僕が最初にプロレスにハマったのは小学生の時。ジャイアント馬場の全日本プロレス、アントニオ猪木の新日本プロレス、そして解散寸前だった国際プロレスもテレビ放映をしていた。日曜の昼は全日本女子プロレスの放送もあった。
やっぱり「昭和のプロレス」がおもしろい
僕は全日本プロレスが好きで、ジャンボ鶴田のファンだった。新日本プロレスではタイガーマスクがデビューし一大ブームに。全日本女子プロレスはクラッシュギャルズがアイドル的な人気を誇っていた。
つまり、僕のプロレス原体験は「昭和のプロレス」だ。一時期、プロレス自体の人気がかなり下火になっていたが、最近は新日本プロレスやDDT、大日本プロレスといった団体が息を吹き返し、若い層を中心に徐々にプロレス人気が高まっている。
しかし、僕はあまり今のプロレスにはなじめない。やはり、昭和のプロレスがいいなと思ってしまう。
80年代90年代のプロレス好きならハマる
僕のように、昔はプロレスが好きだったけど最近はあまり……という人は多いことだろう。最近のプロレスはさっぱりわからないけれど、昔のプロレスはよかったなぁ。そんな風に思っている人にオススメなのが『味のプロレス オールスター編』(アカツキ・著/新紀元社・刊)。これは、プロレスにまつわるさまざまなエピソードが描かれた4コママンガだ。
内容はといえば、80年代90年代のプロレスラーのエピソードや出来事が味のあるタッチで描かれている。一言で言えば「プロレス愛に満ちている」マンガだ。読む度に「フフッ」となる感じだ。
昭和のレスラーは常人離れしたエピソードが満載
昭和のプロレスの何がいいのかと考えると、ひとつが「レスラーの個性」だ。この場合の個性とは、リング上での個性ではない。私生活における素の個性だ。
レスラーは、やはり一般人とは違うもの。肉体の強さはもちろん、精神的にも一般の人とは違っていなければならない。というか、そういう人がプロレスラーになっていたのかもしれない……。
一昔前のレスラーのエピソードなどは、今では考えられないくらい豪快なものが多い。レスラーが地方巡業で旅館に泊まれば、宴会で酔っ払って旅館を破壊する。食堂車の料理を一人で全部食べ尽くす。道場破りに来た人を若手がボコボコにする。付き合ってた女性とケンカをして包丁で背中を刺されたので、原付バイクに乗って病院に行く……(あ、これは今の現役バリバリのスターレスラーだ)。まあ、プロレスラーとは夢と幻想の塊のような人たちなのだ。
今はインターネットが発達しているので、割とプロレスラーの等身大の姿が見えやすい。それが幅広いプロレスファンの獲得につながっているとも言えるが、ちょっと物足りない気もする。やはりプロレスラーはちょっと近づきにくい怖い存在であってほしいところがある。古い考えだが。
次回作は女子プロレス編を、ぜひ!
本書には、いたずら好きな橋本真也のヤバいエピソード、若手時代の小橋健太とジャイアント馬場のいい話、解説するとすぐに覆面レスラーの本名を言うマサ斎藤、飲食店で飲んでいるときに店にいた客全部のお勘定をする天龍源一郎。義理人情に厚く下ネタ好きな三沢光晴。とにかく、昔のプロレス好きなら楽しめる内容が満載だ。まさに『味のプロレス』なのだ。
知っているエピソードもあるし、知らなかったエピソードもある。知らなかったエピソードが出てくるとちょっと得した気分になる。
特に「このマンガいいよ!」と人に勧めたくなるようなものではないが、いつも手元に置いておき、ちょっと時間があるときにパラパラっとめくりたくなる、そんなマンガだ。
現在は、オールスター編のほか、王道編、闘魂編も刊行されている。別にストーリーがあるわけではないので、どれから読んでも楽しめる。気になったら好きなものから手に取るといいだろう。
もし、次回作があるのなら、ぜひ女子プロレス編をお願いしたい。男子レスラーに比べ、女子レスラーは笑いにしづらい部分がある(主に人間関係でのしがらみが多そう)だろうが、その分ディープなエピソードが多そうだ。
なお、作者はTwitter(https://twitter.com/buchosen)で『味のプロレス』をちょくちょくアップしているので、気になったらフォローしてみてはいかがだろうか。プロレスを知っている人なら「フフッ」となるはずだ。
【書籍紹介】
味のプロレス オールスター編
著者:アカツキ
発行:新紀元社
インターネットで大人気! 80、90年代のプロレスを題材にした愛しかない4コママンガが待望の書籍化。オールカラー&載録作品326の大ボリューム!
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