午前中や昼間でなければ、お酒を口にできない人がいます。
たとえば深夜勤の人です。太陽が出ているときに眠りにつくので、ちょっと一杯は、午前中から正午ごろになります。
家族や同居人の目が厳しいために、自宅では呑めない人もいるでしょう。
わたしにもそんな時期がありました。自宅の外で、同居人の目が届かない場所を見つけては、昼間からこそこそと酒を飲んでいたのです。
どこで隠れて酒を飲むべきか?
隠れ酒に成功しても、飲んだことがバレたら叱られます。昼酒を楽しんだあと、夕飯の食卓をみんなで囲む19時ごろまでに、わたしは酔いをさまして帰宅しなければいけませんでした。
遅くても昼の1時までには飲み終えるようにしていました。多めに水分をとって、可能なかぎり排尿を繰り返します。体内からできるだけ酒気を抜くためです。ブレスをケアする錠剤も欠かせませんでした。
わたしが昼酒をするために行くのはファミリーレストラン(ファミレス)です。具体的には「サイゼリヤ」や「ジョイフル」のランチタイムを狙います。
サイゼリヤのお得な”ランチ飲み”
おすすめは「ランチタイム」を利用した昼酒です。お得な「ハンバーグランチセット」を肴に飲みます。
サイゼリヤのランチタイムは「平日の午前11時~午後3時」です。昼から飲むと決めた日は、11時30分ごろに着くようサイゼリヤへ向かいます。
パスタランチやドリアランチもありますが、飲酒モードなのでミート系ランチを注文します。2016年12月現在では、「鶏肉のオーブン焼き(バルサミコ甘酢ソース)」「オニオンソースのハンバーグ)」「きのこデミグラスソースハンバーグ」の3種類から選べます。すべて税込み500円ぽっきり。
無料の付け合せは「ライス」か「パン(ミニフィセル)」が選べます。
焼きたてのミニフィセルに使い放題のオリーブオイルをぶっかけたものは、ワインやビールのお供にうってつけです。
サイゼリヤは「キリン一番搾り」の中ジョッキが399円(税込)で安いのですが、ランチタイムに中年男がひとりでビールジョッキをあおっている姿は、なんとなく体裁がよくありません。
ビールを飲むならば、わたしは299円(税込)のグラスビールにします。そのあと物足りなければ100円(税込)のグラスワインを飲みます。
1杯目から100円のグラスワインを注文するときには、エクスキューズとして1品料理を追加します。店員さんに「500円ランチと100円ワインだけでせこい酒を飲みにきやがった」と思われたくないからです。「小エビのサラダ」(税込349円)もしくは「柔らか青豆の温サラダ」(税込199円)がお気に入り。
じつはランチメニューには「ミニサラダ(マッシュポテト含む)」が付いてきます。追加で「小エビのサラダ」も頼むときは、どちらかをドレッシング抜きにすると良いです。塩分が気になるからです。わたしはいつも伝えるのを忘れてしまいます。
ジョイフルのお酒は”注文単価”が安い
ジョイフルに昼飲みに行くと、なぜか「お仲間」がいます。ことばを交わすことはありませんが、同類がいることによって昼間から酒を飲むという罪悪感が薄れます。
このファミレスの特筆すべき点は、同業他社にくらべて「お酒の単価」が安いことです。
キリンビールの「淡麗」や「氷結グレープフルーツ」が税込206円です。350ml缶とキンキンに冷やしたグラスを付けて出してくれます。氷が足りなければドリンクバーのものを使えます。
そのほか、サントリー「プレミアムモルツ」の中ジョッキが税込368円。ハイボールの小ジョッキが税込260円。焼酎のいいちこや黒霧島のロックグラスが税込206円。おなじような価格帯で日本酒の燗酒や冷酒もあります。ファミレスというよりも格安居酒屋です。
大好き! ファミレス飲み
グルメ本『突撃!はしご呑み(2)』(ラズウェル細木・著/実業之日本社・刊)にも「ファミレス飲み」の食レポが掲載されています。
酒の達人であるラズウェル細木先生が向かったのは「サイゼリヤ」「バーミヤン」「ジョナサン」です。
サイゼリヤでは、わたしのようなケチな飲みかたではなく「エスカルゴ」や「ムール貝」や「生ハム(プロシュート)」などを肴にしてワインを飲んでいます。アルコール度数が40度の食後酒「グラッパ」について言及しているのは、サイゼリヤ飲みレポでは珍しいです。
中華ファミレス「バーミヤン」では、激安の北京ダックを肴にして紹興酒を飲んでいます。大衆中華料理店、おいしいけれど行列ができるほどではないラーメン屋では、昼間からビールを飲んでいる人がいても違和感がありません。
ジョナサンでは、ドリンクバー+焼酎セットを満喫しています。180mlの麦焼酎か梅酒とドリンクバーを組み合わせることができるプランが税抜499円。ジョナサンが近所にある関東地方や東海地方の人がうらやましいです。
(文:忌川タツヤ)
【文献紹介】
突撃!はしご呑み(2)
著者:ラズウェル細木
出版社:実業之日本社
横浜・中華街で、北京・上海・四川・広東の四大中華料理を食べ比べたり、ファミレスの酒メニューとドリンクバーをフル活用して、オリジナル・カクテル作りに挑んだり…。酒コミックの第一人者・ラズウェル細木が、一日三軒はしご酒をして、食と酒について深?く掘り下げてみたルポ&コミック! これを読めば、あなたの酒ライフが充実すること間違いなし!