ポタフェスレポート後編は、有線のイヤホンとDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を中心に紹介。有線イヤホンは同じ価格の無線イヤホンよりも音質面にコストを掛けられるため、低価格モデルでも音質重視になる傾向があります。DAPはハイエンドとハイコスパに二極化が進み、新製品が次々と登場。バランス対応モデルも増加中で、イヤホン端子は2.5mmより、耐久性があって音質的に有利な4.4mmが注目されているようです。イヤホンを手に入れたら、次はDAPを手に入れて、さらに音質に磨きをかけたいものですね。
どれにするか迷ってしまうfinalブース
純国産ヘッドホン&イヤホンブランドのfinalブースでは、最新モデルのBシリーズの比較試聴ができるとあって、行列が絶えませんでした。試聴するオススメの順番も決まっていて、まずシングルBAドライバーの「B2」(2万9800円)を試聴。中低域に厚みがあってクッキリとした音。音楽の骨格が分かる音でした。次に2BAドライバーの「B3」(4万9800円)を聞くと、先ほどより繊細な音で女性ボーカルのニュアンスなどが分かります。音色はウォームで、ワイドレンジでした。最後にダイナミック型とBA型のハイブリッドの「B1」(6万9800円)です。低域は下まで伸びた感じで、中高域は解像度が高くボーカルが目立ちそうなモデルです。3モデルの中で、私は音にインパクトのある「B2」が好印象でした。
ハウジングは粉末状の金属と粘結剤を混ぜて、金型を使って成型しているため、ステンレス製でありながら複雑な多面体に。B1はミラーフィニッシュ、それ以外はサンドブラスト仕上げになっています。モデルによってケーブルも異なり、finalのこだわりが感じられました。ちなみにMMCX端子でリケーブル対応です。
小型軽量化されたAZLA「ORTA ZWEI」
AZLAから世界初お披露目となったのが「ZWEI」(ツヴァイ)です。ハイブリッド型と思いきや、フルレンジのBAドライバーを2基積むという予想の斜め上をいくドライバー構成に驚きました。その配置や理屈はまだあきらかにされていませんが、粒立ちのいいスッキリした音で、ボーカルは近くに聞こえ、コンパクトサイズながら低音の量感もありました。
Astell&Kern「AK T9iE」はドイツのヘッドホンメーカーbeyerdynamicとのコラボモデルで、φ2.5mmバランス接続ケーブルが付属。アダプターを使ってφ3.5mmにも対応しています。前作の「AK T8iE」よりも小型化された新設計のハウジングを採用して装着感が向上しました。beyerdynamicならではの繊細で透明感があり、解像度の高い音が魅力です。
長蛇の列の先にAstell&Kernの新フラッグシップ「A&ultima SP2000」
アユートブースで最も人気があったのがAstell&Kernの試聴コーナー。旭化成エレクトロニクスの電流出力方式DAC「AK4499EQ」を搭載したDAPの新フラッグシップモデル「SP2000」(47万9980円)に、パワフルな専用アンプ「SP1000AMP」(10万9980円)を搭載した「SP1000」(49万9980円)、そして小型軽量化された「SP1000M」(29万9980円)が比較試聴できるという贅沢な環境でした。
高解像度な「SP2000」、中低域に厚みがあってウォームな音色の「SP1000+SP1000 AMP」、輪郭がクッキリして粒立ちのいい「SP1000M」と音の違いも明確でした。まあ、気に入った音が見つかっても、おいそれと購入に踏み切れる価格ではありませんが夢を見るのは自由なのです。
Questyleからも新フラッグシップDAPの「QPM」が参考展示されました。ピュアクラスAのフルバランスアンプを搭載して、4.4mmバランス接続に対応。サイズはほぼ「QP2R」と同じで、カラーはブラックでした。バランス接続で聞くと、分離が良く左右に広がり感があり、低域は量感がありながらだぶつきません。音色はウォームでなめらか、ほっとする音でした。価格は未定ですが、本国では2000ドル前後で販売されているそうです。