最近のゲームの中にはNPC(プレイヤーが操作しないキャラクター)のセリフが莫大にあります。それらは「気をつけろ!」や「撃たれた!」など特定の状況下で発生する叫び声が多く、その全てを人間のシナリオライターが作ることは大変な作業となります。
大手ゲームパブリッシャーのユービーアイソフトは、そうしたNPCのセリフを自動生成するAIツール「Ghostwriter」を社内テスト中であることを、ゲーム開発者向けカンファレンス「GDC 2023」にて発表しました。
開発に当たっているBen Swanson氏によれば、Ghostwriterはシナリオライターに取って代わるものではなく、最も手間のかかる作業の1つ「叫び声の作成」を軽減するもの。それらを効率よく作ることで、人間のライターが他の箇所で物語に磨きをかける時間を増やせると述べられています。
シナリオライターはまずGhostwriterにNPCの動機やその他の条件を入力し、NPCのセリフを生成。これらのセリフをライターは承認、拒否および編集でき、そのフィードバックからGhostwriterが学んでいくという仕組みです。もっか社内で最も役に立っているのは、「(銃を)リロード中」のような同じ意味をいくつかのバージョンに「言い換える」セリフ作りだそうです。
すでにOpenAIのChatBotやマイクロソフトの「新しいBing」、Googleの「Bard」など生成系AIが大流行しているなか、そのブームにゲーム業界も乗ったかのようにも思えます。が、ユービーアイソフトはChatGPTのような他社の技術は使わないそうです。Ghostwriterのような独自のツールを使うことは、より制御もしやすく柔軟性を保ちやすいとのことです。
Swanson氏は、こうしたシステムを構築しようとする場合は「人とのコミュニケーションを維持し、物語のデザイナーや脚本家と話をすること」が大事だと語っています。たとえAIがシナリオ作りに参加しても、それぞれ現場のスタッフから意見を吸い上げることで、豊かな個性が生まれることになりそうです。