冷凍食品やまとめ買い、作り置きで、気づけば冷凍庫がパンパン。冷凍スペースを増やす方法は、大きく2つあります。
① 大容量の冷凍室を備えた冷蔵庫に買い替える
② セカンド冷凍庫を買い足す
冷凍庫を買い足すほうが安そうに見えますが、電気代は2台分かかります。一方、冷蔵庫を丸ごと買い替えれば初期費用は高いものの、最新モデルなら省エネ性能の向上も見込めます。長く使うことまで考えると、どちらがおトクなのでしょうか? 具体的な家庭と製品を設定して検証しました。
目次
条件設定:「冷凍室だけ足りない家庭」
モデル家庭は次のとおりです。
約10年前に買った日立「R-XG4800G」(475L)を使っている家庭。冷蔵室や野菜室に大きな不満はないものの、冷凍室が足りません。

R-XG4800Gは2016年9月発売で、年間消費電力量は268kWh。冷凍室は上段25L+下段90Lです(※)。比較する製品は次の2つです。
※冷凍室の容量は定格内容積で比較しています。実際に食品を収納できるスペースは、棚やケースなどの構造によって異なります
大容量冷蔵庫の買い替え:日立「まんなか冷凍 HZCタイプ」R-HZC62Y(617L)

冷凍室の大きさが特長の大容量モデルです。年間消費電力量は267kWh、冷凍室は158L。実売価格は30万1403円(税込・以下同)です。同じ日立なので、「同一メーカーの約10年前のモデルから、最新の大容量モデルへ」という条件で比較できます。
セカンド冷凍庫の買い足し:ハイアール「JF-HSU14A」(135L・ファン式)

年間消費電力量は291kWh、定格容量は135Lで、実売価格は3万7800円。幅約50cmのスリム型です。
なお、今回は「同じ容量を増やす」比較ではなく、「冷凍室不足を解決するために実際に選べる2つの方法」を比較します。
10年前のモデルから大容量に買い替えても電気代はほぼ同じだった
R-XG4800G(475L・268kWh)と、最新のR-HZC62Y(617L・267kWh)を比べると、年間消費電力量の差はわずか1kWh、電気代にして約31円(※)です。
新型は容量が475Lから617Lへ142Lも増えているにもかかわらず、年間消費電力量はほぼ同じでした。少なくとも「容量が大きくなったぶん、電気代も大きく増える」という結果にはなりませんでした。
※電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWhで計算しました
| 比較項目 | R-XG4800G(2016年) | R-HZC62Y(最新モデル) |
|---|---|---|
| 定格内容積 | 475L | 617L(+142L) |
| 年間消費電力量 | 268kWh | 267kWh(−1kWh) |
| 年間電気代 | 8308円 | 8277円(−31円) |
電気代は高くても、トータルでは「買い足し」が安い!
比較する数字を並べてみましょう。買い替えは約30万円かけて冷凍室が+43L、電気代は年8277円です。買い足しは約4万円で+135L増やせますが、電気代は年1万7329円になります。
| 比較項目 | 大容量冷蔵庫へ買い替え 日立「R-HZC62Y」 | セカンド冷凍庫を買い足し ハイアール「JF-HSU14A」 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 30万1403円 | 3万7800円 |
| 旧冷蔵庫の処分費 | 9130〜1万890円※ | – |
| 冷凍室(定格)115L→ | 158L(+43L) | 250L(+135L) |
| 年間消費電力量 | 267kWh | 559kWh(268+291) |
| 年間電気代 | 8277円 | 1万7329円 |
| 5年間の電気代 | 4万1385円 | 8万6645円 |
| 5年間の総コスト | 約35万2000〜35万4000円 | 約12万4000円 |
| 10年間の総コスト | 約39万3000~39万5000円 | 約21万1000円 |
まず初期費用を見ると、買い替えは本体価格と処分費を合わせて約31万円、買い足しは約4万円。その差は約27万円にもなります。
一方、買い足すと、電気代は年間約9000円増えます。それでも、本体価格などの初期費用の差額約27万円を電気代だけで埋めるには、約30年かかる計算。10年使っても、総コストの差は約18万円残ります。今回の試算では、電気代の差だけで買い替え時の価格差を回収するのは難しい結果となりました。
※処分費は、日立の冷蔵庫・冷凍庫(171L以上)のリサイクル料金4730円(税込・確定)に、販売店ごとに決まる収集運搬料金(実例では4400〜6160円)を足した金額です。自分で指定引取場所へ持ち込めば収集運搬料金はかかりません。逆に、家の中からの搬出まで業者に頼む場合は、住宅の状況によって別途3000〜2万円ほど上乗せされることがあります。
※総コストは本体価格・旧冷蔵庫の処分費・電気代の合計。10年間の試算は、現在約10年使用している冷蔵庫を含め、各製品をそのまま使い続けると仮定したものです。途中の故障や修理、買い替えに伴う費用は含んでいません
※本体価格は2026年10月9日時点の実売価格。
【プロの解説】冷凍食品の進化で、冷凍室がますます足りない!

