若い頃は、「シワもシミも美しさのうちだ」などと、考えていました。
実際、シワがあっても、シミができても、白髪が増えても、素敵な女性は変わることなく素敵でいるのを知っていたからです。ウィスキーグラスを片手に「暁子ちゃんにはまだわかんないだろうけど、トシを取るってのもいいもんよ」などと言われると、「あ~~~、なんてかっこいいのだろう」と憧れて、クラクラしていました。
老化は病気ではないはずなのに
けれども、実際、自分がその年齢に達してみると、そうは余裕を持ってはいられません。人間としてのスケールが違うといえばそれまでですが、シワもシミも白髪も「こりゃ、なんとかしなくちゃ」と、なります。
そして思うのです。「手遅れになる前に手を打とう」と。病気ではないのですから「手遅れ」はおかしいのですが、よる年並みに抵抗せずにいると、坂道を転げ落ちるように老婆になってしまうような気がします。
加齢はいつも初めての体験
おまけにトシをとるのは誰にとっても初めての経験です。風邪をひいたときのように、経験から対策を立てるのは難しいものです。
風邪をひいても、ヒトはそれまでの経験値で対処できます。たとえば、「去年、ぞくぞくするのに無理をして、結局一週間も寝込んだから、今年はこじらせないようにしなくては」と、自分なりに案配するものでしょう。ひどくならないうちに、予防接種をすることもできます。けれども、老化はそうはいきません。
誰もが毎日確実にトシをとり、そして、毎朝初めての自分、トシを取った症状、言い換えれば病状と向き合うのです。これって残酷なことだと思いませんか? おまけに、トシを取るのは肌や髪だけではありません。
眼がしょぼしょぼしたり、耳鳴りがしたり、腰が痛んだりします。最初は「疲れているのよ」と、ごまかしていても、やがて「これは立派な病気だ」と確信するに至ります。