春が過ぎれば、すぐに夏がやってきます。一部コンビニでは、2月下旬〜3月上旬から冷やし中華の販売を始めました。季節にかかわらず食べたければ、自宅で作るという選択肢もあります。
グルメエッセイ『玉ねぎフライパン作戦』(椎名 誠・著/KADOKAWA・刊)は、聞き慣れない「ブンガク的冷やし中華」の作り方を紹介しています。
冷やし中華をブンガク的に食べる
ポイントはこのセットについてくるタレ(醤油ダレとゴマだれがあるがいつも醤油ダレにしている)がやや濃いことである。水で薄めたことがあるがどうもたちまち不味くなる。そうか、ダシをとればいいのだ、と気がついて簡単なダシの素でそのつど50ccぐらいのダシを作りそれで薄めると実にマイルドな奥の深いブンガク的冷やし中華ができるのである。
(『玉ねぎフライパン作戦』から引用)
自宅で冷やし中華を食べたいとき、わたしは『マルちゃん冷やしラーメン』を買います。冷やし中華用の「生めん」と「すっぱい醤油だれ」の3食セットです。実売価格は200円前後。
個人的には、あの「甘酸っぱい醤油だれ」こそが冷やし中華の醍醐味だと思います。ただし独り暮らしであれば、3回のうち1回は「ブンガク的」に食べるのもオツなものです。
冷やし中華にマヨネーズを足したくなるのは、酸っぱい醤油だれを「まろやか」にするためです。和風だしを効かせた「ブンガク的冷やし中華」ならば、マヨネーズは不要になります。お試しください。
「コロッケ煮」の是非について
フライパンにまずダシと醤油をいれる。これはすぐに煮立つからそこにタマネギのザク切りをいれて柔らかくなるまで煮る。
しかるのちにコロッケを投入、よくダシ汁が通ってきたところでタマゴを溶いてその上にかけて弱火にし蓋をして数分で出来上がり。
(『玉ねぎフライパン作戦』から引用)
コロッケ煮の是非を考えるためには、そもそも「ポテトコロッケだけで白ごはんを食べられる」ことが大前提です。
コロッケ定食(難易度高い)
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コロッケそば
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コロッケパン
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グラコロ(難易度低い)
グラコロ(グラタンコロッケバーガー)は好きでも、コロッケと白ごはんだけの「コロッケ定食」はムリという人は少なくないでしょう。
醤油orウスターソースをかけるだけでは、ポテトコロッケは「ごはんのおかず」になりにくい。しかし、タマネギと溶き卵で煮立てたポテトコロッケならば、カツ丼や親子丼のように抵抗感が少なくなります。お試しください。
椎名誠さんは、世界中を探検して美食奇食をきわめた小説家です。高級食材にこだわるだけでなく、庶民的な「もやし」にも並々ならぬこだわりを見せます。