家電
調理家電
2018/8/14 19:45

こんなに安くて大丈夫!? 売れ行き好調「格安調理家電」の使い勝手をプロが○×判定!

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。

 

生活家電分野では、近年、多くの有名メーカーから安くてコスパに優れた製品が登場。一方、最新ハイスペック機種も取り揃える大手メーカーでは、成熟した機能が光る中・下位モデルが人気です。第1回のテーマはそんな生活家電のなかでも「調理家電」をピックアップ! 本稿では、オーブントースター、電気圧力鍋、オーブンレンジ、炊飯器、ヨーグルトメーカーをご紹介します。

 

【○×判定した人】

家電ライター・平島憲一郎さん

調理家電から掃除機、美容・健康家電まで、生活家電記事全般を担当。検証企画も多数手掛けています。

 

最新格安家電は機能の成熟と高級機能導入の二極化へ

生活家電分野は、大手各社が最上位機で最先端技術を競い合う一方で、実際に売れ行きがいいのは低価格モデル。人気の理由は単に安いだけでなく、以前の先端機能が定番化し、使いやすい製品へと〝熟成〟したからです。

 

例えば象印のこんがり倶楽部は、オーブントースターながら上は250℃から下は80℃まで幅広い温度調節が可能。前面扉を外して洗えるのも便利です。日立のオーブンレンジMRO-TS7は、3万円を切る価格ながら本格的な過熱水蒸気機能を搭載。1〜2人世帯に便利な少人数調理機能も人気です。

 

一方後発メーカーでは、従来の高級機能を低価格に落とし込む動きが顕著。sirocaは電気圧力鍋に無水調理・スロー調理機能を搭載、アイリスオーヤマもマイコン式炊飯器に銘柄炊き分け機能、1万円台のスティック掃除機にゴミ発見センサーを採用しています。

 

今回は低価格を前提としつつも、多くの製品で十分な実用性を確認できました。ユーザー側で必要な機能と、割り切る機能を線引きできれば、満足度はかなり高いはずです。

 

その1

トーストがモチサクッ、揚げものがカリッとジューシーに温め直せる

ZOJIRUSHI

オーブントースター こんがり倶楽部 ET-WM22

実売価格3670

上下遠赤外線ヒーターによる1000Wの高火力で加熱できます。80℃〜250℃までの温度調節が可能で、温めからこんがり加熱まで対応する。汚れがつきにくいシリコン加工トレーを付属。

SPEC●消費電力:1000W ●タイマー:最大15分 ●庫内寸法:約W270×H110×D220㎜ ●トレー内寸:約W220×D200㎜ ●サイズ/質量:約W400×H235×D280㎜/約3.7㎏

↑焼き網は、食パンが1度に2枚まで置けるオーソドックスなサイズ感。揚げものの温め直しは、アルミホイルを敷いた付属トレーの上へ

 

↑6枚切りの食パンを250℃で2分半焼きました。こんがり焼けたトーストは外が「サクッ」、中は「モッチリ」で耳までおいしかったです!

 

【Check!】

温度調整:○

下が80℃まで温度調節可能

「ダイヤルを使い、加熱温度を80℃〜250℃に調整可能。特に80℃の低温加熱ができるオーブントースターは少ないです」(平島さん)

 

メンテナンス性:○

扉や焼き網を外して洗える!

「前面扉、焼き網、くず受け皿は簡単に取り外して洗える。全部外したあとは庫内の掃除もしやすく、手入れがすごくラクチンです」(平島さん)

 

汎用性:○

フライ温めやお菓子作りにも活躍

「幅広い調理に対応。フライ温めは油がしっかり抜け、衣カリッと中はジューシーに。溶かしチョコやマドレーヌなどのお菓子作りにも活躍します」(平島さん)

 

総評

「機能自体に突出したものはないが、基本の加熱機能、メンテ性などしっかりしています。特に、温度調整の幅の広さは、この価格帯では魅力です」(平島さん)

 

 

