階段はつらい。今の私なら5階も昇れば息があがってしまうかもしれない。確かに体重は減らしたいけれど、つらい思いをしてまで痩せたくない。そう思って今日まで階段を敬遠していた。そして最近知った。なんと階段の昇り降りをすると、若返りホルモンが分泌されやすくなるのだという。そんな! それをもっと早くから知っていたら、積極的に階段を使いまくっていただろうに……。
下半身と若返りホルモン
そもそも若返りホルモンとは何だろう。『「若返りホルモン」をぐんぐん増やす16の習慣』(満尾正・著/CCCメディアハウス・刊)によると、それはDHEAというもので、副腎から分泌されるのだとか。女性ホルモンや男性ホルモンの原料となるものなので、これが不足するとホルモンが減少し、老化が加速するのだとか。どうやら寿命にも関係してくるホルモンのようで、65歳以上の男性の25年後の生存率がDHEA値の低い人は55%、DHEA値の高い人は75%だという(アメリカ国立加齢研究所調べ)。
80歳を過ぎても舞台出演する黒柳徹子さんは毎日スクワットをして足腰を鍛えているそうだし、故・森光子さんもスクワットを毎日欠かさなかったという話を聞いたことがある。85歳にして世界マスターズベンチプレス選手権の70歳以上の部で世界王者の奥村正子さんが先日テレビに出ていたけれど、毎日歩き、筋肉を鍛えているので背筋がしゃんとしていて、踏み台に立ってもよろけることもまったくなく、実に若々しかった。どうやら下半身を衰えさせないことと、若返りホルモンの分泌には関係があるようだ。
ステップ台の利用
そういえば先日私は失敗をしてしまった。スポーツクラブでヨガのクラスだと思って入ったら、ステップのクラスだったのだ。ステップというのは高さ15センチくらいの踏み台に昇ったり降りたりする運動のことである。体力に自信がない私がスタジオから出ようとしたところで音楽が始まり、逃げるに逃げられなくなり、私は40分もの間、ステップしまくった。
高齢者のかたの体力づくりのクラスかなと思っていたら、とんでもない。ステップを踏みながらマンボやサンバを踊るかなりハードなもので、終わった時にはTシャツが汗でぐちょぐちょに濡れていた。とても疲れたけれど、その日一日、とても気分が良かった。もしかしてこれは、若返りホルモンが分泌されていたからなんじゃないだろうか。実は『「若返りホルモン」をぐんぐん増やす16の習慣』でもステップ台を利用することが推奨されているのだ。
幸福のホルモンとは
太ももの付け根を動かす運動をすると、幸福感が出てくるよ、と以前、鍼の先生に教わったことがある。現代人はあまり下半身を動かさないから、ウツっぽくなりやすい。足を使わないと身体の血液がうまく頭に循環しないので、気落ちしてしまうのだという。そしてあなたもデスクワークが多いのなら必ず毎日30分から1時間は歩いたりして太ももを動かすように、とアドバイスされた。
鍼の先生の言っていたホルモンがDHEAのことかどうかは私はわからない。東洋医学にもそうしたツボがあるのかもしれない。でもいずれにしても言っていることは同じで、下半身を鍛えよ、なのだ。ホルモンを分泌させるためには階段の昇り降りを30分ほどする必要があるそうだけど、都会に住んでいる人間なら、駅での電車の乗り継ぎなどで階段をよく使うので、すぐに10分程度は消費できそうだ。
あとはオフィスや住居などでも階段を積極的に利用し、自宅でスクワットをするクセをつければ、ステップ台を使わなくても充分に足腰を鍛えられることだろう。より、若くいられるために、今後はなるべく階段を使うようにしよう。階段を使えばダイエット効果だってあるだろうから一石二鳥である。人間、目標がはっきりすれば、多少の苦しさもガマンできるはずだし、太ももを動かすと幸福感が出るらしいので、もしかするとその苦しささえも悦びになるのかもしれないし!
(文・内藤みか)
【文献紹介】
「若返りホルモン」をぐんぐん増やす16の習慣
著者:満尾正
出版社:CCCメディアハウス
アンチエイジングの名医が教える、若返りホルモンを増やす生活習慣のコツ。更年期を目前に控えた40代にとって、ホルモンの減少は生活の質まで下げかねない大きな問題です。運動、睡眠、食など生活習慣のアドバイスを紹介します。男女ともに必読の1冊。