新品を買うのはもう時代遅れ? メーカー保証付き「再生家電」が最強の選択肢である理由

ink_pen 2026/1/22
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新品を買うのはもう時代遅れ? メーカー保証付き「再生家電」が最強の選択肢である理由
GetNavi編集部
げっとなびへんしゅうぶ
GetNavi編集部

1999年創刊。「新しくていいモノ」を吟味して取り上げる月刊の新製品情報誌。生活家電とIT・デジタルガジェットを中心に、モビリティ・雑貨日用品・グルメ・お酒まで、モノ好きの「欲しい!」に結論を出す、がコンセプト。

メーカー保証がありながら、通常よりも手ごろな価格で購入できるのが「リファービッシュ品」、いわゆる「再生品」だ。今、多くの家電メーカーの参入が進む注目の仕組みについて、プロが解説する。

【教えてくれたのは…】

家電ライター 倉本 春さん
家電の実際の使用感に基づくレビュー記事を中心に執筆。開発者取材や工場見学記事など、最新技術の解説なども得意とする。

資源を循環させて家電にもう一度価値を

家電の価格高騰が続く現在、新たな選択肢として注目されているのが、使用済みの製品を整備して販売する「リファービッシュ家電」です。中古品が一定期間使用された製品であるのに対し、リファービッシュ品は展示品や初期不良などで返品された製品が主な対象。このため、使用期間が短く、新品同様の製品も多いのが特徴です。

再生工程は、正規メーカーもしくは第三者事業者が手がけます。なかでも正規メーカーの場合は、自社で回収・修理・整備・検査を行うため、交換する部品には純正パーツが使われ、整備基準も独自の厳しい内容に準拠。メーカー保証が付くことも多く、新品に近い安心感を得ながら価格は抑えられる点が魅力です。

もちろん、この仕組みにはメーカー側のメリットも。従来、回収品の多くは解体・粉砕し再資源化していましたが、これには時間もコストもかかります。再生により廃棄コストを抑えられ、修理を通じて「壊れやすい箇所」や「摩耗しやすい外装素材」など実使用に基づく知見も蓄積できます。

環境面でも大きな意義があります。使用可能なパーツをできる限り活かし、整備して市場に戻すことで、廃棄物を減らすサステナブルなモノづくりを実現できます。つまり、消費者は手軽に高品質な製品を購入でき、メーカーはコスト削減と技術向上につながり、そして環境負荷も軽減する「三方良し」の取り組みというわけです。

リファービッシュ家電の普及が進む海外とは対照的に、日本では長らく中古品への心理的ハードルがあり、市場規模は限定的でした。しかし、ここ数年でパナソニックをはじめ、大手メーカーが本格的に参入し、製品ジャンルも徐々に拡大中。市場全体としては立ち上がり期ですが、「新品か中古か」だけではない第三の選択肢として、確実に存在感を高めています。

↑パナソニックでは、製造年や傷の有無、使用時間、臭気などからリファービッシュ品をランク付け。ランクに応じた価格でリファービッシュ品を専用サイトで販売している。

パナソニック 宇都宮工場——リファービッシュ家電ができるまで

13カテゴリの検査済み再生品「Panasonic Factory Refresh」を販売するパナソニックでは、リファービッシュ専用の工場も稼動。ここでは7カテゴリの再生を担う宇都宮工場を例に、回収された家電がどのように再整備され、生まれ変わるのか、その工程を紹介する。

Cleaning・クリーニング

回収された家電は内部までしっかりと分解し、通常は掃除できない部位の汚れやホコリまで除去。新品に近い清潔さを取り戻すことで、見た目の美しさだけでなく、稼動効率や排気など本来の性能も発揮できる状態に。

↑通常は掃除が難しいドラム式洗濯機の熱交換器も、本体から取り出して専用のツールで清掃。ホコリなどの汚れを除去することで乾燥効率が回復する。
↑空間除菌脱臭機ジアイーノの清掃工程。フィルターやパッキンなどの劣化したパーツは新品と交換される。仕上げは掃除機やタオルなどで拭き上げる。

Confirmation・動作確認

清掃後の家電は、基板・モーター・センサーなど動作に関わる部位をひとつずつ点検。量産工場と同等の設備で、新品製造時と同じ基準に沿って検査を行い、品質と安全性を再びクリアできる状態へと整える。

↑カメラレンズの光軸などを確認する検査ブース。異なる焦点距離のモデルにも対応できるように、カメラを吊り下げて移動できる構造を採用している。
↑修理後のテレビの検査ブース。暗幕の中では、テレビで再生した色が「パナソニックが考える色」であるかを一台ずつチェックしている。

Repair・部品の修理・交換

動作確認で不具合が見つかった場合は、その原因となる部品を特定し、必要に応じて修理や交換を行う。パナソニックでは交換部品に純正パーツを使用し、初期性能に近い状態へと整備するのが特徴だ。組み立て後には再度検査を行い、品質を確認したうえで出荷する。

↑通常は基板を全交換するような修理も、この工場ではチップ単位で交換が可能に。純正メーカーならではの優位性だ。
↑テレビのリファービッシュ工程では、画面表面のフィルムを削って貼り替える作業も行われている。使える資源をムダなく活かすために、手間のかかる工程も多い。
↑展示された再生品の部品。ドラム式洗濯機の場合、一台に約700〜800点のパーツが使われている。一部が故障しただけで廃棄されるのは資源面でも大きな損失だ。

他にもある!リファービッシュ品を扱うメーカー

パナソニック以外にも、リファービッシュ事業に取り組む日本のメーカーは増えている。大型家電やPCなど製品カテゴリも様々だ。

エプソン

ビジネス・コンシューマー向けのプリンターやプロジェクター、ウオッチ、PCなどのリファービッシュ、産業向けには再整備プログラムを提供している。

日立

冷蔵庫や洗濯機といった大型家電から、掃除機や炊飯器などの生活家電、IHクッキングヒーターなどの住宅設備まで、現在6ジャンルに対応。1年保証付き。

東芝ライフスタイル

自社工場にて外観検査・品質検査を行った「工場再生品」を、1年間のメーカー保証を付けて販売。炊飯器、洗濯機、掃除機、冷蔵庫の4ジャンルに対応している。

※「GetNavi」2026年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

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