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2017/7/11 16:00

ニコンの一眼レフ・D7500とD7200を実写比較(前編)――新旧モデルの基本スペック/操作性/画質は?

後継機が発売されると、旧モデルは注目されなくなりがち。とはいえ、新旧の差が少ない製品も多く、旧モデルが実はお買い得というケースも少なくない。そこで、ニコンの中級機、D7500とD7200を比較。画質や連写性能などをチェックした。カメラ初心者的視点で吉森信哉さん、プロカメラマンの視点で永山昌克さんの評価を交え、両機を評価する。(写真・解説/河野 弘道)

 

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ニコンの一眼レフ・D7500とD7200を実写比較(後編)――新旧モデルの連写性能/コスパ/買い時は?

 

↑D7500(右)とD7200。ボタンレイアウトなどに大きな変更はないものの、D7500は上位モデルD500同等のセンサー採用など、中身は大きく進化している
↑D7500(右)とD7200。ボタンレイアウトなどに大きな変更はないものの、D7500は上位モデルD500同等のセンサー採用など、中身は大きく進化している

 

【基本スペック比較】D7500は画素数をあえて抑えて、画質や連写性能を重視

D7500は、上位モデルのD500同等の撮像素子を採用。そのため、D7200の有効2416万画素に対して、D7500では有効2088万画素とわずかながら少なくなっている。とはいえ、D7500は、画像処理エンジンが「EXPEED 4」から「EXPEED 5」に進化したこともあり、連写性能が約6コマ/秒から約8コマ/秒にアップし、ISO感度も最高25600から51200に向上している。4K/30pの動画撮影にも対応した点も魅力だ(D7200はフルHD/60p対応)。

 

AFの測距点数は51と共通。ただ「D7500は選んだフォーカスポイントを中心に周囲の複数のフォーカスポイントをグループ化し、面で被写体を捉えるグループエリアAFに対応。被写体の捕捉力がアップ」(吉森)している。一方で、縦位置グリップを兼ねる「マルチパワーバッテリーパック」は非対応。「縦位置グリップがないのは、大口径レンズを多用するユーザーなどには不満が残りますね」(永山)。

↑D7500とD7200の差で大きなものは、やはり連写速度と連続撮影枚数だ。また、背面モニターが可動式のタッチパネルになった点もライブビュー撮影や動画撮影を行う場合の操作性の向上に寄与している。このほか、Bluetoothを内蔵し、「SnapBridge」に対応。画像転送が行いやすくなった
↑D7500とD7200の差で大きなものは、やはり連写速度と連続撮影枚数だ。また、背面モニターが可動式のタッチパネルになった点もライブビュー撮影や動画撮影を行う場合の操作性の向上に寄与している。このほか、Bluetoothを内蔵し、「SnapBridge」に対応。画像転送が行いやすくなった

 

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↑D7200はメモリーカードスロットがデュアルスロット(上)だったが、D7500ではシングルスロットに。D7200がDXフォーマット(APS-C機)のフラッグシップ機だったのに対し、D7500は上位モデルにD500が存在するということもあり、機能などが簡略化された部分も多少なり存在している
↑D7200はメモリーカードスロットがデュアルスロット(上)だったが、D7500ではシングルスロットに(下)。D7200がDXフォーマット(APS-C機)のフラッグシップ機だったのに対し、D7500は上位モデルにD500が存在するということもあり、機能などが簡略化された部分も多少なり存在している

 

【吉森信哉さんの基本スペックの10段階評価】

●D7500・9/10
●D7200・7/10

D7200の最大の弱点は連写性能。その点が改善されたD7500は魅力的。ただ、それ以外の部分はD7200でも十分で、スペック上はD7200でも満足できると思う。

 

【永山昌克さんの基本スペックの10段階評価】

●D7500・7/10
●D7200・7/10

D500では大げさ過ぎるという場合や、実用的なカメラがほしいユーザーには、D7500はいい選択だ。拡張性やフラッグシップ機の貫禄を求める場合は、D7200もアリ。

 

【操作性比較】モニターが可動式で、ボディも薄型なD7500

外観上で大きく異なるのは、背面モニターが可動式になった点だ。「最近は他社製品を含め、中級機や上級機でも可動式モニターが標準的になってきました。D7500はタッチ操作にも対応したので、ライブビュー撮影が格段に楽になっています」(永山)。このほか、D7500は、「モノコックボディ」となり、薄型化が図られている。「D750以降の多くの機種に採用されているモノコックボディは、グリップが深くなってホールド性が向上します。また、軽量化にも寄与しているので、長時間の手持ち撮影などを行うと手への負担の少なさを実感できます」(吉森)。