その2

圧力調理だけでなくスロー調理にも対応する格安の電気圧力鍋

siroca

電気圧力鍋 SP-D131

実売価格1万5800円

ボタンを押すだけで失敗なく料理が作れる電気鍋。圧力調理のほか無水調理など6種類の調理を行えます。ガス火で3時間はかかる豚の角煮が約35分(※)に時短。スロー調理は約85℃の加熱で食材の煮崩れを防げます。

SPEC●調理容量:1.3ℓ ●消費電力:700W ●使用最高圧力:70kPaゲージ圧 ●プリセットメニュー数:8 ●タイマー:最大12時間(白米・玄米のみ) ●コード長:約1.2m ●サイズ/質量:約W220×H249×D238㎜/約2.7㎏

※:下ゆでなしの場合

 

↑調理後は内なべ、内ふた、ふた本体、パッキン、圧力切替弁を洗います。内ふたは中央の突起をつまんで外します

 

↑スロー調理で作った肉じゃがは、じゃがいもの角を見事に維持。しかも箸を入れるとほろりと崩れ、中はしっかりと出汁が染みていました

 

【Check!】

トレンド機能:○

Before

After

 

旬のスロー調理は文句なしの完成度

「人気のスロー調理機能を搭載。肉じゃがを作りましたが、じゃがいもの角も煮崩れせず、かつ均一にしっかりと火が通っていました」(平島さん)

※肉は事前に加熱が必要

 

操作性:○

プリセットメニューが便利

「プリセットメニュー搭載で、無水カレーなどが簡単操作で作れます。ただし種類は8種。メニューがもう少し多いとなおうれしい」(平島さん)

 

容量:×

容量が小さく大量調理は不可

「調理容量が1.3ℓと小さく、大人数家族や大量に作り置きしたい家庭には不向き。ただ、そのぶん設置面積が小さいのは魅力です」(平島さん)

 

総評

「圧力のかかりは“高圧”までいかず、容量も小さいですが、幅広い調理に対応できるのは魅力。プリセット以外の調理も簡単で、献立の幅が広がります」(平島さん)

 

 

その3

実売3万円以内で本格派の過熱水蒸気機能を搭載

日立

ヘルシーシェフ MRO-TS7

実売価格2万9000円

過熱水蒸気機能によりヘルシーなノンフライ調理ができます。1人分、2人分を自動調理できる「少人数メニュー」も搭載。ヒーターが露出しない構造と庫内側面のシリコン系塗装で、内部の掃除がラクです。

SPEC●総庫内容量:22ℓ(フラット庫内) ●最大消費電力:1450W ●センサー種類:赤外線センサー+温度センサー ●オーブン最高温度:250℃ ●オートメニュー数:90 ●サイズ/質量:W483×H340×D427㎜/約14.0㎏

↑庫内底面はフラットで汚れをサッとひと拭き。汚れが落ちやすいシリコン系塗装を側面に採用するなど、手入れも快適

 

【Check!】

トレンド機能:○

 

過熱水蒸気で焼き魚も柔らか

「ノンフライなどヘルシー調理に最適な過熱水蒸気機能を搭載。加熱時間は手動で調整が必要ですが、ブリの照り焼きもふっくら焼けました」(平島さん)

 

操作性:○

少人数分の調理がワンタッチ

「オートメニューを1人分や2人分で作れる『少人数メニュー』が便利。ただ、重量センサー非搭載なので、食材量はレシピを厳守です」(平島さん)

 

センサー:×

独自の3つの重量センサーがない

「オーブン調理後の庫内でレンジ加熱できる日立独自の『トリプル重量センサー』が非搭載。ただ通常加熱は赤外線センサーで十分です」(平島さん)

 

総評

「この価格帯では珍しく給水タンク付きで本格的な過熱水蒸気調理が可能。庫内22ℓと小さく少人数メニューも豊富なので、1〜2人世帯には最適です」(平島さん)

  1. 1
  2. 2
全文表示