個人差はありますが、30代の後半にさしかかって肉体の衰えを感じることが多くなりました。長生きするとは限りませんが、このままでは老後が不安です。
『一生ボケない、寝たきりにならない方法』(大渕修一・著/学研プラス・刊)という本があります。東京都健康長寿医療センター研究所における知見を、同研究所に勤めている著者がわかりやすくまとめたものです。
「老年症候群」とは何か?
老年症候群とは、加齢とともに現れる日常生活に不具合を及ぼす症状のことをいいます。例えば、年齢とともに足腰が弱くなって買い物に行きにくくなることがあります。
(中略)
老年症候群は、無理に診断名をつけようとすれば、つけられないこともないでしょうが、多かれ少なかれ年を重ねることによって皆さんに現れるものですから、病気とは違うものとして、老年症候群と呼びます。(『一生ボケない、寝たきりにならない方法』から引用)
投薬や治療をするほどではなくても、老年症候群に分類されるものがあります。
・足腰が弱くなる
・食が細くなる
・意欲が衰える
これらの「お年寄りがよく嘆いている悩み」は、40代や50代からの心がけによって軽減することができます。今回は、高齢者にふさわしい「足腰を鍛えるトレーニング方法」について紹介します。
老化には順序がある
膝の力の低下が最も早く、次いで握力、最後に噛む力と、必要度が低いほど早く低下がみられます。
(『一生ボケない、寝たきりにならない方法』から引用)
足腰の筋力は、歩かない生活をしていると低下していきます。よく言われることなので、気をつけている人は多いのではないでしょうか。それよりも、油断しがちなのは「握力」です。
ウォーキングなどで「脚の筋力」を鍛えることばかりしていると、手の筋力(握力)を鍛えることがおろそかになります。筋肉を鍛えるときは「かたよらないように」が基本です。
「歩く速度」を気にかける
筋肉の力を知る方法として、歩く速度を測るという方法があります。歩行速度は寝たきりを予測する指標としてとても重要なのですが、自分でどれくらいの速度で歩いているのか、測ったことがある人は少ないと思います。
(『一生ボケない、寝たきりにならない方法』から引用)
なぜ、歩くスピードに注目すべきなのか。青信号の横断歩道を渡るとき、なるべく速いスピードで歩いたほうが安全だからです。
健康の目安は「5メートルを4秒以内」に移動できること。ストップウォッチで測るのは大げさですから、横断歩道を渡るとき、周りの人たちに遅れていなければ「合格」だと覚えておきましょう。
高齢者にふさわしい負荷のかけかた
ただし、運動習慣がない人がいきなり大きな負荷をかけると、けがをする確率が高まりますので、日常生活よりもやや高いレベルの負荷とします。
(中略)
負荷のかけ方としては、距離を延ばす方法とスピードを上げる方法があります。(『一生ボケない、寝たきりにならない方法』から引用)
距離を延ばすトレーニングをするなら、いつものコンビニよりも遠いコンビニへ行ってみてください。スピードを上げるならば、コンビニへ買い物に行ったときの「出発から帰宅までの所要時間」を短くしてみてください。
気楽なトレーニングですから、あせりは禁物です。転倒したり交通事故にあっては元も子もありません。汗をかいたり息切れしない程度を心がけてタイムアタックを楽しみます。高齢者の筋力トレーニングは、「ちょっと疲れたかな?」と感じるくらいで十分です。
安全にできる筋力トレーニング法
タオルを足の下に敷いて足指でつかんでみてください。それがラクにできるのなら、タオルの上に重しを置いて引っ張ってみます。
すると、普段使うことの少ない、足指を曲げる、伸ばすという動作に働く筋肉を刺激することができます。
(『一生ボケない、寝たきりにならない方法』から引用)
すでに足腰が衰えてしまっているお年寄りにとっては、ウォーキングですら負担になってしまいます。タオルを足指でつかむだけのトレーニングならば、お金もかからず、ケガをすることもありません。
実際にやってみると、想像していたよりも思うようになりません。年齢にかかわらず、足の指先で何かをつかむことは少ないからです。
老化を予防するトレーニングといえば、手をグーにしたりパーにしたりする動作が有名です。足指のグーパーを鍛えることによって、さらなる筋力アップが期待できそうです。お試しください。
【著書紹介】
一生ボケない、寝たきりにならない方法
著者:大渕修一
出版社:学研プラス
今はまだ生活に支障がない高齢者や中高年でも、寝たきりやボケに対する不安がある。実は実際の寿命と、介護いらずでいられる健康寿命には10年の差がある。一生寝たきりやボケと無縁の体でいるための運動や食事、生活習慣を伝授する。