コンパクト×大容量でこのコスパは破格! ドラム式市場を揺るがすハイセンス最新洗濯機「HWF-D120XL」をチェック

ink_pen 2025/10/29
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コンパクト×大容量でこのコスパは破格! ドラム式市場を揺るがすハイセンス最新洗濯機「HWF-D120XL」をチェック
安蔵 靖志
あんぞうやすし
安蔵 靖志

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

ハイセンスジャパンはヒートポンプ乾燥方式を採用するドラム式洗濯乾燥機「HWF-D120XL」を発表しました。洗濯容量12kg、乾燥容量6kgの大容量モデルながら、同クラスでトップクラスのコンパクトさを実現。しかも、実売想定価格16万8000円(税込)と、かなりのコスパの良さを実現しています。

↑ハイセンスジャパンが2025年10月上旬に発売したドラム式洗濯乾燥機「HWF-D120XL」(実売価格16万8000円・税込)。

コンパクト×大容量で日本のユーザーのニーズに応える

発表会に登壇したハイセンスジャパン 代表取締役社長の張喜峰氏は「今回の新商品は、日本人消費者のニーズに応える商品です」と自信を見せました。

「サイズ設計やプログラムの設計、スマート化ソリューションなど面において、日本の消費者のニーズに合わせた機能を搭載しました」(張社長)

↑ハイセンスジャパン 代表取締役社長の張喜峰氏。

最近の洗濯機に対するニーズについて、ハイセンスジャパン 商品部 洗濯機責任者の李洋氏は次のように語りました。

「液体洗剤と柔軟性の自動投入機能の重視度が1位ですが、直近3年間では設置性の重視度が上がっている。共働き世帯が増えているためか、洗濯容量だけでなく乾燥容量の重視度が高まっているのも見受けられます。また、乾燥フィルターの掃除のしやすさも注目度が上がっています。さらに、最近の環境意識の高まりもあり、乾燥方式に対する重視度も上がっています。こうしたことから、我々ハイセンスはコストパフォーマンスの高いミドルレンジの価格帯を狙って開発しました」(李氏)

↑最近の洗濯機に対するニーズについて説明するハイセンスジャパン 商品部 洗濯機責任者の李洋氏。

メインのターゲット層はハイセンスのテレビが得意としている若年層のほか、単身世帯や子育て世帯を狙っていくとのこと。サブターゲットは中高年のファミリー層で、共通した提供価値は「コンパクト×大容量、そして便利です」(李氏)とのこと。

↑ターゲット層に向けて、「コンパクト×大容量・便利」を提供価値としています。

こうしたコンセプトで誕生したHWF-D120XLの特徴は以下の通りです。

・水平ドラムを採用し、大容量なのにコンパクト
・独自の「ゆらゆら洗い」を採用し、温水洗浄、カスタム洗浄コースなどを選べる
・洗剤・柔軟剤自動投入機能、3つの槽洗浄コースなどの便利な機能を搭載

順を追って見ていきましょう。

60×60cmの防水パンにも余裕で設置できるサイズを追求

HWF-D120XLは国内大手メーカーが採用する「ななめドラム」ではなく、ドラムの回転軸を水平にした「水平ドラム」を採用しています。さらに、ドラム周囲の構造を徹底的に見直すことで、外形寸法(排水ホース含む)は幅635×奥行き630×高さ1007mm、本体幅は598mmというコンパクトなボディを実現。設置可能な防水パンの奥行き寸法は500mm以上となっています。

洗濯機開発担当の今井俊次氏は「市販されている最も小さな60×60cmの防水パンで、後ろが壁ピタの状態で設置してもまだまだ余裕があります」と、そのコンパクトさに自信を見せました。

↑60cm×60cmの防水パンにもすっきり設置できます。「今まで洗濯機の前面が出っぱってしまって置けないとか、多少邪魔になるといったトラブルもクリアしつつ、洗濯12kgの容量を実現しました」と今井氏。

乾燥方式は約60℃の温風で乾燥するヒートポンプ乾燥方式を採用。乾燥の仕上がりでは、タオルコースで洗浄からヒートポンプ乾燥まで行ったものと、洗濯後に天日干ししたものだと大きな差が出るといいます。

