7月上旬にキヤノンが「EOS R5」「EOS R6」という新モデルを発表したことで再び盛り上がりを見せているフルサイズミラーレス。今度はニコンがコスパに優れた新型機「Z 5」を発表しました。既存モデルとの比較を交えつつ、新製品の詳細を見ていきましょう。
フルサイズミラーレスデビューにうれしい高コスパモデル
ニコンは2018年秋に高画素モデル「Z 7」とスタンダードモデル「Z 6」でフルサイズミラーレス市場に参戦。翌2019年11月には、同じZマウントを採用しつつセンサーをフルサイズよりも小さなAPS-Cサイズとした小型軽量モデル「Z 50」を発売しました。
今回発表されたZ 5はセンサーの画素数的にはZ 6に近しいですが(Z 5:有効2432万画素、Z 6:有効2450万画素、Z 7:有効4575万画素)、後継機というよりは良いところを継承しつつ一部のスペックを抑えることでコスパとの両立を図ったフルサイズ入門者向けモデルといえます。
具体的にZ 5とZ 6の違いを見ていくと、まず見た目でわかるところではZ 6のボディ上面に搭載されている撮影情報などを表示するパネルがZ 5では省力されています。機能面では連写性能の違いが目立ちます(Z 5は低速で約1~4コマ/秒、高速で約4.5コマ/秒。Z 6は低速で約1~5コマ/秒、高速で約5.5コマ/秒、さらに拡張で約12コマ/秒に対応)。また、前述の通りセンサーの画素数はほぼ同じですが、Z 6は光をより効率的に取り込める「裏面照射型」を採用しているため、暗所での撮影に関わる一部のスペックではZ 6がやや優位となっています。そのほか、動画に関してもZ 5ではフルHDでの120p記録や動画Log出力などの上位機能が省かれています。
一方、Z 6/7で好評だった約369万ドットのEVFをはじめ、映像エンジンやボディ内手ブレ補正、ハイブリッドAFシステム、防塵・防滴性、堅牢性などは踏襲。むしろ、撮影可能枚数が増えているなど、部分的にZ 5が勝っている点もあります。
個人的には、ラインナップとしては下位モデルという位置づけながら、ニコン Zシリーズの大きな魅力である“自然な見え”と評判のEVFをきっちり受け継いでいるのが非常にうれしいポイント。全体としてどう工夫して価格を抑えるかというなかで、このカメラを手に取るであろうユーザーをしっかり想定し、うまく機能の取捨選択がなされている印象です。
さて、肝心の価格はというと、7月28日時点のZ 6のボディ単体の実売参考価格が24万2820円であるのに対し、Z 5のボディ単体の予約価格は18万2600円と約6万円も安くなっています。一般用途であればスペック差をそこまで感じないわりに価格差が大きく、またフルサイズミラーレス市場全体を見回しても20万を切るモデルはあまりないためコスパの高さが光ります。フルサイズミラーレスデビューを考えている人にとってはかなり有力な選択肢となりそうです。