キヤノンは「RFマウント」を採用するフルサイズミラーレスカメラとして、「EOS RP」を発表。昨年10月発売の「EOS R」の弟分として、より小型・軽量なボディと購入しやすい価格を実現。本稿では、EOS Rとの違いを中心に見ていきましょう。
「EOS R」と「EOS RP」、何が違う?
キヤノンの説明によれば、昨年キヤノン初のフルサイズミラーレスとして登場した「EOS R」は「ハイアマチュアからプロまで作品制作に必要な性能を搭載した充実の本格派モデル」、今回登場した「EOS RP」は「小型・軽量を実現しながらも、高画質・高性能を凝縮したカジュアルモデル」といったすみわけがなされています。
EOS R | EOS RP | |
有効画素数 | 約3030万画素 | 約2620万画素 |
シャッター速度 | 1/8000~30秒、バルブ | 1/4000~30秒、バルブ |
シャッター耐久 | 20万回 | 10万回 |
連続撮影速度(AF追従時) | 約8コマ/秒(約5コマ/秒) | 約5コマ/秒(4コマ/秒) |
AF測距点 | 最大5655ポジション | 最大4779ポジション |
ファインダー | 0.5型、約369万ドット | 0.39型、約236万ドット |
液晶モニター | 3.15型、約210万ドット | 3.0型、約104万ドット |
撮影可能枚数 | 約350枚(EVF)/約370枚(LCD) | 約210枚/約250枚(LCD) |
動画 | 4K30p対応 | 4K24p対応 |
大きさ | 約135.8×98.3×84.4mm | 約132.5×85.0×70.0mm |
重さ(バッテリー、メモリーカードを含む) | 約660g | 約485g |
実売価格(ボディ) | 25万6500円 | 17万3340円 |
上の表は、両者の異なる部分を抜き出したスペック比較表(一部)。
まず、EOS RPのメリットとしては、何よりも小型・軽量が挙げられるでしょう。EOS Rもミラーレス構造となったことで従来のフルサイズ一眼レフから小型軽量化を実現していますが、EOS Rはそこからさらに小型化。冒頭の写真を見比べていただいてわかるように、特にファインダー部の上方向のでっぱりが大幅に抑えられています。
重さもEOS RよりもEOS RPのほうが約175gも軽く、これは手に持った際にかなりの差を感じます。RFレンズのなかでは、性能重視のLレンズ3本よりも、キットレンズにもなっている軽量・コンパクトな「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」との相性がよさそうです。
価格面でのメリットも大きく、EOS Rとの価格差は記事執筆時点で約8万円。EOS Rのボディ単体と、EOS RPのRF35mm F1.8&マウントアダプターのキットがちょうど同じくらいの価格です。フルサイズデビューを考えるなかで、この価格差は大きいはず。
一方、画素数や連写性能、ファインダー(EVF)やモニター、撮影可能枚数といった基本性能はEOS Rに及びません。また、軽量化優先のため、どうしてもボディの質感なども変わってくるでしょう。表にはないですが、インターフェースや低輝度限界といった細かな点でも差が見られます。このあたりがカジュアルモデルとしての割り切りったスペックになっているので、「これまで一眼レフのフルサイズ機を使っていて、ミラーレスにのりかえたい」という人にとってはやや物足りなく感じるかもしれません。
ただ、画像処理エンジンはEOS Rと同じ最新のDIGIC 8を採用しており、画素数の差はあるものの、十分な高画質を得られるはず。また、昨年から各社より登場したフルサイズミラーレスカメラが軒並み20万円半ば~30万円台であることを考えると、10万円台後半というEOS RPの価格はかなり魅力的にうつります。初めてフルサイズミラーレスを購入するという人にとっては、小型軽量で比較的低価格な本機は“手が届く”高画質カメラとして有力な選択肢になるでしょう。