2020年に引き続き、今年もやっぱりコロナで大変だったなぁ、という印象の強い2021年。では、文房具業界としては、2021年はどんな雰囲気だったかというと、世情の薄暗さに対して、実は近年まれに見る“面白い年”だったように思う。
コロナ禍で発売時期が遅れていた製品も徐々に出始めたし、ニューノーマルに対応した従来にないツールも数多く登場している。まだ業界全体で景気回復とまでは至らないが、それでも我々ユーザーが「わー、なんか楽しい新製品がいっぱいあるなー」と感じられるような前向きな雰囲気になっているのだ。
そこで今回は2021年の文房具シーンを振り返りながら、あらためて「コレ買い忘れてない? 買っておいたほうがいいよ」という2021年の傑作文房具を紹介していこう。おそらくトレンド的にはもうしばらく今の流れが続くはずなので、来年以降の予測としても読んでいただけるとありがたい。
1.ここ数年で最大級!? ボールペンの当たり年
2021年で一番に挙げたいのが、「ボールペンすごかったね!」という話。まず上期には、ファン待望の多機能ペン「ブレン2+S」(ゼブラ)や、ロングニードルで細字の書きやすさに特化した「モノグラフライト」(トンボ鉛筆)に注目が集まった。
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さらに夏には「オレンジEG」(BIC)廃番というショッキングなニュースに続いて、新定番を目指す「クリスタル オリジナル ファイン」(BIC)が発売されるなど、とにかく話題に事欠かなかった印象だ。
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例年であれば、これでも充分に「いろいろ出たなぁ」と言って構わないのだが、実はまだまだ。今年のボールペンに関する動きは、秋以降が本番だったと言える。
なにより最もインパクトがあったのが、「ユニボールワン」の軸を高機能化させた「ユニボールワン F」(三菱鉛筆)や、6色カラーブラック「ボールサイン iD」のアップグレード版「ボールサイン iD plus」(サクラクレパス)といった、上位モデルの登場だろう。
これらの特徴としては、すでに人気の高い既存ボールペンのリフィルはそのままに、軸のデザインや重心バランスを見直すことで握りの安定感・書きやすさをアップさせていること。価格も従来モデルから100~200円ほど上がっているが、触ってみれば、間違いなくお値段以上の価値を感じられるクオリティである。
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実際問題として、インクやチップ周りに関しては2019~2020年の間でかなり高品質化しており、現状すぐにこれ以上のものを求めるのは難しい。そこでメーカーがたどり着いたのが、手付かずだった軸のバージョンアップなのだろう。
その結果として、高品質なインクと高機能な軸がかけ合わされ、ある意味「ボールペンの完成版」とも言える製品が登場した、というわけ。
ところでこのムーブメントがまだ2022年も続くとしたら、気になるのが、現時点でまだ軸のバージョンアップが終わっていないレジェンド級ボールペンの存在だろう。
例えば来年以降、「ジェットストリーム」や「フリクションボールノック」が同じ文脈でアップグレードされたらどうなる……? と考えるだけで、正直ワクワクが止まらないのだ。