーク・ケイジ」に続いて、この「アイアン・フィスト」が4作品目になります。最新作はミステリアスな“鋼の拳”を武器に闘う“アイアン・フィスト”こと、ダニー・ランドが主人公。演じるのはクールなマスクが女性に人気の俳優フィン・ジョーンズ。ニューヨークにはびこる悪の組織をたたきのめす全13話のストーリーが「シーズン1」として配信されています。

 

Netflixのコンテンツは現在、スマートテレビやBDレコーダーなどのAV家電をはじめ、スマホ・タブレットにPCなどIT機器、ゲーム機やApple TV、Chromecastといったストリーミングデバイスなどインターネットにつながるエレクトロニクス製品で見ることができます。

 

HDR対応テレビで視聴するときのポイントは?

この「アイアン・フィスト」は映像の輝度情報を広げて、より鮮やかな色彩と立体的な解像感を再現するHDR技術を駆使した映像作品なので、同じHDRに対応するスマートテレビで見るとその魅力が一段と引き立ちます。

↑HDR版とSDR(通常)版のイメージの違い。よりいっそうの明るさと豊かな色彩が再現できるのがHDRの特長
↑HDR版とSDR(通常)版のイメージの違い。よりいっそうの明るさと豊かな色彩が再現できるのがHDRの特長

 

本作のHDR映像の“色づくり”は、ハリウッドで活躍するカラーリストのTony D’Amore氏が担当しています。カラーリストとは、デジタル映像の色合いなど細部にわたって制作者の意図を把握しながら、それを映像に落とし込む作業をサポートするスペシャリストです。「ぜひHDRと、通常のSDRの映像を見比べてみてください。明暗や色彩感の表現力がより高まるだけでなく、キャラクターの表情がいっそう引き締まったり、肌の質感などもよりきめ細かく感じられるはずです」と、D’Amore氏はHDR作品の見どころを解説しています。

↑Netflixのマーベル作品を担当するカラリストのTony D'Amore氏
↑Netflixのマーベル作品を担当するカラリストのTony D’Amore氏

 

↑「アイアン・フィスト」から同一のシーンをHDRとSDRで比較したイメージ
↑「アイアン・フィスト」から同一のシーンをHDRとSDRで比較したイメージ

 

D’Amore氏はNetflixのマーベル作品すべての色づくりを担当してきました。「アイアン・フィスト」の作品のキーカーラーは、ストーリーの重要なカギを握る色でもある「ホワイト」なのだとか。そして「デアデビル」では闇のなかに煌めくグリーンやレッド、イエローが、「ジェシカ・ジョーンズ」はクールな色、そして「ルーク・ケイジ」ではポップなオレンジがテーマカラーになっているそうです。全作品の映像をもう一度Netflixでチェックしたら、なるほどと思いました。

 

Netflixのコンテンツがスマホでもっと高画質に見られるようになる

ところで、「アイアン・フィスト」は間もなくスマホでもHDRクオリティで見られるようになります。今年、スペインのバルセロナで開催されたMWC2017ではLGエレクトロニクスが初めて、Dolby VisionのHDR技術に対応するスマホ「LG G6」を発表しています。Netflixでは本機の発売と同時期に、スマホ向けにDolby Vision対応の「アイアン・フィスト」の配信を開始できるよう準備しているようです。「最近では日本をはじめ、韓国やインドなどアジアの地域でスマホをメインにNetflixを視聴しているユーザーが増えています。スマホを使っていつでも・どこでもベストの画質でNetflixが楽しめる環境を整えることが私たちの使命です」と語るのは、NetflixのChief Product OfficerであるNeil Hunt氏です。

↑NetflixのChief Product Officer Neil Hunt氏
↑NetflixのChief Product Officer Neil Hunt氏

 

Netflixのコンテンツをいまスマホやタブレットなどのモバイル端末で楽しむ際には、ストリーミング再生時のモバイルデータ使用量(画質)をユーザーがマニュアルで選べるようになっています。Wi-Fiに接続できる環境がまわりになく、LTEの電波でNetflixにつないで視聴してもパケット通信量をなるべく低く抑えられるので便利です。昨年の11月からは、ダウンロード可能な作品はスマホに保存してオフライン視聴もできるようになりました。電車やバスなどで通勤時間で動画を見る時に活躍する機能です。

 

