家電
2022/10/20 11:30

空気を洗う家電「ジアイーノ」は「特別扱い」されている!14億円の検証センターにパナソニックの推しっぷりを見た

秋はイネ科の植物やブタクサ、ヨモギの花粉が飛び交い、花粉症持ちには辛い季節。その後は気温が下がって空気が乾燥してくると、ウイルスの活動が活発化してきます。寒さが和らぐとまた花粉の季節。空気清浄機と加湿器がフル稼働の季節がやってきました。これらをまだ導入していないなら、自分や家族の健康を守るためにも早めに検討を始めたいところです。

 

次亜塩素酸のチカラで除菌・脱臭を行う「ジアイーノ」の最新モデル

そんななか、パナソニックは空質家電の「次亜塩素酸 空間除菌脱臭機 ジアイーノ」の新製品を発売しました。新モデルは付着菌・付着臭への対策を強化するとともに、集じん効果についてもあらためて実証され、名実ともに空質家電のトップブランドとして自社ラインナップの頂点に君臨することとなりました。なかでも「F-MV5400」は適用面積21畳(35平方メートル)で、一般家庭向けモデルの最上位機種となります。

↑写真左が「F-MV5400」。外形寸法は幅398×奥行270×高さ710mm、質量は約11.8kg、タンク容量約4.0L。適用床面積21畳、集じんの適用床面積26畳、加湿の適用床面積18畳(プレハブ)/11畳(木造)。実売価格は17万8200円前後(税込)。写真中央は業務用の45畳モデル、右は業務用60畳モデル

 

「ジアイーノ」は、水道水に塩タブレットを自動投入して作った食塩水を電気分解して本体内で次亜塩素酸水溶液を生成。部屋の中を浮遊する菌を吸引して次亜塩素酸を含ませた除菌フィルターで抑制するとともに、次亜塩素酸を含んだ空気を放出することで家具や壁紙などに付着した菌も抑制します。その高い除菌・脱臭効果から、同社サイトでは、その機能を「空気を洗う」と表現することも。

 

なお、次亜塩素酸は食品工場で食材の洗浄に使われるほか、プールの除菌、病院や施設などで拭き掃除や消毒にも使われており、高い除菌力に加え、脱臭効果も期待できます。

↑塩自動ユニットに入れた塩タブレットが1つずつ下のトレーに落ち、食塩水を電気分解して次亜塩素酸水溶液を生成する

 

同モデルには新機能として「集中クリーンモード」が搭載されました。6時間だけ次亜塩素酸の濃度を上げることができるモードで、標準モードに比べて半分の時間で付着菌の除菌ができ、付着臭も短時間で脱臭できるようになります。寝室で就寝中にリビングで使用したり、外出中に部屋の除菌・脱臭をしたりしたい時に便利です。なお、次亜塩素酸の濃度は高くなりますが、環境基準値の0.5ppmより低い0.1ppm未満なので安心。

↑独立したボタンが用意されているので、ワンタッチで「集中クリーン」モードを起動できる

 

↑集中クリーンモードにより短時間で除菌・脱臭ができる。焼肉パーティ後のニオイもしっかり脱臭

 

↑次亜塩素酸により、犬猫の糞尿や焼肉・焼き魚など強いニオイの脱臭効果が実証されている

 

集じん効果を実証し、空質家電のトップブランドに

また今回、HEPAフィルター(保護エレメント)による空気中のハウスダストや花粉、菌・ウイルスの捕集・抑制効果も改めて実証されました。これまでもジアイーノはHEPAフィルターを搭載してきましたが、他の空気清浄機のように効果を実証できなかったため、HEPAフィルターとは謳わず、集じん効果については表に出してきませんでした。

 

パナソニックには独自イオンの「ナノイー」とHEPAフィルターを搭載した加湿空気清浄機があり、これまでは、花粉やハウスダスト対策なら加湿空気清浄機、除菌・脱臭がメインならばジアイーノと棲み分けができていました。しかし今回、ジアイーノもHEPAフィルターによる集じん・抑制効果が実証されたことから、空質家電のトップブランドとして位置付けることとなりました。さらに、ジアイーノは次亜塩素酸を生成する際に水道水を使うことから加湿器としての機能も持っており、ジアイーノは除菌・脱臭・加湿・集じんと、1台4役で部屋の空気の悩みを解消するオールインワンモデルというわけです。

