価格以上の価値を打ち出す、小売店のプライベートブランド(PB)家電が存在感を高めている。ここではPB家電を積極的に展開している4社のヒット製品や新製品を紹介。さらに、小売店の参入背景や消費者のメリットについて、家電のプロに解説してもらった。
【教えてくれたのは…】
家電・家電量販店ライター 伊森ちづるさん
生活家電を中心に取材・執筆。レビューするほか、流通関係者やメーカー開発者への取材を行い、家電の魅力をわかりやすく伝える。
【ニトリ】圧倒的コスパの大型家電を強化しファミリー世帯からの支持は絶大!

家具、ホームファッション、生活雑貨に次ぐ、“第4の柱”として家電事業を拡大中。2009年度に小型家電から参入し、近年はファミリー世帯向けのドラム式洗濯乾燥機など大型家電にも進出。企画から販売までを自社で一貫し、熟練エンジニアやテスト環境を整えるなど、本気度の高さがうかがえる。

12kgヒートポンプ式
ドラム式洗濯乾燥機 ND120HL1
14万9900円
ヒートポンプとヒーターのハイブリッド乾燥方式を採用しながらも、価格を15万円以下に抑えた新型のドラム式洗濯乾燥機。フィルターやパッキンの自動掃除機能や温水洗浄機能、洗剤自動投入機能も搭載。洗濯容量12㎏、乾燥容量7㎏。

プロジェクター
NEP-K220MM_J
9990円
発売直後に一度完売した、自動台形補正機能付きのプロジェクター。コンパクトながら最大120インチ投影に対応し、壁や天井で映画も楽しめる。HDMI接続でゲーム機やスマホの映像も投影可能。重さ約630gで持ち運びしやすい。

コードレススティッククリーナー
MA201SC
1万9990円
約1.1㎏の軽量ボディとパワーをバランス良く両立させたシンプルな機能が魅力。小回りの利くヘッド、隙間の掃除に便利な2Wayノズルなども備える。同社の想定を大きく上回る売れ行きで、一時期は入手困難になった。

高濃度マイナスイオン
ヘアケアドライヤー NY281
9990円
1万円以下で、高濃度マイナスイオンを搭載。静電気を低減し、まとまりのある髪へと導く。風速・風温調節や「ソフトケア」モード、「温冷循環」モードなど多彩な機能を備え、温度コントロール×速乾で熱ダメージを軽減する。
【エディオン】顧客の声をもとに製品化!オシャレ家電も続々拡充

販売スタッフに寄せられる顧客の声を家電開発に反映。2018年に12品目から始まったPBシリーズ「e angle(イーアングル)」は、PC周辺機器から生活家電、健康機器まで全40点にラインナップを拡大している。今後はIoT家電やスマートホーム関連製品の開発にも注力する予定だ。
くすみカラーの家電がデザイン重視派にヒット!

家電をデザインで選ぶ人も多いことから、くすみカラーの家電シリーズを展開。カラーはティール、モカホワイト、ピンクベージュの3色で、ラインナップはオーブントースター、グリル鍋、タンブラーミキサーなど。


便利さと快適さを両立!多機能なのにお手入れ簡単

e angle DCモーター搭載
リモコン付サーキュレーター
ANGVA-FA15-DC-W
9980円
節電対策で近年需要が高まっているサーキュレーターは、羽根やガードを前面から外せるお手入れ性能が好評。狙った好きな角度で送風できる「ここピタ」機能のほか、8段階風量や衣類乾燥、おやすみモードも搭載。
【ビックカメラ】ユニークな機能の提案型PB家電を展開

ビックカメラの「ORIGINAL BASIC」は、2019年に乾電池から始まり、白湯専用ケトル「白湯里(さゆり)」、音声操作扇風機「Wafree(ワフリー)」などユニークな製品を次々に投入。専門店の集合体という同社の強みを生かし、“ライフスタイルを提案するPB”として進化し続けている。

オーブンレンジ OB-OR181K
2万7800円
低出力でやさしく解凍する「こだわり解凍」、「クイック」ボタンを押すと出力を上げ時短で温める「おてがるクイック」など便利な機能を備えたコスパモデル。白湯モードや、発酵モードも搭載。

肌触りの良い電気湯たんぽ「ソフトウォーマー」は、お腹を温めながら手元も入るポケットでポカポカに。このほか、同じ素材の電気毛布や、指先まで温める電気カイロもラインナップ。ホットドリンクをモチーフにしたカラーも魅力だ。
【ヤマダデンキ】高機能・低価格を実現したドラム式洗濯乾燥機が好調!
注目製品は、2025年4月に登場したヤマダオリジナル洗濯乾燥機「RORO(ロロ)」。手ごろな価格と機能性の両立を実現し、11月にはヒートポンプ式モデルが追加された。今後もPB拡充を進める同社。どんなアイテムが登場するのか期待が高まる。

ヤマダオリジナル
ドラム式洗濯乾燥機RORO
YWM-YV120N
16万4780円
衣類が絡みにくい水平ドラムを採用した、洗濯容量12㎏、乾燥容量6㎏のヒートポンプドラム式洗濯乾燥機。温水洗浄コースや洗剤自動投入機能、乾燥フィルターやドアパッキンの自動掃除機能など充実したスペックだ。
独自機能でファンを獲得! コスパだけじゃないPB家電
リテーラーがPBに取り組む背景には、「ファン化」「差別化」「収益性向上」という3つの狙いがあると考えています。同質化しやすい家電売り場において、PB製品は来店動機を生み出す重要な要素。ECの普及で買い回りやすくなったいま、価格の安さだけでなく、デザインや機能といった独自性によって新たな発見や体験を提供できるようになっています。
こうしたPB家電を支えているのが、店舗やECなど販売現場で得られる顧客の声。現場からのフィードバックをもとに改良を重ね、独自の視点から価値ある家電を提案しています。好例は、エディオンが展開する「e angle」の「2WAYイヤホン」。「ワイヤレスと有線を両方持ち歩く手間をなくしたい」「充電切れや遅延の心配を減らしたい」といった声から誕生したのだとか。ビックカメラの単一形乾電池式モバイル充電器「ドカでん」も、買い足しやすく管理しやすい乾電池を採用した点が販売現場ならではの発想です。さらにニトリでは、2024年発売のドラム式洗濯乾燥機が「便利だが高い」という常識を覆して話題に。10万円以下という価格で縦型並みのコンパクトさや自動お手入れ機能を備え、多くの人が抱える不満や不便を解消したことがヒットの要因と言えるでしょう。
また、中間コストを抑えられるPBは、手ごろな価格と高い利益率を両立でき、収益改善にもつながります。各社はPBのラインナップ拡充を進める一方で、品質面の信頼向上にも注力。ニトリは大阪に検査設備を設けて性能評価体制を整え、経験豊富なエンジニアを採用。エディオンは自社研究所で品質チェックを行い、ビックカメラも第三者機関で実使用を想定した製品テストを実施しています。
消費者にとってPBは、実用性と価格のバランスに優れた商品が多く、生活課題を手軽に解決できる点が魅力です。ヤマダデンキやニトリではドラム式洗濯乾燥機に5年保証を設けるなど、アフターサポートも充実しています。
技術や総合力に強みを持つメーカー製品に対し、販売員が接客を通じて得たリアルな声が生かされているのがPBの特徴。両者が選択肢として並ぶ今、家電を選ぶ楽しさが広がっています。
※「GetNavi」2026年1月号に掲載された記事を再編集したものです。
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