さらにNetflixではいま、より少ないデータ通信容量でベストな画質の動画ストリーミングが楽しめるようになるという新技術「ダイナミックオプティマイザー」を、今夏ごろの導入に向けて開発しています。ツアーでは現在の技術による映像と、新技術の画質とを見比べられるデモを体験しました。その画質の差はほとんどわからないほど、低ビットレートでもキレのある映像が楽しめそうです。スマホでNetflixがますます便利に見られる日がもうすぐそこまで来ています。

↑スマホ向けに、より低いビットレートで画質をキープしたまま配信するための「ダイナミックオプティマイザー」機能も開発中
↑スマホ向けに、より低いビットレートで画質をキープしたまま配信するための「ダイナミックオプティマイザー」機能も開発中

 

レコメン機能がもっと賢くなった

Netflixのユーザーインターフェースがより使いやすくなるアップデートも2つ紹介されました。Netflixでは膨大な数のコンテンツを、キーワード検索などをしなくてもユーザーの好みにピタリと合わせ込んで「レコメンド」してくれる機能の開発にとても力を入れています。レコメンドエンジンと呼ばれるソフトウェアのアルゴリズムはユーザーが視聴したコンテンツのジャンルなど行動履歴を学びながら、Netflixを見れば見るほど賢く育っていくというものです。

 

ユーザーの行動履歴を示す指標のひとつになる作品の「レーティング(評価機能)」は、従来の“5つ星評価”によるスコア付けから、もっとシンプルな“サムアップとサムダウン”の2択方式に変更されます。また作品のページを開くと、ユーザーの好みにマッチするか、55%以上・最大100%までのパーセント評価が数字で表示されるようにもなります。

↑自分の好みの作品はサムアップ・サムダウンでシンプルに評価。レーティングの結果などを計算に入れたマッチング表示も数字でわかりやすくなる
↑自分の好みの作品はサムアップ・サムダウンでシンプルに評価。レーティングの結果などを計算に入れたマッチング表示も数字でわかりやすくなります

 

機能の解説をしたVice President Product InnovationのTodd Yellin氏は「例えばあなたがドラマ『フレンズ』をよく視聴していたとしても、オススメ作品に恋愛モノばかりが並ばないよう、Netflixは賢いレコメンドエンジンをつくっています。キーポイントは視聴者の“行動履歴”をチェックしていることです。好みが似通っているかたの行動履歴を舞台裏でマッチングさせているので、より精度の高いオススメができるというわけです」と、Yellin氏はアピール。こう聞くと、ホーム画面のオススメ作品にどれぐらい自分の好みに近いものが並んでいるのか、あらためてチェックしてみたくなりませんか?

↑NetflixのVice President Product Innovation Todd Yellin氏
↑NetflixのVice President Product Innovation Todd Yellin氏

 

本社ツアーの最後には、今回のイベントに世界各国から集まった50人を超えるジャーナリストに向けて、Netflixの創業者兼CEOであるリード・ヘイスティングス氏が今後の抱負をメッセージとして語りました。

↑NetflixのCEO リード・ヘイスティングス氏
↑NetflixのCEO リード・ヘイスティングス氏

 

ヘイスティングス氏は「Netflixはテクノロジーの会社なのか、それともコンテンツの会社なのか」とよく訊ねられることがあるそうです。「私は、本当に素晴らしい企業とは、いくつもの強みを兼ね備えているべきだと考えています。Netflixは世界で最もすぐれたコンテンツスタジオと、優秀なエンジニアたちによる技術力をあわせ持つ会社です。いま世界中の190か国に向けて配信している動画サービスをより使いやすくしながら、それぞれの地域に住む方々に満足してもらえるコンテンツを充実させていくことの両輪で走り続けていきたい」と抱負を述べていました。

 

新作「アイアン・フィスト」はNetflixが視聴できる各地域に向けて、全22か国語の言語に翻訳されて配信されます。対応言語は今後もますます増えるとのこと。すべてのユーザーが満足できるベストな体験を届けるためには、何より丁寧なローカライズのプロセスが大事であり、そこにNetflixの強みがあるとヘイスティングス氏は強調しています。「アイアン・フィスト」のスリリングなストーリーをテンポよく支える字幕ひとつをとってみても、Netflixがいま世界最高の動画ストリーミングサービスのひとつと評価されている理由がよくわかります。

 

現在Netflixに加入されている方はもちろん、動画ストリーミングサービスを利用していない方も、最新技術で制作された「アイアン・フィスト」をチェックしてみてはいかがでしょうか。