今や国内の月間アクティブユーザーが3300万人を突破したInstagram。画像がメインのSNSなのですが、男女で投稿画像に差があるようです。女性は自撮りがメインですが、男性はどのような画像を投稿しているのでしょうか。
自撮り好きな女性、自撮りしない男性
インスタ画像の男女差を指摘している本が『ソロエコノミーの襲来』(荒川和久・著/ワニブックス・刊)。女性のインスタには必ずといっていいほど自分自身が写っているものが多いそうです。それは自分の顔ではなくても、指先だったり、足だったりと、自分の何かが写り込むことが多いのだとか。見てみると、インスタグラムの #自撮り というタグに投稿されているのも、7割以上が女性の顔画像です。
その一方で、男性のインスタは、その男性自身の姿はほとんどなく、食べたものや愛用品の画像ばかり。特に女性に見られる「笑顔でピース」というような画像を見かけることは少ないそうです。言われてみれば確かに、私の知り合いの男性編集者さんも、日々の食事を淡々と投稿していますが、自分自身の顔はほぼ出していないし、女性編集者さんは旅行先で皆でピースしている自分自身の画像を楽しそうに載せています。
自分を見られたい女性、では男性は?
この男女差を著者の荒川和久さんは「承認してほしい」ことが違うからだと説明しています。女性は「自分自身」について認めてもらいたいけれど、男性は「自分の行動」を認めてもらいたいのだと。確かに女性は、いわゆるリア充的な「見て見て!こんなに楽しそうなところでこんなに面白そうなことをしているオシャレな私を!」とでも言いたげな画像を、幸せいっぱいそうな笑顔と共に投稿しがちです。
けれど男性の投稿画像でしばしば見かけるのは、食事の画像、車やバイクの画像、趣味の道具、旅先での風景写真など。リア充というよりは趣味充という感じのものが多く、シブく写ったこだわりの画像に、男の美学のようなものを感じることもあります。積極的に「見て!」と語りかけてくるというよりは「わかってくれる人にだけわかってもらえるよね?」というようなマニアックなマイワールド感があるのです。
自撮りする男性の心理とは?
しかし最近、自撮り男子が若い人を中心に急増しています。彼らはテーマパークや海など、いわゆる「映える(インスタ映えする)」場所で撮った自分自身の画像を、上手にスマートフォンのカメラアプリで加工して投稿し、何万人ものフォロワーを集めている人もいます。これらの手法はどちらかというと女子的ですが、彼らはどういう気持ちでインスタを使っているのでしょうか。
私の周囲にいる自撮り男子に聞いてみたところ「可愛いと言われるとうれしい」「それなりに髪やファッションに気を使っているので誰かに認められたい」という、女性に多そうな理由を挙げる人が多いのです。自撮りする男性はイケメンが多く、画像を投稿すれば知らない女性たちが大量に「いいね!」をしてくれるのです。女性ウケするルックスの彼らは画像中心のインスタグラムワールドで「目立ちたい、モテたい」という願望を叶えやすいのでしょう。
「盛り疲れ」が起きている
2017年には流行語となった「インスタ映え」。今でも飲食店もこぞって映えるメニューを作るなど、インスタで「目立ちたい」「みんなをあっと言わせたい」という人々の気持ちは健在です。また、「盛れてる(普段の自分より素敵になる)」自撮りを投稿したがる人も大勢いますが、次第にその流れは減少しつつあると私は感じています。映えを求めると皆同じような場所での同じような画像になりがちですし、盛りを求めると、本来の自分の顔とまるで違う顔となり、素の自分とのズレが拡大してしまうのです。
先日、中国で興味深いニュースが起きました。人気動画配信者としてフォロワー10万人以上を誇る20代女性がいたのですが、ある日、配信中に顔を隠すフィルターが外れて素顔が晒され、実は孫もいる50代だったことが判明してしまったのです。けれどこの件で、彼女のフォロワーは結果的に4倍以上に増加しました。これも、多くの人が盛った画像の空虚さに飽き始めたひとつの証拠ではないでしょうか。
画像中心のSNSは、転換期を迎えているかもしれません。あふれる美男美女画像に飽きた人々が次に求めるのは、自分自身が共感や熱中ができ、つながることができるテーマの画像かもしれません。画像に「#日本酒 #バイク」などとハッシュタグをつけておけば同じ趣味の人が画像に「いいね!」をしてくれるので、輪も広がりやすいでしょう。そうなると有利なのは、淡々と同じテーマで趣味画像を投稿し続けてきたシブい男性かもしれないのです。
【書籍紹介】
ソロエコノミーの襲来
著者:荒川和久
発行:ワニブックス
日本は「超高齢国家」である以上に、「超ソロ国家」である――最新の国勢調査において、独身者人口が65歳以上の高齢者を約1200万人も上回っていることが判明した日本。もはや人口減少は避けられない状況で、人口を増やすことよりも、この現実を直視する必要が出てきています。本書は、TV出演も多い独身研究家が、静かに到来した、独身者を中心とした経済社会(ソロエコノミー)を徹底分析。現代を生きるすべてのビジネスパーソン必携の一冊です!!
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