いま私たちが見上げている月は、大昔の月より小さい――。
夜空に静かに輝く月が少しずつ縮んでいる。そんなニュースが米航空宇宙局(NASA)の調査で明らかになりました。しかも、その縮みによって、月では地震が起きていることも明らかとなったんです。
過去数億年で50m縮んだ
5月14日にNASAが発表した「月が縮んでいる」という衝撃的なニュースは、瞬く間に世界中をかけめぐりました。無人月探査機「ルナー・リコネサンス・オービター(以下、LRO)」が撮影した膨大な月面画像を解析して判明したのです。月の近くはもろく、まるでブドウの粒がシワを作りながらしぼんでレーズンになるように、月も少しずつ縮み、表面には断層が発生していることがわかりました。LROが撮影した画像の中にも断層の写真は3500枚もあったそうです。
月震も引き起こす
さらに、月に生じた断層によって、月で起こる地震「月震」も引き起こしているようなのです。1969年、アポロ11号が人類で初めて月面着陸を行った際、月に地震計を設置。それは数週間で動かなくなってしまいましたが、その後、アポロ12号、14号、15号、16号が設置した地震計で合計28回の「月震」が観測されています。この28回のうち8回は、月面画像で確認できる断層から30㎞以内の近い場所で発生しており、さらにそのうち6回は、地球と最も離れ重力の影響を受けにくいタイミングで起こっていたことも明らかとなりました。研究者たちは、この8回の月震が起きた原因のひとつは月の地殻が収縮したことにあると見ています。
NASAでは、月は収縮と月震を繰り返し、過去数億年でおよそ50m縮んだと発表しています。
LROが月の画像を撮影し始めたのは2009年のこと。それから10年のときを経て、月についてまた新たな真実も次々とわかってきています。月の断層活動は現在も活発な状態であるとみられ、NASAでは月の特定の場所の画像を経年で比較するなどして、さらに解析を進め今後の研究に役立てていくそうです。