動物にはしばし、予知能力があるといわれる。
こんな話を聞いたことはないだろうか。大災害の前日に、ふだんは吠えない犬が急に吠えるようになったとか、浜辺に深海魚が打ち上げられたとか、カラスの大群が空を覆うようになったというものだ。
科学的には解明されていない部分は多いものの、何らかの関係を疑っている人は少なくない。動物には、人間にはない“予知能力”を備えているという指摘が相次いでいるのだ。
猫が飼い主の命を救った
ペットとして身近な猫にも、そうした予知能力がある可能性がある。いくつもの事例が報告されている。「猫にまつわる不思議な話」(宇佐和通・著/学研プラス・刊)から、飼い主を助けた猫の話を紹介しよう。
東京都帰宅に住むタクシー運転手のOさんは、飼っていた猫のハッピーに命を救われたのだ。
ハッピーはもともと、Oさんが奥さんと買い物にいったとき、近くの駐車場に捨てられていた猫だった。車の下で痩せこけた体を震わせる姿をみて、かわいそうだと思って連れ帰ったのが始まりと言う。
お見送りをする猫
それ以後、猫はハッピーと名付けられ、一緒に暮らすようになったのだ。
ハッピーは、毎朝、Oさんが起きる頃になるといつも枕元にやってくるようになった。いつしか、ハッピーがOさんと奥さんを起こすのが日課になっていたのだ。
仕事に出かける頃になると、いつもガレージまでやってきて、タクシーに乗り込む。そこで愛情を注いでもらって、外に出る。猫が飼い主を仕事に送り出す光景は、なんともほほえましい。
そんなハッピーが、ある朝、奇妙な行動をとった……。