1年間に発売されたカメラから最優秀製品を投票で決める「カメラグランプリ」の結果が発表になった。今年は、なんとオリンパスが主要3賞を独占。選考委員によって選ばれる「大賞」、および一般投票によって選ばれる「あなたが選ぶベストカメラ賞」にミラーレスカメラ「OM-D E-M1 Mark II」が、「レンズ賞」に高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」が選ばれたのだ。カメラ記者から一般ユーザーまで広く支持されたE-M1 Mark IIとは、どんなカメラなのか。7つのポイントからそのスゴさをチェックしよう。
【Point1】高速連写がすごい!
プロのスポーツカメラマンの多くはキヤノンやニコンの一眼レフ最上位モデルを使っており、その連写速度はおよそ12~14コマ/秒(AF/AE追従)である。これに対してE-M1 Mark IIは、同じくAF/AE追従で最高18コマ/秒を実現。センサーサイズの差やメカシャッター/電子シャッターの違いがあるので単純な比較はできないが、約1/3の価格と1/2以下のボディ重量で、プロ仕様の一眼レフを超える高速連写ができるのは画期的といっていい。
さらに、AF/AE固定の場合は60コマ/秒という動画並の超高速連写ができる点や、シャッターボタンを全押しする前の画像をさかのぼって記録する「プロキャプチャー」モードを備える点にも注目だ。動きの決定的な瞬間も、これまで以上の高い確率で逃さず撮影できる。
【Point2】高速AFがすごい!
一般的にミラーレスカメラのAFは、一眼レフのAFに比べると動体撮影に弱いといわれている。だがE-M1 Mark IIでは、新たに開発された121点測距の「DUAL FAST AF」によってAFの動体追従性が大きく向上。一眼レフに匹敵とまではいえないが、動きのある被写体にも対しても大きなストレスなく合焦し、追従する。
またフォーカス関連の機能も充実。C-AFの追従感度を±2段の範囲で調整できるほか、合焦範囲を制限する「AFリミッター」や、人物の目にピントを合わせる「瞳検出」、EVF使用中に液晶上のタッチ操作で測距点をダイレクトに動かす「AFターゲットパッド」、前もって設定した距離に素早くピントを合わせる「プリセットMF」など、多彩な機能を備えている。
【Point3】ファインダーがすごい!
ファインダーには倍率1.48倍、ドット数約236万ドットの液晶ビューファインダーを搭載。その表示は大きくて精細感もあり、視認性は優秀だ。一般的にEVFの弱点といわれている、表示のタイムラグや撮影後のブラックアウトもほとんど気にならず、動きのあるシーンでも違和感なく撮影できる。発色については発売当初はやや色かぶりを感じたが、その点は先日のファームウェアアップデートで改善されている。
【Point4】ボディがすごい!
ボディの作りのよさは、実機を手に取ってファインダーをのぞき、試しにシャッターを切ってみるとすぐにわかるだろう。外装は高品位なマグネシウム合金製。大きく突き出たラバーグリップはしっくりと手になじみ、装着レンズを問わず安定したホールド感が得られる。また、シャッターボタンはグリップ上の高い位置にあり、その感触やシャッター音は心地いい。こうした操作面の快適さはカタログスペックには表れないが、撮影のモチベーションを高める重要な部分だ。
【Point5】手ブレ補正がすごい!
個人的に、連写やAF以上にE-M1 Mark IIで高く評価しているのは、手ブレ補正のすごさだ。「レンズ賞」を受賞した高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」と組み合わせた場合、ズームのワイド端(焦点距離24mm相当)で、シャッター速度4秒を手持ちでブレなしで撮影できた。どんなに強力な手ブレ補正でも1秒以上の長時間露光を手持ちで撮るのは無理、と思っていた私の先入観を打ち砕く、驚異的な補正能力である。
これは、ボディ内での5軸補正にレンズ側での補正を組み合わせた「5軸シンクロ手ブレ補正」によるもの。夜景を手持ちで撮影できるほか、下のカットのように、手ブレを抑えつつ、あえて被写体ブレを残したような動感表現も楽しめる。
【Point6】動画がすごい!
動画は、最大でデジタルシネマ規格の4K(4096×2160)記録に対応。動画撮影時も強力な5軸手ブレ補正が利用でき、手持ちでもクオリティの高い映像が撮れる。動画関連の機能としては、HDMIモニタリングスルーやフォーカスピーキング、動画専用のピクチャーモード、スロー/クイック動画、アートフィルター動画、静止画の切り出し機能などを備えている。
【Point7】撮影機能がすごい!
デジタル技術を生かした多彩な撮影機能を備える点も見逃せない。なかでもユニークなのは、ピント位置を自動的にずらしながら連写と合成を行って、深い被写界深度を作り出す「深度合成モード」だ。この機能を利用すれば、小物や昆虫、植物などを接写する際、細部までシャープに写せる。
さらに、途中経過を確認しながら比較明合成を行うことで星などの動きを光跡として記録する「ライブコンポジット」や、8枚のカメラ内合成によって50メガ相当の高解像写真を生成する「50Mハイレゾショット」、ライブビュー画面を見ながら遠近補正ができる「デジタルシフト撮影」なども搭載。こうした高機能によって幅広いシーンに対応できる万能カメラに仕上がっている。