【私が教えます!】
家電ライター・近藤克己
家電業界誌の編集長などを経て独立。生活家電を中心に取材・執筆する。冷蔵庫にも詳しく、各メーカーの新製品取材に加え、自宅の冷蔵庫を買い替える際には、各社の容量や保存機能を徹底比較した記事も執筆した。
以降は、家電ライターの近藤克己さんにお話をうかがいました。まず、近藤さんは「冷凍室だけが足りない」という家庭が増えていると実感しているそうです。
「冷凍食品の品質が上がり、昼食や夕食に利用する人が増えています。お弁当用のおかずや、ふるさと納税の返礼品、お取り寄せのスイーツ、冷凍フルーツなど、冷凍室に入れたいものが多くなっていますね」(近藤)
実は、近藤さん自身も冷凍室不足に悩んでいる一人です。
「わが家は4人家族のときに370Lから460Lの冷蔵庫に買い替えました。その後、子どもが独立して2人暮らしになりましたが、それでも冷凍室はパンパンです。冷凍食品を使う機会が増えたほか、まとめ買いした肉や箱買いのアイス、子どもが送ってくれる冷凍スイーツ、保冷パックなどでいっぱいになっています」(近藤)
家族の人数が減っても、冷凍室に必要な容量が減るとは限らないのです。

冷蔵庫が元気なら、基本は「買い足し」
では、今回のモデル家庭には、どちらをすすめるのでしょうか。
「冷蔵庫が元気に動いていて、冷蔵室や野菜室に不満がないなら、私は買い足しをすすめます。冷凍室のためだけに冷蔵庫を丸ごと替えるのは、費用に見合うとは言いにくいから。ただし、置き場所があることが条件ですね」(近藤)
とはいえ、今回のモデル家庭が使っているのは、約10年前の冷蔵庫。そろそろ買い替えたほうがいいのでしょうか? 内閣府の消費動向調査によると、冷蔵庫の平均使用年数は13.5年。一方、補修用性能部品の保有期間は製造打ち切り後9年が一般的で、10年を超えると、故障しても修理できない可能性も。
「10年使った冷蔵庫でも、あと3〜4年は使い続けられると思います。ただし、異音がする、夏場に冷えが悪くなる、本体の外側が異様に熱くなるといった異常がないか、日頃から注意してください。冷蔵庫の調子が悪くなっている場合や、冷蔵室・野菜室も手狭になっている場合、セカンド冷凍庫の設置場所がない場合も、買い替えを検討する理由になります」(近藤)
つまり、10年使っているからといって、すぐに買い替える必要はナシ。ただし、今の冷蔵庫の状態を確認し、故障の兆候があれば買い替えを検討したいところです。
数字に出ない、最新冷蔵庫への買い替えのメリットは?
一方、近藤さんは、最新冷蔵庫への買い替えにも大きなメリットがあると指摘します。
「ここ数年で冷蔵庫の保存機能は劇的に進化しています。冷凍食品の霜付きを抑えて長期保存したい、刺身や肉、野菜などの生鮮食品を長持ちさせたい、大容量の肉を解凍せずに必要な分だけ切り分けたい、といった人には、最新モデルへの買い替えをおすすめします」(近藤)
こうした保存機能は機種によって異なりますが、冷蔵室や野菜室も含めて使い勝手を改善できるのは、丸ごと買い替える大きなメリット。さらに、近藤さんが重視するのはライフスタイルや食生活の変化です。
「家族が増えた・減った、野菜を買う量が増えた、新鮮な魚・肉を食べる機会が増えた、お取り寄せやネットスーパーを利用する頻度が高くなったなど、10年前と暮らし方が変わっているなら、今の冷蔵庫が生活に合っているか見直してもいいと思います」(近藤)
冷凍室だけが足りないなら買い足しが合理的。一方、食品の保存性能や冷蔵室・野菜室も含めて改善したい場合、いまの冷蔵庫がライフスタイルに合わない場合は、買い替えにも十分な価値があるというわけです。