 

D7500のボタンレイアウトは基本的にD7200を踏襲しているが、ボディ天面の測光モードボタンは廃止。これは、ボディの薄型化によって配置スペースが足らなくなったものと思われるが、背面左側のボタンに機能が割り当てられているので困ることはない。

↑D7500とD7200の外観。基本的なボタンレイアウトは踏襲しながらも、D7500はボディ部分が薄型化され、グリップが深くなっている
↑D7500とD7200の外観。基本的なボタンレイアウトは踏襲しながらも、D7500はボディ部分が薄型化され、グリップが深くなっている

 

↑D7500の電子水準器。前後左右に対応し、建物や風景、書物などの複写を行う場合などに役立つ。水準器はファインダー内にも表示可能で、この場合も前後左右方向の傾きが表示される
↑D7500の電子水準器。前後左右に対応し、建物や風景、書物などの複写を行う場合などに役立つ。水準器はファインダー内にも表示可能で、その場合も前後左右方向の傾きが表示される

 

↑D7200の電子水準器は、左右方向のみで、画面の傾きは直せるが、ボディの仰角を確認できない。D7500同様、ファインダーでも利用できる
↑D7200の電子水準器は、左右方向のみで、画面の傾きは直せるが、ボディの仰角を確認できない。D7500同様、ファインダーでも利用できる

 

【吉森信哉さんの操作性の10段階評価】

●D7500・10/10
●D7200・8/10

D7500は、D7200にはない前後左右の電子水準器が搭載され、可動式モニターも装備。タッチシャッターも可能で低い位置に咲く花を撮る場合などに役立つ。

 

【永山昌克さんの操作性の10段階評価】

●D7500・9/10
●D7200・8/10

D7500は、剛性アップと小型化に役立つモノコックボディ採用でハンドリングしやすい。ただ、操作性はほぼ同様。可動式モニターが必要なければD7200も悪くない。

 

【画質を比較】画素数の差はわずかで、低感度撮影なら差は少ない

画素数はD7200が有効2416万画素に対し、D7500は有効2088万画素。画素数は少なくなっているものの、その差はわずかで、かなり拡大してようやく細部の差がわかるかどうかといった程度だ。高感度撮影では、最新のEXPEED5が採用されたことで画像処理が進化しており、D7500のほうが画像の荒れが少ない。特にD7200の常用最高感度であるISO25600で比較すると差が感じられる。

 

「高感度で撮ることを考えると、D7500がほしくなりますね。とはいえ、RAW現像時にある程度ノイズや画像の荒れは抑え込めるので、画素数重視でD7200を選ぶのもアリかもしれません」(永山)。「高感度は思っていた以上に差が出ましたが、風景などは画素数が多いほうが立体感が出るケースが多いのも事実です。超高感度を使うのでなければ、D7200でも十分のようにも感じます」(吉森)。

↑両機の低感度時の画質を比較。ホワイトバランスなどはオートにして、キットレンズの広角端(27ミリ相当)で撮影しての比較。色再現などの差はほとんど見られない。拡大するとD7200のほうがわずかにシャキッと見えるが、階調はD7500のほうが感じられる。差としてはわずかだが、階調を重視するか解像感を重視するかで評価が変わるだろう
↑両機の低感度時の画質を比較。ホワイトバランスなどはオートにして、キットレンズの広角端(27ミリ相当)で撮影しての比較。色再現などの差はほとんど見られない。拡大するとD7200のほうがわずかにシャキッと見えるが、階調はD7500のほうが感じられる。差としてはわずかだが、階調を重視するか解像感を重視するかで評価が変わるだろう

 

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↑両機の高感度時の画質を比較。D7200の常用最高感度であるISO25600で比較。両機とも目立ったノイズは出ていないが、解像感はD7500のほうが高い。高感度で撮った夜景などを大きくプリントするなら、D7500がおすすめ。ちなみに、両機とも拡張感度設定が行えるが、D7200はISO51200以上はモノクロになる

 

【吉森信哉さんの画質の10段階評価】

●D7500・8/10
●D7200・8/10

画素数をとるか階調&高感度をとるかといった状況で甲乙付けがたい。個人的には、超高感度で撮ることは希なので、解像感の高いD7200がいいようにも感じる。

 

【永山昌克さんの画質の10段階評価】

●D7500・9/10
●D7200・7/10

仕事で使うことを考えると画素数はある程度あれば十分なので、D7500の階調や高感度が魅力的に思える。レタッチを行う場合も、階調が豊かなほうが有利になる。

 

後編では連写性能やコスパの比較、買い時情報などを紹介していく。

 

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