ここ数年、AppleはAR/VRヘッドセット開発に取り組んでおり、年内または2023年初めに発売すると予想されています。その過程でGoogle Cardboard (厚紙にレンズをはめ込んだものにスマートフォンを入れるもの)やサムスンのGear VRに対抗するiPhone用の安価なVRヘッドセットを作ろうとしたものの、最終的にこのプロジェクトを諦めたと報じられています。
有料メディアThe Informationは、Apple社内のヘッドセット開発チームが重ねてきた試行錯誤の道のりをレポート。それによれば、本製品はiPhoneを立体視ディスプレイとして使うことでVRを体験できる「安価なヘッドセット」であり、「基本的なARやVR体験ができる」はずだったそうです。
当時の予定としては、この廉価ヘッドセットは2019年、iPhone 11の直後に発表される予定だったとのこと。
なぜ発売できなかったのかといえば、「デジタル環境に心地よく没入していると感じる」ために欠かせない「頭の動きの追跡を含む、技術的な問題」に苦戦したからだそうです。最終的にプロジェクトは破棄されたものの、それに関係するコードが2019年にいくつかリークされたとのこと。確かに2019年初めに有名アナリストMing-Chi Kuo氏が、Apple純正ARヘッドセットに言及したことがありました。
また、The Informationのレポートでは、初期のプロトタイプ試作機ではWindowsが動いており、そのうちの1つは重過ぎて、小さなクレーンで支えながら付ける必要があった。さらに本来は2019年に発売される予定だったが、「数回」延期を重ねて2022年末か2023年に発表されるかもしれないなど、興味深い情報を伝えています。
ほかヘッドセット開発プロジェクトは社内で優先順位が低く、内蔵カメラの動作を改善するファームウェア機能を追加するようカメラハードウェア技術チームに頼んだところ、iPhone XSの出荷後まで待つように言われたなど、涙ぐましい話もあった模様。それだけ苦労を重ねたのなら、ぜひとも成功を祈りたいところです。
Source:The Information
via:iMore