失敗できない高級炊飯器選びにおいて、食感が合うかどうかは重要な要素。高級モデルには少なくとも3種類、多いものでは15通りの「食感炊き分け」機能が搭載されています。これを使えば、モチモチ食感が得意な炊飯器でもしゃっきり食感が楽しめるほか、その逆もできるはず。そこで今回は、主要5モデルの食感炊き分け機能をクローズアップし、その機能を使うとどんな食感になるのか、両極端のモードで炊き、実際に試食してその傾向を検証してみました。食感の度合いは、記事末に順番に並べてみましたので、ぜひご参照ください!
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高級炊飯器5モデルを「食感」で徹底比較!検証する機種はコチラ
エントリーその1
発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を採用し大火力で炊き上げる
象印
実売価格12万9600円
発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を内釜に使用した炊飯器。大きく伸びた羽根で側面ヒーターの熱を釜内に伝え、最大1450Wの大火力と1.5気圧の圧力炊飯でごはんをふっくらモチモチに炊き上げる。また、前回炊いたごはんの感想を入力することで、121通りのなかから好みの食感に近づける機能「わが家炊き」の炊き分け範囲を拡大。従来機種より固めに、よりモチモチに炊けるなど、幅広い食感に炊き分けられる。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:151wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.1Wh●加熱方式:プレミアム対流●内釜:南部鉄器 極め羽釜●サイズ/質量:約W305×H245×D400mm/約11.5kg
エントリーその2
「Wおどり炊き」に「加圧追い炊き」を加え、甘みとモチモチ感がアップ
パナソニック
実売価格9万7980円
IHの通電切り替えで激しい熱対流を生み出す「大火力おどり炊き」と、釜内を加圧状態から一気に減圧し激しい対流を生み出す「可変圧力おどり炊き」を組み合わせた「Wおどり炊き」を搭載。熱と水分を米に均一に行き渡らせ、ふっくらモチモチの銀シャリに炊き上げる。炊飯工程の終盤にさらに加圧して釜内を高温にする「加圧追い炊き」機能を新たに採用し、ごはんの甘みとモチモチ感がさらにアップした。50銘柄の銘柄炊き分け機能を搭載するほか、釜内を高温洗浄できる「お手入れ機能」も新採用。
SPEC●炊飯容量:0.5〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:160wh●保温1時間あたりの消費電力量:14.4Wh●加熱方式:6段全面IH●内釜:ダイヤモンド竃(かまど)釜●サイズ/質量:W266×H233×D338mm/7.0kg
エントリーその3
発熱効率が高い「本炭釜」と連続沸騰技術でかまど炊きの味を再現
三菱電機
実売価格11万9760円
IHの発熱効率が高い純度99.9%の炭素材を使った「本炭釜」採用モデル。内釜全体の発熱と噴きこぼれのない連続沸騰技術により、粒感のいいふっくらとしたかまど炊きの味を再現する。沸騰力の向上と高断熱構造の強化で火力をさらにアップ。蒸気口に新搭載した密封弁が蒸らし時の蒸気の流出を抑え、潤いたっぷりのごはんに仕上げる。15通りの食感炊き分け機能「炊分け名人」に加え、35銘柄に対応する「銘柄芳潤炊き」機能も持つ。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:162wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.2Wh●加熱方式:7重全面加熱+連続沸騰●内釜:本炭釜●サイズ/質量:W285×H249×D320mm/約5.7kg
エントリーその4
高温で炊き上げて高温で蒸らし、甘みと弾力の強いごはんに仕上げる
タイガー
実売価格7万9800円
内釜に遠赤効果の高い釉薬を塗った土鍋を採用し、さらに本物の土のかまど「遠赤大土かまど」を本体内に装備。土鍋と土かまどの二重発熱構造と可変圧力によって高温で炊き上げ、200℃以上の「高温蒸らし」で、甘みと弾力の強いご飯に仕上げる。しゃっきりからモチモチまで、好みの粘り加減に調整できるほか、土鍋のおこげが味わえる3段階の火加減調節も可能。「押麦メニュー」と「もち麦メニュー」の2種類の麦めしメニューも搭載する。
