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2021/4/20 6:30

丸亀製麺の売上ナンバーワン店舗はど〜こだ?−−業界1位の独自戦略とは

手軽においしいうどんが食べられる丸亀製麺。誰でも一度は食べたことがあるのではないだろうか。

 

行きすぎた効率化は人間味をなくす

丸亀製麺の特長は、あのコシの強い麵。讃岐うどん特有のコシの強さだが、実は、丸亀製麺は香川県の企業ではなく兵庫県にあるトリドールが運営している。トリドールは焼き鳥店からスタートし、その後まだ強豪がいなかった(はなまるうどんくらいしかいかなった)うどん業界に進出。路面店やショッピングモールのフードコートを中心に、世界中に店舗を構えて、今や業界ナンバーワンの企業だ。

 

各店舗で小麦粉から製麺し、天ぷら類も店舗で揚げ、おにぎりやおいなりさんなども店舗で作る。食券機は置かず、あくまでも対面販売にこだわる。一見非効率な経営のようだが、「行きすぎた効率化は人間味をなくす」という社長の信念の元、あくまでもそのスタイルを崩さない。非常に独特な経営をしている。

 

2位を大きく引き離してうどん業界ナンバーワンをひた走る

丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか? 非効率の極め方と正しいムダのなくし方』(小野正誉・著/祥伝社・刊)は、トリドールホールディングス(トリドールグループの持ち株会社)の社長秘書兼IR担当者。つまり、一番社長に近い人物が、丸亀製麺の企業体質について書いている書だ。

 

2018年の時点で丸亀製麺は、日本のうどん業界でナンバーワン。うどん業界はおそらく世界でも日本だけだと思われるので、世界ナンバーワンのうどん店とも言える。

 

日本の外食産業全体の規模は約25兆円。うどん・そば市場はマーケットの規模としては大きくて1兆円以上あります。そんな中、丸亀製麺の売上は約904億円(2018年3月期。国内のみ)。うどん業界ではダントツの1位を独走中です。

(『丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか? 非効率の極め方と正しいムダのなくし方』より引用)

 

2位のはなまるうどんは売上高約270億円(2018年2期)なので、その規模の大きさがわかるだろう。

 

他社との競合を考えず独自路線を貫く

丸亀製麺がこれほどまでに成長したのは、いくつかの要因がある。そのなかでも大きいのは、「他社との競合を重視していない」だろう。

 

同業他社と売上競争をしていたら、好立地を巡って陣地取りを繰り広げたり、値下げ合戦に巻き込まれたりして、企業は疲弊していきます。丸亀製麺は常にお客様のニーズやウォンツが何かを考えて店舗運営に反映し、効率や強豪に競り勝つことを最優先しませんでした。

(『丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか? 非効率の極め方と正しいムダのなくし方』より引用)

 

その結果、気がついたらナンバーワンになっていたというわけ。無欲の勝利は言いすぎかもしれないが、常にユーザーのニーズをくみ取っていく姿勢が、顧客に受け入れられたのだろう。

 

全店直営で社員店長がいない店舗も

丸亀製麺はいろいろおもしろい点があるのだが、なかでもおもしろいなと思ったのが、国内店舗は100%直営店で、パートナー(丸亀製麺ではパートやアルバイトのこともパートナーと呼んでいる)が店長に就いている店舗があることだ。

 

フランチャイズを取り入れないのは、1店舗ずつ丁寧に育てていきたいため。社員を店長にすることにこだわらないのは、その地域で生活しているパートナーのほうが、その地域のことを熟知しているのでまかせたほうがいいと考えているから。通常、飲食店などの規模拡大を図るには、フランチャイズ方式で店舗を増やしていくのが手っ取り早いが、それを行わずあくまでも地域密着型のうどん店を目指しているのが、おもしろい。

 

店舗づくりもある程度は各店舗に任せているようで、子ども用の椅子を置いたり、ひざ掛けを置いたりといった独自サービスを行っている店舗もあるそうだ。これらのアイデアのほとんどが、パートナーから出てきたもの。現場の声を店舗に反映できるシステムが整っているのも、丸亀製麺の特長のひとつだ。

 

世界一の売上を出しているのはハワイ・ワイキキ店!

さて、ここでタイトルの答えを。丸亀製麺で一番売上が高い店舗は、2014年にオープンしたハワイのワイキキ店だ。ハワイでうどんなんて売れそうもないが、大人気らしい。基本メニューは日本と同じだが、マッシュルームやアスパラの天ぷら、スパムおにぎりなどの独自メニューを置いたり、出汁をぬるめにしてカレーうどんのスパイスを多めにしたりといった柔軟な対応をした結果、現地人の利用がとても増えたという。店内にはチリペッパーやとんかつソース、ケチャップなどの調味料も置いている。

 

「日本食だから、日本風に」などと硬いことを言わず、好きなように食べていただくのが丸亀製麺流。かしわ天やエビ天、アスパラ天、かぼちゃ天などをお皿に山盛りに積み上げ、ケチャップをかけて食べるお客様もいらっしゃいます。

(『丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか?――非効率の極め方と正しいムダのなくし方』より引用)

 

「こう食べてほしい」という気持ちよりも、「好きなように食べてほしい」という気持ちが、丸亀製麺流ということだ。

 

いくら効率化をしても最後は「人」

僕もたまに丸亀製麺が食べたくなるのだが、ほとんどが車で行かないといけないところにある。隣の大きな駅の近くにはあるのだが、電車に乗って行くのもなんだかなー、という感じがして、たまに車で通りかかったときに食べる程度になっている。

 

製麺機やフライヤーなどを置く関係上、ある程度店舗スペースがないと出店できないため、家賃の関係などからロードサイド店がどうしても増えるようだ。

 

本書を読むと、効率だけが経営のポイントではないことがわかる。どんな商売でもそうだが、最終的には「人と人」というところに返ってくるのかもしれない。そう感じた。

 

さて、原稿を書き終わったので丸亀製麺に行ってきます。釜揚げうどんにしようかな。

 

【書籍紹介】

丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか? 非効率の極め方と正しいムダのなくし方

著者:小野正誉
発行:祥伝社

うどん業界ダントツ1位の驚異的仕事術。「常識」をことごとくひっくり返し、売れ続ける。その秘密が、この本でわかります。

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