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2018/7/18 23:00

人気のSUV、ハイエンドモデルを堪能する――『ル・ボラン 2018年7月号』

SUVというタイプの車。日本でも日常の風景の一部になったと感じるのは筆者だけではないはずだ。言葉そのものもすっかり定着し、国産車・輸入車問わずに人気の高いジャンルになっている。

 

ただ、SUVという言葉に関しては、厳密な形での定義は難しいのが事実のようだ。日本自動車販売協会連合会が行った統計上の区分では、「ジープ型の四輪駆動車で、ワゴンとバン、トラックを含む」とされている。実際にはどんな車種が挙げられるのだろうか。

 

 

SUVの3タイプ

外見的なわかりやすさを軸にして選ぶなら、国産車ならマツダCX-8、トヨタC-HR、そしてホンダ・ヴェゼルといったクルマが挙げられるだろう。外国車ならメルセデス・ベンツGLE、BMW X5、そしてポルシェ・マカン。そんな並びになるかもしれない。

 

SUVは定義が難しい上に、ジャンル内でさらに以下のような3つのタイプに分類される。

 

・クロスオーバータイプ

中身は乗用車だが、そこそこのオフロード性能がある。多少の悪路なら走ることができ、舗装道路を走っても乗り心地が悪くないタイプ。

 

・クロスカントリータイプ

中身がオフロード専用構造のタイプ。車体構造が乗用車ではなく、トラックと同じ構造なので、悪路走破性が高い。

 

・シティタイプ

中身が乗用車で、オフロード性能は有していないタイプ。SUVといっても悪路の走破性はほぼない。

 

 

 

数字にも表れるSUV人気

ちなみに、2017年度国内SUV販売台数ベスト3は以下のようなランキングになっている。

 

第1位:トヨタ C-HR

第2位:スズキ・ハスラー

第3位:ホンダ・ヴェゼル

 

アメリカで市場リサーチを行っているJ.D.パワーアジア・パシフィック社が調査した「日本新車購入意向車調査」によれば、2016年と比較すると、新車購入時にSUVを選ぶ割合が4%上昇し、31%となった。新車購入を考えている人たちの3割以上がSUVに興味を抱いているのだ。しかも2位のスズキ・ハスラーは軽自動車。軽自動車のSUVという新ジャンルまで生まれたことになる。

 

こうした傾向を取り込んだ『ル・ボラン2018年7月号』(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)の特集のキーワードは“ハイエンドSUV”。6月号の特集“最新SUVバイブル”から一歩踏み込んで、最高級SUVをピックアップして詳しく紹介する。登場するのは、さまざまなセールスポイントを持つ魅力的なクルマばかり。

 

 

風格のメルセデス

メルセデス・ベンツのGクラスを表現するのにふさわしいひと言は、風格だろう。その堂々たる体躯に底知れぬパワーを秘めた姿は、クロスカントリータイプSUVの最終進化形と呼んでも差し支えないかもしれない。

 

写真で見る限り、ボディはかなりゴツい。ただ、それでいて重さみたいなものはまったくといっていいほど感じられない。さらに、「メルセデスならではの」と言ったほうがいいのだろう。独特の風格が加わる。この風格を創り出すのは伝統、技術力、そして信頼。そういったものすべてだ。

 

ドリームカーというのは、曲線美をことさら強調した早く走れるクルマだけを意味する言葉ではないはずだ。ベンツのGクラスSUVのように、ほかを寄せつけない圧倒的な風格をまとったクルマもまた、そう呼ぶにふさわしい。

 

 

鮮烈のランボルギーニ

メルセデス・ベンツのGクラスを端的に表現する言葉が風格なら、この特集で2番目に紹介されているランボルギーニURUSに対するそれは、「鮮烈」ということになるだろうか。スーパーカーという言葉に独特のノスタルジーを感じる世代の人たちにとって、このクルマはまさに鮮烈に映るに違いない。

 

URUSは、誰の目にもカッコよく映るわかりやすいタイプのクルマだと思う。記事では黄色・黒・白と3種類のボディカラーが紹介されているが、どの色にも躍動感がある。この躍動感は子どもにも大人にも同じように伝わると思う。

 

内装はイタリア車らしいおしゃれなニュアンスに満ちているが、ステアリング周りは意外にコンパクトに見える。サイズ感では国産車と比べても大差はないんじゃないだろうか。

 

 

ハイエンドSUVは、見果てぬ夢ではない

正統と革新という二つの言葉をキーワードに、今最も気になる4車種を比較する企画も楽しめた。こちらで紹介されるのはTESLA MODEL X、レクサスLX、LAND ROVER RANGE ROVER、BENTLEY RENTAYGAの4車種。世界基準SUVのスタンダードであり続けたLAND ROVER。日本発プレステージSUVの代名詞となったレクサス。斬新さで他の追随を許さないTESLA。そしてSUVというステージでもあえて勝負する姿勢を見せる名門BENTLEY。それぞれの人気車種が“オトナの選択”として挙げられている。まさにハイエンド感満載。

 

これから日本市場に登場する注目SUVモデルとして、あのロールスロイスが生産するCULLINANという車種も紹介されている。超名門も超新星も、自動車メーカーにとってSUVは長く続くトレンドではなく、セダンやクーペと同じ並びの恒久的ジャンルとなったようだ。

 

もうひとつ言っておきたいことがある。実用的だと思ったのは、SUVの中古車市場に触れた記事。中古のメルセデスGクラスを軸にして展開されるQ&Aはぜひ押さえておきたい。ハイエンドSUVは、見果てぬ夢ではない。いずれはあのクルマに乗りたい。そんな男子ならではのモチベーションをいやが上にもかきたてる特集記事である。

 

 

【書籍紹介】

 

ル・ボラン 2018年7月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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