SPEC●炊飯容量:1.0~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:148wh●保温1時間あたりの消費電力量:18.3Wh●加熱方式:土鍋圧力IH + 可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W265×H233×D309mm/約7.4kg
エントリーその5
内釜の底に鉄の粒子を打ち込み効率的な発熱と高い伝熱性を両立
日立
実売価格10万6790円
水温を60℃以下で米にしっかり吸水させる「高温浸し」と独自の圧力スチーム技術を搭載。ふっくら艶やかで甘み豊かなごはんに炊き上げる。アルミ合金の内釜の底に発熱性の高い鉄の粒子を打ち込むことで効率的な発熱と高い伝熱性を両立し、内釜全体に素早く熱を伝えることで炊きムラを抑える。0.5合でもおいしく炊き上げる「少量炊き」機能も特徴。「蒸気カット」機能付きで、キッチン棚の中で使っても棚の天面が濡れず、設置場所の自由度が高い。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:145wh●保温1時間あたりの消費電力量:13.7Wh●加熱方式:圧力スチーム炊き●内釜:高伝熱 打込鉄・釜●サイズ/質量:約W268×H237×D352mm/約6.6kg
【検証内容はコチラ】
その炊飯器で「最もしゃっきり硬めの食感に炊き上げるモード」と、「もっともモチモチに炊き上げるモード」で炊飯。それぞれの食感の違いを見ることで、その機種が実現できる食感の幅を確認しました。
高級炊飯器5モデルを「食感」で徹底比較!検証結果はコチラ
エントリーその1
象印
「しゃっきり」モードではもちもちの弾力の中にほどける食感が表れる
本機の食感炊き分けは、「しゃっきり/ややしゃっきり/ふつう/ややもちもち/もちもち/やわらか/よりやわらか」の7通りで行えます。今回はそのうち、「しゃっきり」と「もちもち」で炊いたごはんの食感を比較しました。
まず「しゃっきり」モードで炊飯したごはんを試食しましたが、しゃっきり感は弱いと感じました。まだまだ「もちもち」と言っていいですが、ほろりとほどける食感が出てきたのが、このモードの特徴です。
一方の「もちもち」モードでは、もちもち感が強いうえに、「柔らかさ」が出てきたと感じました。粘りも増して米粒同士がくっつくようになり始めています。甘みは相変わらず強く、噛むほどにどんどん甘くなっていきます。もっちり、ふっくら、柔らかい、そんなキーワードで表現される炊き上がりを好む人には魅力的なモードだと感じました。
エントリーその2
パナソニック
「しゃっきり」モードでも「もちもち」モードでも食感のバランスの良さが光る
本機は「銀シャリ」モードで10種類の食感が選べます(「少量」モード含む)。一方銘柄炊きを選ぶと、各銘柄に合った炊き方にチューニングした「おすすめ」と「かため」「やわらか」の3種類のうちから食感を選ぶことになります。今回は銘柄炊きではなく、通常の「銀シャリ」モードの中から「よりしゃっきり」と「よりもちもち」を選びました。
「よりしゃっきり」で炊いたごはんは、その名の通り粘り気が少なく、口の中でホロっとほどける食感に仕上がりました。ただ硬さは、三菱電機「本炭釜」の「ふつう」の食感選択で炊いたものより、かなり柔らかいです。弾力が強すぎるのはイヤだけれど、ごはんが硬いのも苦手、という人には最適でしょう。甘みは、「ふつう」の食感設定で炊いた場合より控えめに感じました。
一方、「よりもちもち」で炊飯した場合は、やはり粘り気がかなり強くなっていました。ただ、これは意外だったのですが、口の中に入れると適度にほぐれてくれます。モチモチなのにほぐれる感覚もあり、適度に柔らかい炊き上がりになっていました。「よりしゃっきり」の場合もそうでしたが、両極端な食感のなかでも、バランスが良く食べやすい仕上がりになるのがパナソニックの特徴といえます。
エントリーその3
三菱電機
もちもちモードでも「粒感の立ったもちもち」になるのが面白い
本機には「炊分け名人」という機能が付いていて、「硬さ5通り」×「粘り3通り」の計15通りに炊き分けできます。今回はそのうち、「最も硬めでしゃっきり」「最も柔らかでもちもち」の2つの食感で炊いてみました。
まず、「最も硬めでしゃっきり」のほうは、噛んだ途端にほぐれる米の粒立ち感がすごいです。ただ、硬さはそれほどではなく、心地よく食べ進めることができます。甘さは通常モードよりさらに控えめで、すっきりした甘さだと感じました。
