メーカー保証がありながら、通常よりも手ごろな価格で購入できるのが「リファービッシュ品」、いわゆる「再生品」だ。今、多くの家電メーカーの参入が進む注目の仕組みについて、プロが解説する。

【教えてくれたのは…】
家電ライター 倉本 春さん
家電の実際の使用感に基づくレビュー記事を中心に執筆。開発者取材や工場見学記事など、最新技術の解説なども得意とする。
資源を循環させて家電にもう一度価値を
家電の価格高騰が続く現在、新たな選択肢として注目されているのが、使用済みの製品を整備して販売する「リファービッシュ家電」です。中古品が一定期間使用された製品であるのに対し、リファービッシュ品は展示品や初期不良などで返品された製品が主な対象。このため、使用期間が短く、新品同様の製品も多いのが特徴です。
再生工程は、正規メーカーもしくは第三者事業者が手がけます。なかでも正規メーカーの場合は、自社で回収・修理・整備・検査を行うため、交換する部品には純正パーツが使われ、整備基準も独自の厳しい内容に準拠。メーカー保証が付くことも多く、新品に近い安心感を得ながら価格は抑えられる点が魅力です。
もちろん、この仕組みにはメーカー側のメリットも。従来、回収品の多くは解体・粉砕し再資源化していましたが、これには時間もコストもかかります。再生により廃棄コストを抑えられ、修理を通じて「壊れやすい箇所」や「摩耗しやすい外装素材」など実使用に基づく知見も蓄積できます。
環境面でも大きな意義があります。使用可能なパーツをできる限り活かし、整備して市場に戻すことで、廃棄物を減らすサステナブルなモノづくりを実現できます。つまり、消費者は手軽に高品質な製品を購入でき、メーカーはコスト削減と技術向上につながり、そして環境負荷も軽減する「三方良し」の取り組みというわけです。
リファービッシュ家電の普及が進む海外とは対照的に、日本では長らく中古品への心理的ハードルがあり、市場規模は限定的でした。しかし、ここ数年でパナソニックをはじめ、大手メーカーが本格的に参入し、製品ジャンルも徐々に拡大中。市場全体としては立ち上がり期ですが、「新品か中古か」だけではない第三の選択肢として、確実に存在感を高めています。

パナソニック 宇都宮工場——リファービッシュ家電ができるまで

13カテゴリの検査済み再生品「Panasonic Factory Refresh」を販売するパナソニックでは、リファービッシュ専用の工場も稼動。ここでは7カテゴリの再生を担う宇都宮工場を例に、回収された家電がどのように再整備され、生まれ変わるのか、その工程を紹介する。
Cleaning・クリーニング
回収された家電は内部までしっかりと分解し、通常は掃除できない部位の汚れやホコリまで除去。新品に近い清潔さを取り戻すことで、見た目の美しさだけでなく、稼動効率や排気など本来の性能も発揮できる状態に。


Confirmation・動作確認
清掃後の家電は、基板・モーター・センサーなど動作に関わる部位をひとつずつ点検。量産工場と同等の設備で、新品製造時と同じ基準に沿って検査を行い、品質と安全性を再びクリアできる状態へと整える。


Repair・部品の修理・交換
動作確認で不具合が見つかった場合は、その原因となる部品を特定し、必要に応じて修理や交換を行う。パナソニックでは交換部品に純正パーツを使用し、初期性能に近い状態へと整備するのが特徴だ。組み立て後には再度検査を行い、品質を確認したうえで出荷する。



他にもある!リファービッシュ品を扱うメーカー
パナソニック以外にも、リファービッシュ事業に取り組む日本のメーカーは増えている。大型家電やPCなど製品カテゴリも様々だ。
エプソン

ビジネス・コンシューマー向けのプリンターやプロジェクター、ウオッチ、PCなどのリファービッシュ、産業向けには再整備プログラムを提供している。
日立

冷蔵庫や洗濯機といった大型家電から、掃除機や炊飯器などの生活家電、IHクッキングヒーターなどの住宅設備まで、現在6ジャンルに対応。1年保証付き。
東芝ライフスタイル

自社工場にて外観検査・品質検査を行った「工場再生品」を、1年間のメーカー保証を付けて販売。炊飯器、洗濯機、掃除機、冷蔵庫の4ジャンルに対応している。
※「GetNavi」2026年1月号に掲載された記事を再編集したものです。