おもしろローカル線の旅39 〜〜美濃赤坂線(岐阜県)〜〜
美濃赤坂線という路線名を聞いて、すぐにピンきた方はかなりの鉄道通といって良いかも知れない。
美濃赤坂線は東海道本線の大垣駅と美濃赤坂駅を結ぶ、5.0kmのミニ路線だ。短いこともあり6〜7分で終着駅に着いてしまう。
この美濃赤坂線、行き止まり路線ながら、実はその先にも線路が延びている。さらに終着の美濃赤坂駅近くには趣ある宿場町が残る。ほかにも調べればかなり興味深い路線だった。今回は岐阜のミニ路線で鉄道の旅を楽しんだ。
【美濃赤坂線の秘密①】東海道本線・赤坂支線とも呼ばれている
「美濃赤坂線」は通称の路線名だ。「時刻表」誌などでは東海道本線として掲載されている。さらに同誌の中に美濃赤坂線の名は出てこない。あくまで東海道本線の一員であり、本線から分かれた支線という位置づけなのだ。
訪れた美濃赤坂駅の時刻表には「美濃赤坂線」とあった。大垣駅ホームには、「美濃赤坂方面」とあった。場所によってその表記は変わっている。こんな表記の仕方を見ると、美濃赤坂線は広く浸透している路線名ではないように感じた。ちなみに「赤坂支線」と呼ばれることもある。
一方で大垣駅にも、美濃赤坂駅にも、また沿線でも「東海道本線」の表示はなかった。間違って乗車してしまうことを避けているのかも知れない。
ここで美濃赤坂線の概要に触れておこう。
路線と距離 | 東海道本線(美濃赤坂線)/大垣駅〜美濃赤坂駅5.0km |
開業 | 1919(大正8)年8月1日、大垣駅〜美濃赤坂駅間が開業 |
駅数 | 3駅(起終点を含む) |
美濃赤坂線は今年の8月1日で開業100周年をちょうど迎える。東海道本線の新橋駅〜神戸駅間は1889(明治22)年7月1日に全通した。誕生が30年ほど遅かったが、それでもかなり古い路線であることが分かる。
美濃赤坂駅近くにそびえる金生山(かなぶやま)から産出される石灰石の輸送を目的に路線が造られた。
【美濃赤坂線の秘密②】路線距離は実際には1.9kmしかない!
美濃赤坂線の路線距離は5.0km。とはいうものの、大垣駅を出発した列車はしばらくの間、東海道本線の列車と同じ線路上を走る。そして南荒尾信号場という分岐ポイントを経て、そこから支線にあたる美濃赤坂線へ入っていく。
大垣駅〜南荒尾信号場間は3.1kmあり、この分を差し引くと、美濃赤坂線の実際の距離は1.9kmしかないことになる。
筆者は日中、列車の本数が少なくなるため、分岐する南荒尾信号場と美濃赤坂駅の間を徒歩で往復した。歩いたものの決して遠くは感じなかった。美濃赤坂線は歩けるほどの路線の距離なのである。