柔軟剤の

↑タオルコースで洗浄からヒートポンプ乾燥まで行ったもの(写真左)と、洗濯後に天日干ししたもの(写真右)。「(天日干しだと)どうしてもパイルが寝たり凹んだりしてしまうのが分かると思います」(今井氏)。

「ゆらゆら洗い」などを組み合わせて多彩なコースを構成

縦型洗濯機は「かくはん洗い」、ドラム式洗濯機は「たたき洗い」が基本ですが、HWF-D120XLは新たに「ゆらゆら洗い」という衣類に優しい洗浄方法を採用しました。こちらは、文字通り水面を揺らすようにやさしく洗う方法で、デリケートな衣類を洗う際に最適。さらに槽洗浄コースには「遠心洗い」という方法も採用しています。このほか、ガンコな汚れを落とすために、20℃、30℃、40℃、60℃の4つの温度帯で洗浄できる温水洗浄機能も装備。これらを組み合わせて、ハイセンス独自の洗浄コースを構成しているのがユニークなポイントです。

↑槽内にある3つのリフターが衣類を槽の上までしっかり持ち上げて洗浄力を高めます。コースに応じて3種類の洗浄方法を組み合わせているのもポイント。

本体には標準、おいそぎ、つけおき、香プラス、おしゃれ着、毛布、タオルといったコースを搭載していますが、さらにライフスタイルに合わせて好みのコースを設定できる「ダウンロードコース」を用意しています。

「若年層の方が結婚する前に買われて結婚した、子どもが生まれた、子どもがクラブ活動を始めた……そういうところにも全部対応できるように、この製品とお客様の生活が二人三脚で進化することをコンセプトにダウンロードコースを作りました」(今井氏)

↑本体上部の操作部に「ダウンロード」ボタンを備えています。
↑8つのダウンロードコースの概要。「部屋干し」や「洗えるスーツ」といった重宝しそうなコースも用意しています。

例えばランジェリーコースの場合、新開発のゆらゆら洗いを用いることで型崩れを防ぎながら優しく洗います。

スポーツウェアコースの場合、気になる汗のニオイを落とすために匂いに特化したゆらゆら洗いと、普通洗いの併用で洗い上げるコースになっています。

↑ゆらゆら洗いを活用するランジェリーコースだと型崩れを抑えることが可能。
↑スポーツウェアコースはゆらゆら洗いで衣類の傷みを抑えつつ、汗臭をしっかり除去します。

泥汚れコースは、洗剤自動投入機能をフル活用した「3度洗い」をするコースです。半分の容量の洗剤を入れて1回目、2回目を洗い、3回目に標準の洗剤を入れて温水洗うことで、2倍の洗剤量を用いて3度洗いを実現します。今井氏によると、「3回洗いで徹底的に洗えるのも、自動投入機能が搭載されているからこそできる機能です」とのこと。

↑泥汚れコースの概要。3度洗いで徹底的に汚れを落とします。
↑泥汚れコースで洗濯した衣類(左)は泥汚れがしっかり落ちているのに対し、通常の洗濯コースで洗濯した泥汚れの衣類(右)では汚れが残っています。

タオルリセットコースなどユニークなコースも用意

さらに興味深いのがタオルリセットコースです。これは通常のタオルコースとは違い、使い古してゴワゴワになったタオルをリセット、つまり元の柔らかさを復活させるユニークなコースです。

「ドラム式洗濯機の温水と、酸素系漂白剤を用いて、柔軟剤の残りかすや皮脂汚れなどを徹底的に落として初期の状態に戻していくという考え方です」(今井氏)

↑タオルリセットコースは、パイルが倒れてゴワゴワしたタオルをふんわりした状態に復元します。

そのほか、スーツ専門店で多く売られている「洗えるスーツ」をゆらゆら洗いで優しく洗浄する「洗えるスーツコース」、デリケートな赤ちゃん用衣類をゆらゆら洗いで優しく洗う「ベビー衣類コース」などを用意しています。

