会話というものは難しい。
相手の意見をただ聞いているだけなら簡単だが、お互いが意見を交わすとなると、どうしても相手の言葉を否定するということは避けられない。しかし、否定ばかりしていてはなかなか話が前に進まないことも。お互いがお互いを否定しはじめたら、終わることのない議論に陥ってしまう。
否定の意味がある「でも」「しかし」
会話のなかで、ついつい使ってしまうのが「でも」「しかし」という言葉だ。
ちなみにどちらも逆接の意味を持っているが、「でも」は助詞、「しかし」は接続詞だ。詳しい解説は次の機会に譲るとして、この「でも」「しかし」という言葉は、ダイレクトに相手の言っていることを否定しているため、あまり使いすぎると会話がギクシャクしてしまう可能性がある。
例えばこんな主婦同士の会話があったとしよう。
A「この扇風機、高いわよね」
B「でも、性能はいいわよ」
これでは、Bさんは「お金持ってる方はいいわよね」などと言われかねない。
ビジネスの現場を例にすると。
A「このプランは、予算がかかりすぎるな」
B「しかし、この予算でなければここまでのサービスが提供できません」
Bさんは、「しかし」と言ってしまうことでAさんの言うことを否定している。これでは、Aさんもいい気持ちにはならないだろう。
「だからこそ」で相手の意見を受け入れて自分の意見も述べる
『言葉の習慣 たった1分でできて、一生が変わる!』(佐藤伝・著/学研プラス・刊)には、この「でも」「しかし」に代わる言葉として「だからこそ」を勧めている。
「でも」「しかし」は、相手の言うことの反対意見を述べるときに使うワード。言われた相手にしてみれば、「こいつは俺の意見に反対しているな」と思ってしまう。
「だからこそ」は、相手の意見を受け入れさらに自分の意見を追加するときに使われる。これならば、あまり相手に悪い印象は与えないだろう。
「これ、他社の商品と比べて、ちょっと高いんじゃない?」
「はい、そうなんです。だからこそ、品質が段違いで、長く安心して使えて、結局はおトクなんです」
(『言葉の習慣 たった1分でできて、一生が変わる!』より引用)
この例文の「だからこそ」を「でも」に置き換えてみよう。
「これ、他社の商品と比べて、ちょっと高いんじゃない?」
「でも、品質が段違いで、長く安心して使えて、結局はおトクなんです」
どうだろうか。印象がかなり違うのではないだろうか。「だからこそ」を使ったほうが、相手の気分を損ねていないような印象を受ける。
先に上げた例文も「だからこそ」に置き換えてみよう。
A「この扇風機、高いわよね」
B「だからこそ、性能はよくなってるのよ」
A「このプランは、予算がかかりすぎるな」
B「そうですね。でもこの予算だからこそ、ここまでのサービスが提供できるんです」
なるほど。「だからこそ」を使ったほうが前向きな意見を言っているようにとらえることができる。これならば、相手が否定的な意見を言われているようには思わないだろう。
相手を受け入れる姿勢を見せることで信頼度がアップする
「でも」「しかし」という相手を否定する単語をなるべく使わず、「だからこそ」のように肯定する単語を使う。こういうところに気を配れば、いつもの会話や会議などが円滑に進むのではないだろうか。
自分が何か言うたびに相手を不機嫌にさせてしまうというような人は、まずは「でも」「しかし」という言葉を使わないように気をつけてみよう。
そうすれば、相手のあなたに対する印象も「この人は私の言うことをよく理解してくれる人だ」となり、より信頼されるはず。
原稿を書くときも、どうしても「しかし」や「だが」といった言葉を使いがちだ。これからは、できるだけ違う言い方を考えてみようと思う。
(文:三浦一紀)
【文献紹介】
言葉の習慣 たった1分でできて、一生が変わる!
著者:佐藤伝
出版社:学研プラス
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