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2019/3/6 22:00

ソニーのNCワイヤレスイヤホン「WI-C600N」は1万8000円の価値があるのか? 音質もチェックしてみた

ソニーのBluetoothイヤホン「WI-C600N」は、手軽に使えるワイヤレスタイプでありながら、本格的なアクティブノイズキャンセリング(NC)機能を搭載した注目のアイテム。周囲の騒音を消音してくれるので、飛行機や新幹線、電車などに乗ったときや、オフィスやカフェなどで集中したいときに最適です。

 

前回は、上位モデルのWI-1000Xと「ノイズキャンセリング機能」について比較しましたが、今回は「4つの違い」に着目しながら音質を比べてみたいと思います。2機種のうち、どちらを購入しようか迷っている方はぜひ参考にしてみて下さい。

↑左がWI-C600N、右がWI-1000X(筆者の私物)

 

その1.ドライバーユニットの違い

まずはイヤホンの音質を決める最重要部である「ドライバーユニット」をみていきましょう。WI-C600は6mm径のダイナミックドライバーを採用したシングルダイナミック型です。

↑WI-C600N

 

一方、WI-1000Xは9mm径のダイナミックドライバーに、XBA-N1/N3同等のBA(バランスド・アーマチュア)ドライバー1基を加えたハイブリッド型となっています。これにより、ハイレゾ音源の超高域まで再生できる広帯域再生を実現しているのです。

↑WI-1000Xのドライバーユニットのイメージ図

 

WI-C600NとWI-1000Xを同じプレーヤーを使い、同じ再生条件で聴き比べてみると、どちらもクリアで高解像なサウンドを目指した音作りを狙っていると感じますが、2つイヤホンの音の印象はかなり違います。

 

WI-C600Nは、低音が強調された元気なサウンドで、やや派手めに色付けされているという印象。屋外などの騒がしい環境で聴くなら、これくらい盛ったほうがいい音に聴こえるよね、という感じでしょうか。広く万人に好かれる音だと思います。

 

WI-1000Xの方は、高音の抜けが気持ちいいフラット志向のサウンド。音に派手さはないものの、じっくり聴いていると解像度の高さが感じられる繊細な音で、人によっては地味と感じるかもしれません。

 

その2.コーデックの違い

続いてチェックしたいのは、ワイヤレスオーディオにおいて重要な要素である「Bluetoothコーデック」。一般的に使われる標準コーデックはSBCですが、WI-C600NはSBCよりも高音質なAACaptXの両方に対応しています。さらに、WI-1000Xは、ハイレゾ相当の高音質で伝送できるaptX HDLDACにも対応します。

 

aptX HDとLDACは“ハイレゾ相当の高音質”とうたわれていることから、「自分はハイレゾ音源を聴かないから関係ない」と考える人もいると思いますが、単純に伝送ビットレート(単位時間あたりに伝送される情報量)だけを考えてもaptXとLDACのほうがそれ以外のコーデックよりも優れているので、MP3などの圧縮音源やストリーミング音楽しか聴かない場合でもメリットは感じられるでしょう。

 

その点を踏まえると、WI-C600NもaptXとAACに対応しているので十分といえますが、より高音質を求める人にはaptX HDとLDACもカバーしているWI-1000Xの方が適しているでしょう。手持ちのスマホや音楽プレーヤーがaptXやLDACに対応している方は、ぜひ音質優先モードなどを選択して聴いてみて下さい。

 

その3.高音質化技術の違い

さらに比べておきたいのは、「高音質化技術」の違い。どちらもソニー独自の高音質化技術を搭載していますが、WI-C600Nは圧縮音源などで失われる高域を補完する「DSEE」、WI-1000Xは高域を補完するとともに96kHz/24bit相当までアップサンプリングする「DSEE HX」に対応しています。

↑DSEEのイメージ

 

↑DSEE HXのイメージ

 

こちらを聴き比べてみたところ、どちらも高域がクリアになってスッキリした音質になる効果を感じましたが、音源によっては高域が刺さるように感じることもあったので、そのような場合はオフにするとよいでしょう。DSEE HXの方がレンジが広くなったように感じられる分、音圧が下がったような印象を受けたので、ロックやHip-Hopなどノリのいいジャンルはオフの方が気持ちよく聴けそうです。

 

なお、DSEE、DSEE HXのいずれもSBCもしくはAACコーデック接続時しか適用されないので、ご注意下さい。

 

その4.イヤーピースの違い

最後に確認しておきたいのは、イヤホンを使う上で欠かせない「イヤーピース」の存在。WI-C600Nは4サイズのシリコンゴム製「ハイブリッドイヤーピースロング」が同梱されていますが、WI-1000Xは4サイズの「ハイブリッドイヤーピース」に加え、シリコンゴムに独自開発のシリコンフォーム素材を組み合わせた「トリプルコンフォートイヤーピース」(3サイズ)の計7種が同梱されます。

↑WI-1000Xに同梱されるイヤーピース(ハイブリッドイヤーピースのMサイズはイヤホンに装着されています)

 

この「トリプルコンフォートイヤーピース」は、一般的なシリコン製イヤーピースとComplyのような発泡フォームタイプの中間に位置するような感触で、弾力性が高く耳穴にしっかりフィットします。

 

ハイブリッドイヤーピースとトリプルコンフォートイヤーピースのどちらが耳に合うかはユーザーによって異なりますが、初めから選択肢が多いほうが、より自分の耳に合ったイヤーピースを選びやすいといえるのではないでしょうか。

 

画像1枚でまとめてみる

ここで2機種の違いを表にまとめてみました。

 

前回のノイズキャンセリング編では、WI-C600Nのノイズキャンセリング機能はWI-1000Xに肉薄しており、ノイズキャンセリング機能だけを見ると約2倍の価格差はお得、と書きましたが、音質まで含めるとやはりWI-1000Xの方が機能面も含めてかなり洗練されており、2倍近い価格差も納得できると感じました。ですので、とりあえずノイズキャンセリング機能の優れたワイヤレスイヤホンが欲しいという方や、できるだけ金額を抑えたいという方にはWI-C600Nを高音質にこだわりたい、価格は多少高くても問題ないという方にはWI-1000Xをオススメしたいと思います。

 

2機種の聴き比べは家電量販店やソニーストアなどでも行えますので、ぜひご自分の耳でも確かめてみて下さい!