ラーメン好きミュージシャン田中 貴さんが、気になるラーメン店を訪問するコーナー。今回は、東京・神泉の煮干ラーメンのお店「らーめん 恵本将裕(えもとまさひろ) 神泉店」にお邪魔しました。田中さんはそのラーメンの味はもちろん、店主の志にも惚れこんでいるとのこと。さっそく見ていきましょう!
気軽に立ち寄れるウマい店。これぞラーメン屋の原点
堂々と自らの名を掲げたこのお店、中目黒でお好み焼き屋さんのランチタイムに間借りして営業しているお店の2号店であり、念願の独立店舗だ。渋谷駅から徒歩10分、マンションの1階奥の奥の奥。わかりづらいにも程がある。恐る恐る進んでやっと入口を見つけた。
「ドラクエみたいでしょ?」 店主の修行先である「凪」は強烈なド煮干だが、こちらはエグミのないバランスのいい煮干スープ。コクのある醤油ダレがシャープさと深みをプラスする。こりゃウマい。早稲田の「メルシー」や江古田や高円寺の「太陽」といった、昔ながらの店だが煮干がバチッと効いたシンプルなラーメンを思わせる。ラーメンには能書きも薀蓄もいらない。ウマけりゃいいのだ。
そういえば、修行時代に「腹を空かせた学生が来るような、町の中華屋さんをやりたい」とメニューにないチャーハンを作ってくれたことがあった。ミシュラン掲載や、世界進出などを夢見るラーメン職人が多いなか、そりゃ新しいねと感心した。狭くてラーメンで手一杯なのに、休憩時間を惜しんで地元小倉の名物「ぬか床炊き」という煮魚を仕込み、限定で提供もする。
1歩ずつ夢に近づく彼の表情はキラッキラに輝いている。渋谷駅前のチェーン店のバイトが作るラーメンと、こんな若者が作るラーメン、僕は10分多く歩いても絶対こっちを食べる。
らーめん 恵本将裕 神泉店
住所 東京都渋谷区円山町28-8 宮庭マンション1E
営業時間 11:30~15:00、18:00~23:00(金曜日のみ翌朝5:00まで営業)