今月は、最新バージョンとなったBMWのフラッグシップと、歴史ある“ニッポンのセダン”、そして初のアップデートとなったフレンチベーシックをピックアップ。7シリーズとスカイラインはプレミアムモデルらしい先進性、トゥインゴは独自のキャラが注目ポイントです。
【おすすめモデル1】高級セダンらしさに磨きをかけたBMWの旗艦
BMW
7シリーズ
SPEC【745eラグジュアリー】●全長×全幅×全高:5125×1900×1480㎜●車両重量:2070㎏●パワーユニット:2997cc直列6気筒DOHC+ターボ+電気モーター●最高出力:286PS/5000rpm●最大トルク:45.9㎏-m/1500〜3500rpm●WLTCモード燃費:12.0㎞/ℓ
プラグイン・ハイブリッドは走りの高級感が一層鮮明に
外観は押し出しの強さを強調し、中身もBMWの旗艦らしく着実な進化を遂げた7シリーズ。なかでも最も大きく変わったのは、プラグイン・ハイブリッド仕様です。従来は2ℓターボ+電気モーターの組み合わせでしたが、今回からエンジンが3ℓターボへとスイッチ。グレード名を示す数字は、740から745となりました。
その効果は、エンジンの存在感が増す高速走行時などで明白。動力性能は2ℓでも不足はないですが、3ℓはそこに一層の余裕がプラス。加速時には、6気筒らしい滑らかさと重厚感が楽しめます。今回の試乗車はFR駆動でしたが、後席が広いロングボディは4WDとなることも魅力です。
また、BMW自慢の先進装備もアップグレード。使えるのは高速道路の渋滞時限定ですが、手放しで走れるハンズオフ機能を筆頭とした運転支援機能が追加されました。
デザイン、走り、そして安全性能。7シリーズがBMWの旗艦モデルであることを改めて認識しました。
【注目ディテール01】デジタル化がさらに加速!
基本的なレイアウトは従来通りですが、メーターは現行の8シリーズから始まったフルデジタル式にリニューアル。従来より格段に先進的な印象をもたらします。
【注目ディテール02】パワーユニットは合計5タイプ
写真はプラグイン・ハイブリッド。7シリーズのエンジンは、このほかに3ℓのガソリンおよびディーゼルの6気筒ターボと4.4ℓのV8ツインターボ、そして6.6ℓのV12ツインターボが用意されます。
【注目ディテール03】静粛性はマルチシリンダーならでは
EV走行時はもちろん、エンジン駆動が中心となる場合でも静粛性が損なわれない点が新しいプラグイン・ハイブリッド仕様の魅力。絶対的な速さも申し分ありません。
【注目ディテール04】トランクルームの広さは必要十分
プラグイン・ハイブリッド仕様の荷室容量は420ℓ。515ℓとなるガソリン&ディーゼルと比較すると若干控えめですが、十分に実用的な広さです。
【おすすめモデル2】「2.0」のネーミングは伊達じゃない!
日産
スカイライン
SPEC【GTタイプSPハイブリッド(FR)】●全長×全幅×全高:4810×1820×1440㎜●車両重量:1840㎏●パワーユニット:3498ccV型6気筒DOHC+電気モーター●最高出力:306[68]PS/6800rpm●最大トルク:35.7[29.6]㎏-m/5000rpm●JC08モード燃費:14.4㎞/ℓ
プロパイロット2.0は安定した高速巡航を実現
ガソリン仕様はエンジンが日産オリジナルの3ℓV6ターボになり、なおかつハイパワーのグレード“400R”が新設定されたことでも話題を呼んだ新型スカイラインですが、注目はやはりハイブリッド仕様に「プロパイロット2.0」が搭載されたことでしょう。最大のトピックは高速道路巡航時に手放しの運転ができる点。その出来栄えはまさに、自動運転時代の近い到来を予感させるに十分なものでした。
今回は短時間のチェックにとどまりましたが、手放しで走る際の不安感は皆無。実際には自動で細かいステアリング修正を行っているであろう状況でも、クルマはピタリと車線内をキープ。逆にドライバーとして少し淋しさを感じてしまうほどの体験をさせてくれました。
【注目ディテール01】スカイライン独自の外観に
今回のアップデートで、フロントマスクはスカイラインのオリジナルデザインに。グローバルのインフィニティとは明確に差別化されました。
【注目ディテール02】ハイブリッド仕様は3ℓに排気量がアップ
写真はハイブリッドモデル。こちらのスペックは基本的に従来通りですが、ガソリン仕様はダイムラー製の2ℓターボから日産製3ℓターボに改められました。
【その3】熟成度を高めた「パリのコンパクト」
ルノー・トゥインゴ
SPEC【EDC】●全長×全幅×全高:3645×1650×1545㎜●車両重量:1020㎏●パワーユニット:897cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:92PS/5500rpm●最大トルク:13.8㎏-m/2500rpm●WLTCモード燃費:16.8㎞/ℓ
持ち前の個性はそのままに質感と実用度が格段に進化
上陸当初から「パリ生まれ」であることを強くアピールしてきたルノー・トゥインゴが初のアップデートを受けました。外観にはルノーデザインの最新モードが取り入れられ見た目の質感が向上。内装にも、多機能なモニターが標準装備されたことなどで、コネクティビティが向上しています。
走りについては、エンジンをリアの荷室下に置きRR駆動ならではの個性は相変わらず。フロントが軽く、なおかつ小回りが利くので特に街なかなどの日常域では同クラスのライバルを格段に上回る軽快感を満喫できます。乗り心地の快適性も、フランス車に寄せられる期待を裏切らない出来栄え。気の利いた日常の相棒にはうってつけといえる1台です。
【注目ディテール01】0.9ℓターボは荷室の下に
横倒しにされた0.9ℓターボエンジン+6速DCTのパワートレインは、ラゲッジスペースの下に収まります。動力性能は必要にして十分。
【注目ディテール02】当面はモノグレード?
以前はキャンバストップ仕様なども選べましたが、アップデート版はいまのところモノグレード構成。車両価格は198万6000円。GTは従来型が継続販売となります。
【注目ディテール03】“つながる”機能が強化
インパネ中央にはタッチパネルモニターを搭載。当然、スマホとの連携が可能でコネクティビティは従来より格段に向上しています。
7シリーズ:文/小野泰治 撮影/宮門秀行
スカイライン:文/小野泰治 撮影/宮越孝政
トゥインゴ:文/小野泰治 撮影/勝村大輔
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