本・書籍
2019/1/28 21:45

ほっこり癒やされてホロリと泣ける、猫とおじいちゃんのほのぼの日記――「ねことじいちゃん」

子どもが生まれてから、季節の感じ方が変わった。

 

たとえば、わが家の末っ子は現在3歳。数か月後に桜が咲けば、「この子が桜を見るのは、これで3回目なのか!」といった具合に、ひとつひとつの季節がとても意味を持ち、大切に感じるようになった。

 

一方、私の大好きな祖母は御年90。先日のお正月も一緒に過ごしてきた。

 

まだまだ元気なので安心しているが、年に数回帰省したときしか会えないから、この先一緒に過ごせる時間が確実に短くなってきているのだと感じる。そして、強く思うのだ。来年も一緒に過ごせますように。次の帰省のときも、元気でいてくれますように。

 

来る2月22日に公開予定の映画「ねことじいちゃん」の原作漫画『ねことじいちゃん』(ねこまき・著/KADOKAWA・刊)を読んだとき、思わず祖母のことを思い出した。

 

 

猫のタマと2人暮らしの大吉じいちゃんの日常にほっこり

『ねことじいちゃん』は、現在第5巻まで出ている人気漫画。ばあちゃんに先立たれ、小さな島で猫のタマと2人暮らしをする大吉じいちゃんが主人公だ。

 

大吉じいちゃんが住んでいるのは、じいちゃんとばあちゃんと猫の島。若い人たちの多くは、島から出ていき新しい家庭を築いている。みんなが顔見知りで、お互いに力をあわせて毎日を送る。お正月にお盆、ハロウィンや銀杏拾いなど、四季折々を島の人みんなで過ごす。

 

平凡だけれど、その一日一日が尊く愛おしい、なんともほっこりする日常だ。

 

 

島で働くことを決めた若者たちも

お年寄りと猫ばかりの島だけれど、他所から移り住んできた若者も増えた。たとえば、診療所の若先生。大学病院勤務の誘いを断って、島で働くことを決意した。この若先生と島のお年寄りたちの交流がとても温かい。

 

そして、島で新たにカフェを開こうと、自らの手で喫茶店のリニューアルを進めた美智子さん。映画では柴咲コウさんが演じるらしい。みんな、都会では味わえないような豊かで愛しい時間に惹かれて、この島に住むことを選んだのだろう。

 

「時が止まったようなこの島も 少しずつ変わっていっとるよ」とは大吉じいちゃんの台詞。なんとも深い。そして染み入る。

 

ちなみに、タイトルからもわかるように、この漫画には猫好きなら思わずテンションが上がってしまう「猫との生活あるある」が満載だ。猫を飼ったことがある人もない人も、思わず「猫に会いたい!」と思わせてくれるエピソードの数々をお見逃しなく。

 

 

 

舞台は愛知県の篠島・佐久島・日間賀島

ところで、大吉じいちゃんをはじめとする登場人物の方言になぜか懐かしさを感じたので調べてみると、著者のねこまきさんは名古屋を拠点に活躍しているイラストレーターとのこと。じいちゃんたちは名古屋弁だったわけだ。どうりで、岐阜出身で名古屋の友人が多い私にとって、懐かしい感じがするはずだ。

 

「こーんなん釣れたで」「あんたがおらな寂しいわ」などなど、コテコテの名古屋弁が漫画の世界観をよりほっこりさせてくれている。

 

そして、筆者が島の風景のモデルにしたのは、愛知県は三河湾に浮かぶ篠島・佐久島・日間賀島の3島なのだとか。かつて日間賀島に旅行したことがあるが、島全体から温かみを感じた素敵な場所だった。くねくね曲がった巨大迷路のような路地。島にひとつしかない信号。『ねことじいちゃん』の舞台になっているとは納得だ。

 

なお、映画の撮影は佐久島で行われたとのこと。アートの島としても名高いこの島は、「猫島」と呼ばれる猫が多く住む島のひとつなのだとか。こちらもぜひ行ってみたい場所のひとつである。

 

 

今日という日を来年も過ごせますように

年を重ねるに連れて、一年が短く感じる。平凡な日も、何かスペシャルな出来事があった日も、老いも若きも、一日24時間は平等にある。

 

今日という日を、来年も再来年も過ごせますように。穏やかな日がずっと続きますように。『ねことじいちゃん』は、なんてことのない日こそ愛しくなる、そんなほのぼの漫画だ。

 

【書籍紹介】

ねことじいちゃん5

著者: ねこまき(ミューズワーク)
発行:KADOKAWA

ここはじいさんとばあさんとねこたちが暮らす小さな島。ある日、大吉さんの幼なじみ・巌さんに、妻から手紙が届く。20年前、とある事情で巌さんと家族は離れて暮らすことになったのだ。いっぽう若先生は本島の大学病院からの連絡で、ある決意をする。時が止まったようなこの島も、少しずつ時間が流れていって――。小学生から80代まで、幅広い年齢層に支持される話題作シリーズ5冊目。

楽天koboで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る
kindleストアで詳しく見る

TAG
SHARE ON