副業ブームがやってきそうだ。今まで多くの会社の就業規則で「会社以外で労働すること」が禁じられていたが、それが撤廃される動きが出ているという。プレミアムフライデーの推奨など、労働時間は短縮化の傾向にある。残業時間が減り、残業代も削減され気味の今、副業に関心を持つ人が増えている。
副業したい人88%!
エンジャパンの『副業調査』(2017年)によると、現在正社員で働いている人のうち「副業に興味がある」と答えた人はなんと88%!9割近くもの人が関心を持っている。けれど実際に副業経験があるのが33%にとどまっているのは、本業が忙しいということ以前に、いまだ44%の企業は副業を禁止していることが大きそうだ。
そして副業を希望する理由として85%が「収入のため」と答えている。今のままでも生活できるけれど、もう少しゆとりが欲しいということなのだろう。AIが仕事を代わってくれつつある現代では、時間の余裕が出てきた人が副業をすることは当たり前になっていくのかもしれない。
自由な副業スタイル
ちなみに私の本業は物書きだけれど、副業として2004年から「イケメン評論家」を名乗っている。最初は副業という意識はなく、趣味でイケメンのことだけを書く専用ブログに立ち上げたところ、思いがけずあちこちからコメント依頼が到来し、副業としての収入も発生している。
今後は「審査員」という副業を考えている。年に何度か小説やイケメンコンテストなどの審査員を引き受けるのだけれど、それが楽しくてたまらないので「審査員」としてやっていけたらなと夢見ている。趣味や好きなことの延長の副業は、楽しい事が仕事になっているので、全く苦にならない。こうした自由な副業も、今後は増えてくるのではないだろうか。
ポートフォリオ・ワーカー
25万部超のベストセラーとなった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン・著/東洋経済新報社・刊)では、人生100年時代の新しい労働スタイルとして「ポートフォリオ・ワーカー」を提唱している。ポートフォリオ・ワーカーとは、異なる種類の活動を同時に行うスタイルである。
自分の時間を幾つかに分散させ、仕事に、趣味に、地域活動にと関心があるものに振り分けていく生き方で、もちろんメインは今の仕事である。けれどそれ以外にも副業も含め、今はいろいろなことを楽しみたいという人が、このワークスタイルに適している。
自分の経歴を活かす
本では「過去の経歴とつながりがあり、評判とスキルと知的刺激を維持できる」副業が勧められている。確かに今までの経歴が活かされれば、高めの報酬を得やすくなるし、やりがいもあるだろう。
もちろん趣味も経歴の一つになる。私の場合は今までにたくさんのイケメン写真集や美少年史などを読み、自分なりに知識を持ったからこそ「イケメン評論家」としてコメントもできるのだ。
自分に合った副業とは
では自分に合った副業というものは、どうやって見つけたらいいのだろう。まずは自分が何年も続けている好きなことを探すことだ。収入にすぐ結びつけず、まずは社会にどう役立てられるかということを優先して考えるほうがいいだろう。役立つことならたくさんの引き合いがあるはずだからだ。
もしかしたら思いついた副業は、そういった求人もなく、一風変わったものになるかもしれない。けれど今までなかったものにこそ高い需要があるかもしれない。例えば「政治家のネクタイ」について詳しい人がいるけれどそんなニッチな知識こそ、自分でなくては発せられないオリジナルな情報となるだろうからだ。
【著書紹介】
LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略
著者:リンダ・クラットン
出版社:東洋経済新聞社
誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。