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2019/8/5 21:30

ソニーならではの“ノイズキャンセリング”が進化! 完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」徹底レビュー

音質に一段と磨きがかかった。DSEE HXの効果は?

iPhone X、Google Pixel 3 XLに接続して音質をチェックしました。ペアリングした後にイコライザーを含む各機能の設定を行うモバイルアプリ「Sony Headphones Connect」を開くと、ホーム画面に現在スマホとイヤホンが接続されているコーデックやDSEE HXの状態がアイコンで表示されます。

↑iPhone Xと組み合わせて音楽を聴いてみました

 

プレミアムモデルであるWF-1000XのDNAを継承する、ディティールの表現力に富んだバランスの良いサウンドに仕上がっています。

 

特に中低域の厚みがスケールアップしました。ボーカルがとても立体的に張り出して聞こえます。上品で繊細な印象だったWF-1000Xに対して、新製品であるWF-1000XM3のサウンドはより大胆に生の音楽に迫るリアリティを、明るくエネルギッシュな音に込めて伝えてきます。そのうえ音のバランスに不自然な強調感がないので、飛行機に乗って長時間リスニングした後にも疲れを感じることはありませんでした。筆者はあまり使いませんが、ハイトーンの抜け味をもっと良くしたり、低音再生を盛りたい時などにはアプリに搭載されているイコライザー機能も役にたちそうです。

 

DSEE HXはオンに切り替えると音楽の情報量に明らかな厚みが加わります。特にボーカルの声の質感がリッチになり、低音も軽やかに弾むようになります。デフォルトはオンの状態ですが、敢えてオフにする理由もないように感じました。

↑外音コントロールやイコライザーなど多くの機能を「Sony Headphones Connect」アプリから選択・設定できます

 

イヤーピースはシリコンタイプの「ハイブリッドイヤーピース(SS/S/M/L)」と、フォームタイプの「トリプルコンフォートイヤーピース(S/M/L)」が贅沢に同梱されています。イヤーピースの素材に起因する音質への影響についてはさほど感じませんが、耳に挿入した時のフィット感には少なからぬ違いがあります。WF-1000XM3は正しいポジションで身につけることによって、音の聞こえ方やノイズキャンセリング機能の体感が繊細に変化するイヤホンです。

↑2種類のイヤーピースが付属します

 

↑左側がトリプルコンフォートイヤーピース、右側がロングタイプのハイブリッドイヤーピース

 

筆者はふだんイヤホンに同梱されている「Mサイズ」のイヤーチップをメインに選ぶことが多くあります。でもWF-1000XM3については「L」サイズのハイブイリッドイヤーピースが最も遮音性と装着感の心地よさが好バランスでした。イヤホンを耳に軽く挿入してから、少しずつ回転させて耳の奥へ押し込むと、低音の漏れがなく引き締まった音を楽しむことができます。ソニーがYouTubeで公開しているWF-1000XM3の装着解説動画(https://www.youtube.com/watch?v=7Y3IcseI8t4)がとても参考になるので、WF-1000XM3の音質やノイズキャンセリング性能が万一、期待と異なって感じる場合はぜひ試してみてください。

 

自然なノイズキャンセリング効果

続いてWF-1000XM3を飛行機の中で使ってみた時のノイズキャンセリング機能の手応えも紹介します。

↑飛行機の機内でノイズキャンセリング性能も確認しました

 

専用アプリから、WF-1000XM3が搭載する「外音取り込み機能」のノイズキャンセリング機能のオン・オフを選択できます。外音取り込みは1~20まで1ステップずつ細かく調整できます。騒々しい場所ではノイズキャンセリング機能は「オン」の状態が通常になろうかと思います。

 

ソニーは音楽再生のパフォーマンスを最大化するために、ノイズキャンセリングの自然なかかり具合にこだわって1000Xシリーズをチューニングしてきました。飛行機の低いエンジン音と甲高い風切りノイズ、周囲でざわつく人の声など「ノイズ」だけをバランスよく綺麗に消してくれます。iPadに保存して機内に持ち込んだ映画・ドラマのダイアローグも無難に聴き取れます。

 

イヤホンなので、ノイズキャンセリング機能をオンにしてしまうとヘッドホンよりも耳穴を締め付けるような圧迫感が強くないのか気になっていましたが、実機で試してみると思いのほか違和感が少なくて好印象でした。

 

反対に、ソニーのノイズキャンセリングヘッドホンのWH-1000XM3に比べると消音効果はやや穏やかだと思います。地下鉄の中など、場合によっては飛行機よりも騒音が多い場所で本機を頻繁に使うのであれば、ノイズキャンセリング機能はもっと強めでも良いかもしれません。理想を言えば1000XM3シリーズのヘッドホンとイヤホンを両方手に入れて、音楽を聴くシチュエーションに合わせて上手に使いわけたいと思いました。

 

イヤホンを身に着けたまま機内アナウンス、キャビンアテンダントと会話するために外の音を聞きたい場合にはクイックアテンション機能が役に立ちました。また一時的に片側のイヤホンを外すと、音楽再生が自動で一時停止・再生する機能をアプリからオンにしておくと、動画再生の際にとっさの対応ができてよかったです。

 

今回は片道約11時間の日本からヨーロッパへの旅でしたが、長時間使い続けても充電ケースのバッテリーまで切れる心配はまずありません。最近はエコノミー席でも機内でUSB電源によるデジタル機器の充電ができるのでなおさらです。

 

納得の高性能。小型モデルもほしい

WF-1000XM3は新しい1000Xシリーズの顔になりそうな完成度の高い完全ワイヤレスイヤホンです。ソニーらしい高音質と最先端技術を、よくぞこの手のひらサイズのイヤホンに詰め込んだものだと関心することばかりでした。

 

一方では、モバイルアプリとの連携機能などには一部、あまり使う機会がなさそうなものも載っていたりします。これらを削って、ノイズキャンセリングと音質にキャラクターを特化させながらイヤホン本体やケースをもっと小さくした兄弟機が出てきても、ほしいと感じるユーザーが沢山いるように思います。そして防水・防滴対応はぜひ次回以降のモデルで積極的に実現してもらいたいです。

 

WF-1000XM3はオーディオ機器として、あるいはコミュニケーション機器としての完全ワイヤレスイヤホンの将来に今後ますます豊かな可能性があることを期待させてくれます。購入を検討中の方、あるいはその予定は今のところないという方も、ぜひ一度試聴してみてほしい製品です。

 

 

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