一方、「最も柔らかでもちもち」のほうは、粘りがかなり強くなりますが、食べるとほぐれる食感も残っています。ごはんの柔らかさはパナソニックの「よりしゃっきり」に近い印象。全体に、三菱電機独特の「粒感の立ったモチモチ感」が楽しいです。甘みは、これまで紹介した3モデルの「もちもち」モードよりは控えめですが、これも噛むごとに甘みを増していきます。
エントリーその4
タイガー
「しゃっきり」では米の粒感が際立ち、「もっちり」では粘りと甘みがアップ
食感炊き分けは「極うま白米」モードの「しゃっきり/標準/もっちり」の3種類のみ。これに加えて、おこげの具合を調節する「火かげん」キーが3段階で変えられます。今回は「しゃっきり/火かげん弱」と「もっちり/火かげん強」で炊き比べました。
「しゃっきり/火かげん弱」で炊いたごはんは、かなり米の粒感が立った炊き上がりでした。しゃっきり食感が特徴の三菱電機の「ふつう」モードで炊いたごはんより柔らかめですが、パナソニックの「よりしゃっきり」と比べると硬めの仕上がり。粘り気も少なく、甘みもすっきりした印象です。
一方、「もっちり/火かげん強」で炊いたごはんは、標準モードよりもちもち感がさらにアップ。さらに、おこげの色こそ付きませんでしたが、表面の食感がパリッとなりかけていました。柔らかく粘りと甘みの強いごはんで、特に甘みは象印に近いと感じました。
エントリーその5
日立
さっぱりした食感がベースで、「もちもち」モードでももっちり度は控えめ
本機の白米の炊き分け機能は「極上ふつう」と「極上しゃっきり」「極上もちもち」の3種類のみ。ここでは、「極上しゃっきり」「極上もちもち」を試してみました。
「極上しゃっきり」で炊いたごはんはその名の通りしゃっきり硬めの食感。わずかに粘り気がありますが、食べるとほろりとほぐれます。甘みはすっきりで、炊き立てのごはんの風味がありながら、粒感が立っている感じです。5モデルの中では三菱電機に次いで、しゃっきり感を強く感じました。
一方、「極上もちもち」で炊いたごはんのほうは、もちもち度は他機種ほど高くなく、口の中でほぐれる食感が感じられました。パナソニックや象印の食感設定を「ふつう」にして炊いた場合より弾力は弱く、柔らかさも他機種と比べると控えめ。ただし、ごはんの甘みはかなり強くなっていました。
高級炊飯器5モデルを「食感」で徹底比較!検証のまとめ
「しゃっきり」「もちもち」の振り幅が最も大きかったのはタイガー
食感炊き分けは、機種によって炊き分けの幅だけでなく、同じ「しゃっきり」「もちもち」の中でも食感に違う傾向が表れるのが興味深かったです。
まず、「しゃっきり」と「もちもち」の幅が一番大きかったのはタイガー。炊き分けの種類が3種類しかないのに、かなり振り幅が広いのが面白いです。火加減調節キーでも食感が微妙に変わるので、これと微妙な水加減の調整で、好みの食感に近づけることができるかもしれません。
「しゃっきり」だと三菱はよりしゃっきりに、象印はもちもち感が出る
「しゃっきり」方向で最も強いしゃっきり感を出していたのはやはり三菱電機でした。同機の面白いのは「もちもち」モードでもごはんに適度な粒感があることで、この粒感が同社の個性と言えるかもしれません。日立もかなり粒感の際立つ炊き上がりでした。
逆に「しゃっきり」モードでももちもち感が感じられたのは象印。もちもちしながら口の中に入れるとほどける食感が独特です。パナソニックは、「しゃっきり」で炊くと弾力が弱まりつつ柔らかさをキープするのが特徴です。
「もちもち」の場合はパナが中道で、日立はもちもち感が少なめ
一方「もちもち」方向では、象印とパナソニック、タイガーはともに強い弾力に炊き上げていましたが、ごはんの硬さでは象印が最も柔らかく、タイガーが硬め(というか表面がおこげ手前の状態で硬く感じるくらいに弾力が出ている状態)。パナソニックがその中間で、モチっとした中にもほぐれる食感があるのが特徴的でした。日立は「もちもち」設定で炊いても、もちもち感を強烈に出さないのが特徴です。
では、最後に食感の度合いを順番でまとめてみましたので、以下をご参照ください。
「しゃっきり」で炊いた場合のしゃっきり度
①三菱電機 ②タイガー、日立(同率2位) ③パナソニック ④象印
「もちもち」で炊いた場合のもちもち度
①象印 ②タイガー ③パナソニック ④日立 ⑤三菱電機
つまり、「しゃっきり」「もちもち」のどちらのモードで炊いても最もしゃっきりに炊きあがるのが三菱、最ももちもちに仕上がるのが象印。タイガーはどちらも2位と振り幅が大きく、パナソニックが中道で、日立がややしゃっきりといったイメージです。
次回は、保温性能について検証していきます。
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