↑ゆらゆら洗いを活用した洗えるスーツコース。
↑ベビー衣類コースは赤ちゃんの肌着などの型崩れを抑えます。

洗剤・柔軟剤自動投入機能はアプリでラクに設定

冒頭で紹介したように、便利な液体洗剤・柔軟剤自動投入機能も備えています。本体上部に洗剤・柔軟剤を投入するタンクを備えており、タンク容量は液体洗剤が700ml、柔軟剤は600mlとなっています。引き出し式になっており、外して洗うことも可能です。

↑液体洗剤・柔軟剤自動投入機能も備えています。

液体洗剤や柔軟剤は、スマホ向け「ConnectLife」アプリ(Android/iOS対応)でメーカーから銘柄を指定して設定できます。また、3mlから30mlまで手動で標準投入量を設定することも可能。本体パネルで投入量を設定することもできますが、スマホアプリで設定するのが最もラクなのではないでしょうか。

↑ConnectLifeアプリの画面で柔軟剤を選択できます。
↑手動で選択することも可能です。

また、先ほど紹介したダウンロードコースもスマホアプリから設定できます。本体に搭載されている「ダウンロード」ボタンを押すと「d1」から「d3」まで3つのスロットから選べるようになっています。スマホアプリに表示される8つのダウンロードコースの中から、d1からd3のどれにダウンロードするかを指定することで本体に設定できます。

↑アプリで8つのダウンロードコースから3つを選んで、ダウンロードボタンのスロットにインストールできます。

3つの自動槽洗浄コースと熱交換器の自動洗浄機能を搭載

メンテナンスもしやすくなっています。洗濯槽の自動洗浄機能と自動槽乾燥機能を標準搭載しているほか、熱交換器の自動洗浄機能も備えています。

自動槽洗浄コースは4時間のコースと12時間のコースを搭載していますが、それに加えて10分間で洗浄するコースも搭載したと今井氏は語りました。

↑3つの自動洗浄コースの概要。

「今回は10分間で水だけで縁にたまったゴミや柔軟剤の残りかすなどを洗い流すコースを用意しました。洗濯のすすぎの最後に入れる柔軟剤がカビの原因になるため、それらをすべて洗い流します。定期的に行っていただければカビの発生を抑えられますし、汚いものを洗った後に気になる場合はこのコースでリフレッシュしてください」(今井氏)

なお、普段のメンテナンスでは、本体下部の排水フィルターにたまった糸くずやゴミを捨て、乾燥フィルターにたまった糸くずやホコリを捨てるお手入れが必要です。本機では排水フィルターをクシ状にして汚いものを触らずに洗い流せるようにするなど、日々の手入れをラクにする工夫を施しています。

↑排水フィルターと乾燥フィルターを搭載し、糸くずやホコリをしっかりキャッチ。
↑本体下部に配置されている排水フィルター。
↑本体上部に配置されている乾燥フィルターはボックス状になっており、側面のフィルターを引き抜くだけで、フィルターにたまったホコリを取り除けるといいます。

ハイセンスのドラム式参入が洗濯機市場に与える影響は大きい

今後の商品戦略について、張社長は冒頭で「10年後にハイセンスジャパンの白物家電が日本市場のトップ3に入ることを目標としています」と語りました。

さらに、先述の李氏によると「2026年以降は大容量×便利の商品の内容と、コンパクト×便利のラインアップ、2つのドラムのラインアップでさらに広く深くドラム市場に入り込んで成長していきたい」とのこと。

↑ハイセンスジャパンの今後のラインアップ拡充計画。2026年以降は複数機種を展開予定。

そんな目標に向け、第一弾として発売されたHWF-D120XL。60cm×60cmの防水パンに設置でき、出っ張りも少ないコンパクト&大容量を実現したことで、狭いマンションやアパートでも設置しやすいでしょう。液体洗剤・柔軟剤自動投入機能やヒートポンプ乾燥方式、温水洗浄機能など盛りだくさんで実売想定価格16万8000円は「破格」という印象です。

共働き世帯の増加にともなってドラム式洗濯乾燥機の需要は高まっているものの、スペースが限られた住宅に安心して設置できる高機能モデルは多くはありません。その意味で、業界に与えるインパクトは大きいはず。ハイセンスジャパンの参入によって、ドラム式だけでなく、洗濯機市場がどのような勢力図になっていくのか、今後も注目していきたいところです。

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