冷凍庫を買い足すなら、購入前にチェックすべきポイントは?
インバーター搭載
セカンド冷凍庫の買い足しを選ぶ場合、どんな製品を選べばいいのでしょうか?
「できればインバーター(※)搭載モデルがおすすめです。消費電力を抑えられ、運転音も静かなので、寝室や個室にも向いています。また、温度設定ができるものを選ぶのも重要。保存する食材の種類や量、季節などに合わせて調整することで省エネにもつながります」(近藤)
※インバーター……冷却用コンプレッサーの回転数を調整する技術。必要な冷却量に応じて運転を制御できるため、消費電力や運転音を抑えやすいのがメリット
冷凍/冷蔵切り替え機能
また、冷蔵/冷凍の切り替えができる製品について、近藤さんは次のように指摘します。
「まず、自分に足りないのは冷蔵室なのか、冷凍室なのかを吟味してください。切り替え式でも、一度食品を入れると頻繁に切り替えるのは難しいので、使い方をよく考えて選びたいですね」(近藤)
冷却方式(ファン式・直冷式)
このほか、方式の違いも注目。主にファン式と直冷式があります。
「ファン式は自動霜取り機能を備えた製品が多く、日常的な霜取りの手間を抑えられるのがメリット。一方、直冷式は定期的な霜取りが必要ですが、静音性や価格面で有利な製品もあります」(近藤)
頻繁に食品を出し入れするなら、霜取りの手間が少ないファン式が便利でしょう。
開き方(前開き・上開き)
扉の開き方も使い勝手を左右する重要な要素です。
「小分けにした冷凍食品や作り置きを日常的に出し入れするなら、食品を整理しやすく、取り出しやすい前開きが便利。大きな塊肉や、釣った魚を長期保存するなら上開きが向いています。その点、今回のように冷凍食品が増えた家庭には、前開きが合うと思います」(近藤)

結論! あなたは「買い替え」「買い足し」どっち?
それでは、以下で買い替え、買い足しが向いている家庭の条件を挙げてみましょう。
買い替えが向いている人
- 冷蔵庫の調子が悪い、または故障が近そう
- 冷蔵室や野菜室も含めて容量が足りない、機能に不満がある
- 設置スペースを増やしたくない
- 1台ですっきり管理したい
買い足しが向いている人
- 今の冷蔵庫がまだ問題なく使えそう
- 不満は冷凍容量だけ
- 初期費用を抑えたい
- 冷凍容量を一気に増やしたい
- 設置場所に余裕がある
冷凍室だけが足りないなら、費用を抑えて容量を増やせる「買い足し」が有力。一方、冷蔵庫の老朽化や保存機能への不満があるなら、「買い替え」にも十分な価値があります。目先の費用だけでなく、今の冷蔵庫の状態やこれからの食生活も踏まえて、自分の家庭に合った方法を選びましょう。
買い替え派におすすめの大容量冷凍室モデル
日立 R-HZC62Y(617L)
冷凍室は定格158L。冷凍室を中央に配置した大容量冷蔵庫。3段ケースで冷凍食品を整理しやすく、自動で素早く冷凍する「デリシャス冷凍」や、霜付きを抑える「霜ブロック」を搭載しています。さらに、約0.8気圧の真空環境と約−1℃の氷温で食品の鮮度を保つ「真空氷温ルーム」も備えています。
東芝 FREEZA GR-A590WF(586L)
冷凍室は159L。中央に配置した3段冷凍室で食品を整理しやすく、霜付きを抑えておいしさを保つ「おいしさ持続上質冷凍+」を搭載しています。さらに、冷凍した肉などを短時間で切り分けやすい硬さにする「ブースト解凍」も備えています。
買い足し派におすすめのセカンド冷凍庫
ハイアール JF-HSU14A(135L)
今回の検証で使った幅約50cmのスリムな前開き式冷凍庫。食品を整理しやすい引き出し式クリアバスケットを備え、ファン式の自動霜取り機能で手間を軽減します。冷凍・冷蔵の切り替えや温度調節、急冷凍にも対応し、電子レンジを置ける耐熱天板も採用しています。
東芝 GF-A11HS(108L)
本体幅364mmのスリム設計を実現した前開き式冷凍庫。食品を入れると温度変化を検知して自動で急冷凍する「おいしさ急冷凍」や、UV-LEDを使った「W-UV除菌」を搭載しています。食品を整理しやすい4段ケースを備え、背面を壁にぴったりつけて設置できる省スペース設計も魅力です。
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