↑吸気口のHEPAフィルター(従来は「保護エレメント」と呼称)で菌・ウイルスを捕集するだけでなく、排出した次亜塩素酸を一緒に吸い込むことでHEPAフィルターに付着した菌・ウイルスを抑制する。加湿フィルターも次亜塩素酸水溶液に浸されるため、フィルター上での雑菌の繁殖が抑制され、清潔な水で加湿できる

 

業界初の設備を含む検証センターで、ジアイーノの効果を実証

パナソニックでは、ジアイーノに使われる基幹技術である次亜塩素酸の効果や安全性、エアロゾル(浮遊菌)に対する効果検証を迅速に実施するため、今年4月に「IAQ検証センター」を稼働しました。IAQとはIndoor Air Quality(室内空気質)を略したもの。愛知県春日井市の自社工場内の事務所・工場を約14億円かけて改修し、完成しました。

↑愛知県春日井市の自社工場内に設置したIAQ検証センター

 

パナソニックではこれまでも、三重大学や北里環境科学センターなどと共同で次亜塩素酸のエビデンス強化に取り組んできました。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスについても、付着ウイルスの抑制効果と気液接触による抑制効果の研究をしてきているのです。しかし、従来の検証はあくまで実験室の中での話。ジアイーノで使われている次亜塩素酸水溶液は多くの誤解が存在しているため、パナソニックとしては一般家庭やオフィスのような実空間での検証が必要と判断し、巨額を投資して同センターを開設したものです。

↑新型コロナウイルスの抑制効果に関しても検証している

 

パナソニックよると、同センターには2つの業界初の設備があります。1つは、「ジア環境BSL2試験室」。高度に密閉された空間の中、次亜塩素酸のガス濃度を制御しながらバイオセーフティレベル2(BSL2※)のさまざまな浮遊菌の除菌効果・浮遊ウイルスの抑制効果を検証できる施設。カビや花粉、アレル物質などの抑制効果も検証できます。

※バイオセーフティレベル……病原体を安全に扱う実験施設の世界標準。扱える病原体の危険度に応じて1~4段階に分類され、レベル4が最も厳しい基準となっている。レベル4で扱えるのはエボラ出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱など。レベル2ではインフルエンザウイルス、はしかウイルス、食中毒細菌などが扱える

↑バイオセーフティレベル2(BSL2)試験室は高い気密性により安全に菌・ウイルスの抑制効果を検証できる

 

↑BSL2試験室内部。外から菌・ウイルスやジアイーノを操作できるようになっている

 

もう1つは「実空間除菌試験室」。移動壁により6畳から80畳まで試験室のサイズを簡単に変更でき、今後、一般家庭用の壁や床材、家具を入れて実際の生活環境を再現した中での検証を行うものです。温湿度を変えて春夏秋冬の四季を再現したり、換気量も調整したりと、さまざまな環境を想定した実験が可能となります。

 

次亜塩素酸の効果の検証のために、巨額を投じて業界初の設備を含む施設を設立したわけですから、ジアイーノは同社のなかでも特別な存在なのでは……? と想像できますね。

↑壁を移動して6畳から80畳までの空間を再現できる「実空間除菌試験室」

 

↑人力で簡単に壁の移動ができる

 

↑ドアノブやカーペット、玩具などの実物を使って付着菌・ウイルスの抑制効果を検証する

 

パナソニックでは今後、IAQ検証センターを活用して、次亜塩素酸の基礎研究・評価や実環境での検証、そして世界各地域の認証に合った検証を実施し、海外展開の礎としていく考えです。これにより、エビデンスが強化されて認知が進むとともに、よりよい製品開発のため検証データが役立てられるはず。今後もジアイーノが普及し、進化していくのが楽しみですね。