おもしろローカル線の旅55 〜〜JR予土線(高知県・愛媛県)〜〜
四国の南西部、高知県と愛媛県を結んで走る予土線(よどせん)。高知県側では、日本一の美しさと形容される四万十川に沿って線路が続く。車窓から見下ろすと、それこそ澄んだ流れにびっくりさせられる。さらに予土線は乗れば、取り巻く美しい風景と、のんびり感が味わえ、心も癒される。
そんな予土線。乗ってたどってみると、あれぇ? と思えることがふんだんに出てきた。今回は、おもしろく、そして気になる予土線の旅を楽しんでいきたい。
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【予土線の秘密①】高知県側の列車の始発駅は窪川駅だが
初めに予土線の概要を見ておきたい。
路線と距離 | JR四国・予土線/若井駅〜北宇和島駅76.3km *全線単線・非電化 |
開業 | 1914(大正3)年10月18日、宇和島鉄道により宇和島駅〜近永駅(ちかながえき)間が開業。1974(昭和49)年3月1日、江川崎駅(えかわさきえき)〜若井駅間が開通し、予土線が全通 |
駅数 | 20駅(起終点駅を含む) |
予土線の起源は古い。宇和島鉄道という会社により、愛媛県側の宇和島駅から路線が敷かれた。当初は軽便鉄道として誕生したため線路幅が狭かった。その後、1933(昭和8)年に国有化され宇和島線に。1941(昭和16)年に現在の線路幅、1067mmに改められている。
さて概略を見て、ちょっと奇妙に感じられた方があるかも知れない。予土線のすべての列車が高知県側では、窪川駅始発となる。ところが、予土線の起点は、隣の若井駅となっている。さらに窪川駅〜若井駅間はJRの路線ではない。これはどういうことなのだろう。
予土線の列車が発車する窪川駅はJR四国・土讃線の終点駅であり、また土佐くろしお鉄道中村線の起点駅でもある。この先、若井駅方面は、土佐くろしお鉄道が管理する路線となる。中村線は、元国鉄の手により造られたが、1987(昭和62)年に国鉄が分割民営化するにあたり、第三セクター鉄道の土佐くろしお鉄道へ移管された。
以降、元国鉄中村線の窪川駅〜若井駅間は、土佐くろしお鉄道の路線となり、予土線は若井駅が起点駅となったのだった。
なお高知方面から訪れ、窪川駅で乗り換え、予土線に乗る場合に、窪川駅〜若井駅間は通過扱いとなる。土佐くろしお鉄道の1駅区間は加算されない。ところが、窪川駅で乗車券を購入して宇和島本面へ向かう時には、窪川駅〜若井駅間210円が加算される。また青春18きっぷを利用した場合にも、この区間は含まない。同区間を乗車する場合は、加算されるので注意したい。
【予土線の秘密②】気になるので起点・若井駅で下車してみた
さて、予土線の起点、若井駅。気になるので、下車してみた。起点の駅なのだから、何かあるのかなと思ったら……。
カーブする路線上にある小さな駅で、ホームは1つのみである。待合室(?)も小さい。ホームからは水田が見渡せる。駅前に小さな集落があるものの、ここが起点駅とは少し不思議に感じた。
しかも駅名標には「予土線接続駅」とあった。要するに若井駅は予土線の起点駅になっているものの、管理しているのはJR四国ではなく、土佐くろしお鉄道だった。
若井駅は実はJR四国の駅の数に含まれていない。予土線の起点駅だが、JR四国の駅ではなかった。では、予土線の“本当の”始まりとなる地点はどこにあるのだろう。